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A.T.カーニー/中国消費財市場調査を実施

2004年05月05日/未分類

A.T.カーニーは、中国消費財市場における欧米の多国籍企業の事業戦略を調査分析したレポートを発表した。

中国は今や経済ブームに沸き、巨大な消費市場として世界中から多くの消費財メーカーが殺到する戦場となっている。しかし、中国市場は決して一枚岩ではなく、投資を行う企業は多くの難題に直面している。A.T.カーニーは、中国国内市場の多様性を解明した上で、市場のリーディング企業を対象に調査を実施、各社の成功パターンを分析し、その成功戦略を探った。以下は調査レポートの概要である。

中国国内市場の分類
A.T.カーニーは、国内市場の違いを把握するために、中国全土を農村部と都市部に分類した。都市部は中国全域の人口の43%、総可処分所得の58%を占めているが、国内総生産では84%を占めることが明らかとなった。

さらに、都市部について600都市を収入、人口、周辺地域への影響力、規制などをもとにTier1からTier4まで4つのカテゴリーに分類した。その結果、上位層であるTier1とTier2の都市は東南部に集中することが明らかとなった。

市場の多様性
中国の消費財市場は過去10年で急激な成長を遂げてきた。しかし、各都市の成長速度は異なり、消費者特性、サプライ・マーケット、物流など全てが多様化している。例えば、10年前は全体が均一な市場であったが、90年代半ばの経済ブーム以降、上位層の市場ではブランド概念が普及した。

現在では、多くの製品があることに慣れてしまい、ブランドロイヤリティーに欠け、消費者は絶えず新しい製品を期待しているという状況にある。さらに、P&Gやユニリーバが中国に進出した80年代当時、多くの人々は石鹸で洗髪していたが、多国籍企業がシャンプーを普及させ、教育者の役割を果たした。

しかしまもなく、中国メーカーも急速に追い上げ、現在では、グローバル企業と現地企業の境界はなくなりつつある。一方、流通インフラはまだ整備中の段階であり、多国籍企業は現在も低位層市場に食い込む方法を模索中である。しかし、ウォルマートやカルフールの積極的な拡大に、ハイウェイの建設があいまって、低位層市場への消費財の浸透は以前よりも容易となっている。

戦略をテーラーメードに
こうした多様性を考慮すると、成功する戦略は単一ではない。しかし、リーディング企業に共通するのは、適切な戦略策定と時期を得た実行である。例えば、ダノンは80年代に中国に進出した当時は有機的成長戦略を採用していたが、90年代後半になると中国企業がブランドを確立したため、M&A戦略に切り替え、ライバル地元企業を吸収合併し、そのブランドの維持、成長を続けた。

中国では企業、カテゴリー、地域それぞれが、カスタマイゼーションを必要としている。戦略は不変のものではなく、柔軟性が要求されるのである。環境変化の対応が欠如したブランドは必ず失敗する。例えば、P&Gのマルチブランド戦略は90年代に大成功を収めたが、製品が類似しているという認識が広がり、2000年初めには人気に陰りが出た。しかし戦略を迅速に変更することができず、98年には50%以上あったシャンプー市場でのシェアが2002年には30%まで低下した。

「フォーカス」、「スピード」、「コントロール」
新市場に進出してリターンを確保するまでには時間がかかるが、その難題を克服するカギの一つが「フォーカス」である。例えば、ユニリーバとP&Gは80年代同時期に中国に進出した。ユニリーバは大きな投資を行い幅広くパーソナルケア商品と食品を提供、一方、P&Gはシャンプーのみにフォーカスした。ユニリーバが苦戦する中、P&Gはシャンプー市場で競争優位性を確立、その後、異なるセクターに進出、成功した。

また、ダノンの例で見たように、すばやく戦略転換を遂げる「スピード」も重要である。さらに、地元企業とのJVにおける支配力「コントロール」の維持ももう一つのカギである。P&Gは比較的弱小地元企業と提携したが、株式の大部分を取得し、成功した。ところが、ユニリーバはより強力な中国企業とのJVを選択、経営陣が何度も入れ替わり、支配権をとれず、JVの能力を発揮できなかった。

マーケットシェアの確立
A.T.カーニーは、これから中国でマーケットシェアを確立するための3つの道を紹介している。一つは、上位層都市の外に出て、Tier3、Tier4の下位層市場で勝負することである。政府も遠隔地の開発に力を入れており、今後、成長が加速されることは間違いない。二つめは製品の多様化である。

例えば、コカコーラは最初は炭酸飲料にフォーカス、後にボトルウォーター、茶飲料、フルーツジュースへと拡大していった。中国のトップ飲料メーカー娃哈哈はボトルウォーターからスタート、康師博は茶飲料でスタート、それぞれ後に新カテゴリーに進出した。

その際、リーディング企業は、流通ネットワークとブランドのどちらかを軸に成功を収めている。三つめは新しいセグメントを定義することである。多国籍企業はまずは都会の若者や高収入の消費者をターゲットにしていたが、消費者が洗練され購買力も高くなるにつれ、人口の多いマス市場に注目するようになってきた。

中国の消費者データはほとんど存在せず、そのことはデータを収集できる企業がリーダーになれることを意味する。P&Gでもシャンプー市場の支配は自社の情報収集の賜物であるとしている。同社は異なるセグメントの特質をしっかりと分析、現在では4つの強力なブランドを創り上げ、成功している。

いかに戦うべきか
市場環境が変化を続け、また、グローバルプレーヤーが増加する中、企業は常に戦略修正を迫られる。A.T.カーニーは、これまでの事例を挙げながら、チャネルマネジメント、価格設定、プロモーション、ブランディング、マーケティング手法などを含め、多国籍企業がいかに戦うべきかも調査レポートの中で示唆している。

日本企業も遅れをとるな
現状では日本企業は欧米の多国籍企業や中国企業に遅れをとっていることは否めない。しかし、市場を深く理解しターゲットを定め、的確な戦略と市場や競争状況の変化に対応できる柔軟性をもって臨めば、決して遅すぎることはない。中国は13億人の消費者が待つ市場である。A.T.カーニーのヴァイスプレジデント島田隆は、「中国市場のもたらす可能性は、必要とされるチャレンジ、努力に十分見合うものである。今、行動を起こす企業こそが、将来の成功を勝ち取る機会をモノにできる」と述べている。

問合せ
A.T.カーニー株式会社
担当:松田03-5561-9084
inquiry.jp@atkearney.com

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