(株)日立物流の平成16年3月期決算短信(連結)の経営成績は下記のとおり。
経営成績
当期における同社を取り巻く経営環境は、低迷を続けた日本経済に景気回復の兆しが見え始めたものの、取扱物量や収受料金の本格的回復には至らず、事業者間競争が激化するなか、依然として厳しい状況で推移した。
このような状況下、市場成長性が高いシステム物流(3PL)事業とグローバル物流事業に経営資源を集中し、強みを発揮することで受注拡大と収益確保に努めた。
営業収入面は、企業の物流アウトソーシングニーズを背景として、システム物流事業が大きく伸長し、顧客の事業構造改葦や競争激化の影響を受けた工場物流や一般輸送作業などの低調を補った。
利益面は、システム物流事業の収益貢献と人員の適正配置・作業の効率向上による人件費・外注費のトータルコスト低減などにより収益を拡大した。
これらの緒果、当期の連結営業収入は前期比4%増の2648億3千4百万円、連結営業利益は前期比28%増の73億4千万円、連結経常利益は前期比25%増の74億9千6百万円、連結当期純利益は土地売却益等もあり前期比64%増の43億4千1百万円と増収増益。
セグメント別の営業状況
国内物流事業は、コア事業であるシステム物流事業を一層強化し、新規受注の獲得、既存顧客からの受注拡大と収益確保に努めた。
流通関連顧客向け大型受注案件においては、8月に新潟県で、1O月に石川県で、それぞれ専用物流センターの運営を開始し、事業規模を拡大した。
また、東京都をはじめ千葉県、広島県など全国各地において、住宅建材、食品、家庭用品、総合小売店などの物流センター業務を立上げた。
センター運営は、ITを活用した効率的なシステムにより作業要員の生産性を向上させるなど、ローコスト運営に努めた。
コア事業を強力に推進するため、事業拠点の再構築(スクラップ・アンド・ビルド)を図り、九州・北海道において物流センターを開設した。
顧客の多様な二一ズに対応するため、低温物流、リサイクルビジネス、情報関連機器の据付・搬入関連サービスなど、多様なサーピスを実施するとともに、同一業種の複数顧客を対象に効率的な共同物流サービスを提供する業界プラットフォーム事業を東北地区で試験的に開姶するなど、ソリューションサービスの高度化にも努めた。
昨年5月に提携した日本郵政公杜との共同営業や、日立グループとの共同ソリューションなど、国内外のパートナーとの協カ・連携もすすめて業容の拡大に努めた。
工場物流は、顧客の事業構造改革や物流費低減要請の影響をうけ、全般的には低調に推移した。
一般輸送作業は、市場競争激化の影響を受け、収受料金が低迷した。
なお、管理間接業務の合理化として、ERPの導入や業務革新推進本都を新設し、グループ全体における全業務の抜本的改革を推進する体制を構築した。
これらの結果、当事業の営業収入は、システム物流事業を中心に拡大し、前期比6%増の1809億6百万円。営業利益も、同事業の拡大と収益カ向上により、前期比27%増の110億1千2百万円。
国際物流事業は、海外現地法人も含めたグループ全体として、北米・欧州・中国・東南アジアなどにおける物流サービスや、国際複合一貫輸送などのフォワーダー業務を通じて業績拡大に努めた。
海外現地法人の営業状況は、北米地域でアメリカ・メキシコ国境間における総合物流サービスとして自動車関連顧客の事業を拡大した。欧州は建設機械、東南アジアは自動車部品などの取扱いを強化した。
中国は、アパレル関連顧客向けに、検針・検品など流通加工を付加した輸出入サービスが引続き好調に推移した。
上海を中心とする華東地区は、上海航空とのアライアンスで出資した合弁会杜が順調に業容を拡大し、日中間の輸出入、中国国内輸送などを展開している。
シンセン市を含む華南地区は、昨年8月に現地企業と合弁会杜設立に合意し、今年1月から新会社を稼働している。中国の主要地域のネットワーク体制を確立したことで、今後は内陸輸送やシステム物流などを提案し、トータル物流サービスの強化を図っていく。
同社における営業状況は、中国から目本への持ち帰りと中国への設備機器輸送などか前年実績を上回った。
中国の現地法人に対しては、高品質のサービスを提供できるよう、品質保証・ITの専門スタッフを日本から派遺するなどサービス体制強化に努めた。
一方、日本発の貨物は、海上輸送で大型プラント案件の出荷物量減少、航空輸送においては、米国内コンピュータ関連投資の低迷を背景とした北米向け輸送の減少があり、低調に推移した。
これらの結果、当事業の営業収入は、前期並みの515億3千3百万円となり、営業利益は、エレクトロニクス製品の輸出減少と中国事業のサービス体制強化に伴う費用増などにより、前期比6%減の12億3千2百万円となった。
その他事業では、情報システム関連事業が、ソリューションサービスの需要拡大などを背景として業容を拡大するなど、当事業の営業収入は、前期比3%増の323億9千5百万円、営業利益は情報関達先行投資等もあり前期比8%減の6億9千7百万円。
次期の見通し
次期における同社の経営環境は、企業業績の回復基調など明るい材料もあるが、グローバリゼーション進展による企業間競争の激化など、依然として予断を許さない状況で推移するものと予測している。
このような経営環境下、同社は、顧客のアウトソーシングニーズを的確に捉え、営業カ・運営力を強化するため、本年4月1日付で、ロジスティクスソリューション統括本部の中にグローバル事業開発本部を設置し、国内外を通じた提案営業を積極的に捲進することで、グローバル事業の強化を図っていく。
また、事業拠点の再構築は、千葉県の大型物流センターをはじめ、大阪府、埼玉県でも営業拠点の拡充をすすめ、顧客二一ズに対応した営業体制を充実させ、顧客の信頼向上を図り、高品質な物流サービスの提供を通じて業綾拡大に努め、中期経営計画の目標達成に向け全カを尽くす。
連結営業収入2 660億円(前期並み)
連結営業利益82億円(前期比12%増)
連結経常利益83億円(前期比11%増)
連結当期純利益46億円(前期比6%増)