日立グループは、製品それぞれの製造・出荷の履歴や部品の素材、含有されている環境規制対象の化学物質の有無やその量、製造工程における品質などの情報を蓄積、一元管理し、迅速に追跡できる「製品含有化学物質一元管理システム」の導入などを柱とした「環境CSR対応モノづくり規程」を制定する。
規程の制定は、企業の社会的責任(CSR)の観点と世界規模での環境規制の強化に対応し、環境に配慮したモノづくりをさらに推進するため、環境保全に関する日立グループ共通のルールを制定するもの。
現在、EU域内で販売される電気・電子機器を対象に鉛、カドミウム、水銀、6価クロムなどの有害物質の使用を禁止する「電気・電子機器に含まれる特定有害物質使用制限指令」(以下:RoHs指令)や米国カリフォルニア州における電気・電子機器の回収とリサイクルを強化し、有害物質の使用を段階的に禁止していく「電子廃棄物リサイクル法」(SB20)など、有害物質に対する国際的な環境規制が強化されている。
こうした環境規制の強化に伴い、企業は、有害物質を含んだ材料を使用した製品を販売できなくなるだけでなく、有害物質を含んだ材料を使用した製品を出荷した場合、即座に原因物質を特定し、問題となった製品を回収することが求められるなど、企業経営にも大きな影響を与えることが予想される。
日立グループでは、これまでも、取引(調達)先の環境保全活動に関する情報や調達品に含まれている化学物質情報などの環境関連情報を収集する「グリーン調達システム」や、各製品の設計・開発段階において素材や部品に含まれる環境規制対象の化学物質について、全廃や削減にスピーディに対応できる「含有化学物質評価システム」の活用をはじめ、製品開発段階から環境負荷の少ない素材・部品を調達し、環境に配慮した製品づくりを進めてきた。
日立グループは、今回、環境に対する企業としての責務と環境への配慮すべき点を、製品のライフサイクル全般に適用する「環境CSR対応モノづくり規程」を制定する。
経営・企画・設計・調達・製造・使用・リサイクル・流通といった製品のライフサイクルにおけるそれぞれのプロセスに対して、環境に配慮するための明確な規程を設ける。
特に使用が禁止されている化学物質を含んだ製品を「出荷しない」ようにするため、化学物質の使用の禁止、削減、管理するための配慮ポイントを設けるとともに、調達、出荷した製品に含まれる化学物質の把握と管理方法を定めるなど、グループ全体で化学物質の管理を行う。
具体的には、日立グループ内で使用する素材、部品の化学成分情報と使用先情報を統合、集約するための規則を新たに制定するとともに、事業や製品ごとの化学物質に関する管理システムを、グループ全体で統括、一元管理する「製品含有化学物質一元管理システム」を構築する。
本システムは、製品ごとに、製造・出荷の履歴や構成部品の素材、含有される規制対象化学物質の有無や量、製造工程における品質の状況などの膨大な情報を蓄積、管理し、迅速に追跡できるようにしたもの。
本システムの導入により、万が一、有害物質を含んだ製品を出荷してしまった場合には、その製品の管理状況や影響範囲の把握から対策の実施までを2日以内に行えるようになる。日立グループでは、本システムを2005年6月から順次導入し、2006年6月までにグループ全社で展開する。