農林水産省は、日本通運株式会社に対し、立入検査を実施した結果、同社はJAS法上の原産地表示義務を認識していながら、ローヤル東京支店が「ハワイ産パイナップル」を「フィリピン産」として販売した654箱の詰め替え作業(詰替による異なった産地の表示)を行っていたことを確認し、、日本通運株式会社に対して、JAS法の規定に基づく指示(下記)を行った。
日本通運に対する指示の内容
1.日本通運が流通加工(仕分け、選別、詰替等)している青果物について、直ちに表示と荷主からの指示内容の点検を行い、不適正な表示の事案及び可能性を発見した場合には、速やかに荷主に対し確認を行った上で是正等の対応を行うとともに、今後における不適正表示の防止の観点から、疑義が生じた場合に荷主に対して確認を行うことができる体制の整備を図ること。
2.日本通運がローヤルから受託し、詰め替えを行った青果物の一部に基準で定められた遵守事項が遵守されていなかった主たる原因は、日本通運において、JAS法を遵守し、食品表示の適正化を図ることが消費者の利益を守るものであるとの認識が欠けていたこと及び青果物の品質表示のチェック体制に不備があったことにあると考えざるを得ない。
このため、日本通運の全役員と食品関係の全従業員に対して、JAS法に基づく品質表示制度についての啓発を十分に行い、その遵守を徹底するとともに、日本通運における品質表示チェックの責任の所在の明確化、相互チェックが可能な社内管理体制の整備を行う等の再発防止対策を実施すること。
3.1及び2に基づき講じた措置について、平成16年10月4日までに農林水産大臣あて提出すること。
経過
(1)平成16年7月23日(金)に発覚した大阪港埠頭ターミナル(株)の産地偽装事案を発端として、当該青果物の荷主である(株)ローヤルが産地偽装に関与している疑義が生じたため、近畿農政局と関東農政局が立入検査を実施したところ、ローヤルが行った産地偽装のうち、ローヤル東京支店により行われた産地偽装に日本通運(株)東京海運支店が関与している疑義が生じたことから、関東農政局が平成16年8月20日から日本通運(株)東京海運支店に対し立入検査を実施した。
(2)その結果、日本通運は、JAS法上の原産地表示義務があることを認識していながら、ローヤル東京支店が一般小売販売業者に対し平成16年5月24日から6月11日にかけて「ハワイ産パイナップル」を「フィリピン産」として販売した654箱の詰め替え作業(詰替による異なった産地の表示)を行っていたことが確認された。