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三井物産/DPF問題に社長の役員報酬50%減額

2005年02月27日/未分類

三井物産(株)は、DPF問題で、弊社は、槍田松瑩社長の月額報酬の50%を3月より3か月減額し、DPFの部門担当取締役とコンプライアンス担当取締役は、月額報酬の30%を3ヶ月減額、他の常勤の取締役6名は、月額報酬の20%を3ヶ月減額とする処分を発表した。

問題に直接関与した者の上司など、管理監督の立場にあった者に対する処分も実行した。

同社は、社外監査役である岡村泰孝氏を委員長に、インテグレックス代表取締役社長の秋山をね氏、経済同友会代表幹事で日本IBM会長の北城恪太郎氏、弁護士でDPF問題調査委員会委員長を務めて頂いた権藤世寧氏、及び三井住友海上相談役で同社社外監査役の松方康氏の合計5名の委員からなるDPF問題委員会を設置し、答申していた。

答申内容は下記のとおり。

DPF問題委員会答申内容-2月24日付け
当委員会は、三井物産がその取扱いに係る「粒子状物質減少装置」の東京都への指定承認申請に際して虚偽のデータを作成・提出し、その結果、基準値に達していない製品を販売していた件(「DPF事件」)に関して、①その原因や背景を検討し、これを踏まえ、②すでに公表された再発防止策を評価し更に追加・強調すべき点があれば提言を行い、また、③このDPF事件についての経営の責任のあり方を考察すべきことにつき、諮問を受けた。

当委員会は、会社側事務局から提供された資料を検討し、必要に応じ事務局の説明を聴取しつつ、2月1日以降、前後4回の討議を重ねた結果、以下の通り、上記諮問に対し答申する。

第一DPF事件の原因・背景について
DPF事件の原因・背景として、次の点が考えられる。
1.平成14年(2002年)夏の所謂「国後事件」以降、社長はコンプライアンスを最優先とし、車座集会を行い、研修も充実させ、社員のコンプライアンス意識を高める努力をしてきたものと認められる。今回のDPF事件判明後の社長の姿勢や対応も適切であると評することができる。
しかしながら、会社上層部の努力にもかかわらず社長の意識が現場の隅々まで浸透していなかったと言わざるをえない。下に行き届かない理由の一つとして中間段階でとまっていた可能性もある。

2.昨年の社員コンプライアンス意識調査の回答に、「行動規範」と実際の業務がかけ離れている、との意見があった。仕事の現実は「行動規範」と必ずしも一致していない点があったと考えられる。

3.三井物産は成果第一主義、という外からの声があった。現場にはコンプライアンスとのせめぎあいがあったのではないか。

4.匿名での内部通報制度の社員への周知徹底が十分とは言えない面があったと思う。

5.今回の件は、会社としての新事業開始が一営業本部内で決裁され、また、三井物産が製品の品質技術責任を単独で引受ける形となっている。三井物産として新製品を自社で開発販売するための体制は不十分であった。

第二再発防止策について
調査委員会の調査結果を踏まえ、昨年末に策定・公表された再発防止のための諸施策は、三井物産が問題に真摯に積極的に取り組んでいることがうかがわれ、概ね評価できる。しかし、より十全のものとするためには、更に強調すべき点、追加すべき点がある。

当委員会は、関係会社を含めた三井物産グループの広範な事業展開と収益力を支える足回りとして、「コンプライアンス意識の確立」と「内部統制体制の強化」が、施策のうちで最も重要であると考える。

足回り強化の基本は人づくりである。

意識改革に向けた経営層によるメッセージ発信を継続する一方で、個々人自らのチェック・自浄機能が働く体制を、管理職層を核として、関係会社まで含めて、構築して行く必要がある。三井物産グループのPDCAサイクルのうち、CheckとActionを強化して改善と改革を確かなものとすることが肝要である。

以上の基本認識を踏まえ、具体的内容として次の通り提言する。関係会社まで含めた体制構築が極めて重要である。また、再発防止のための諸施策の達成状況につき、1年後に社外取締役等外部からの評価を受けることも考えるべきである。

1.コンプライアンス意識の確立
意識改革は一朝一夕に出来るものではない。粘り強い行動と繰り返しの対応が重要である。
(1)経営層の役割
①自らの経営理念へのコミットメントを社内外にたゆまず発信する。その成果の検証を他者から受ける。
②三井物産の良い面と悪い面を明確に認識し、良い面の継承と悪い面の廃絶を実践する。管理職層、更には現場まで含め、双方向の議論を通じ浸透させて行くことが必要。
③仕事とコンプライアンスのせめぎあいは、現場に判断させず経営自らが明確に指針を示しルールの曖昧さを排除する。
④本音と建前を残してはならない。「行動規範」と業務がかけ離れているとの意見があるのであれば、どこがかけ離れているのか、会社として何をすべきなのか、踏み込む必要がある。
(2)管理職層の役割
①経営層のコミットメントを現場に浸透させる。-伝道師的役割
②現場でのコンプライアンス意識醸成のための具体策の提供と実践。
-飛び級でのコミュニケーション(出来れば、年一回、一対一)
③部下の教育に対するコミットメントの比重を格段に高める。
(3)コンプライアンス意識を高める評価手法
①業績結果重視からプロセス重視とし、経営理念に沿った仕事のプロセス
を評価する。違反者の処罰だけでなく、健全経営を前向きに評価する。
②人事評価制度を見直し、双方向評価を導入する。
③社外のお客様・取引先の意見や評価を活用する。
2.内部統制体制の強化
(1)内部監査
①内部監査体制を拡充する一方、問題のある部署とない部署に対する濃淡管理を明確化する。
②部署・部門毎に監査結果を点数で管理・統計処理する。内部統制に対する意識を高めつつ、力点を置く部署選定の判断材料とすることで、監査の効率性を高める。
③問題のある部署には、監査後1ヶ月以内に改善策を報告させ、その後3ヶ月毎に進捗状況を社長宛に報告させるなど、スピーディで徹底した対応が必要である。
④内部監査にあたる者、監査役として関係会社に差し入れる者は、役割期待に応じた再教育・研修を行う。
⑤自部店検査を全社内部監査体制の一環として体系化・制度化する。
(2)内部通報制度
①社員がより多くの問題指摘や相談が出来るよう、会社から積極的に内部通報制度の活用を奨励する。
②そのためには、「どのような問題にどう対応したか」の活用事例を知らせることも有用である。
③相談しやすい一次通報窓口として、OBや社外の専門業者の活用も考える。
④自主申告者に対し「徳政令」的扱い(一定期限内に申し出た場合、処罰の等級を軽減するなど寛大に措置)をすることで膿みを出し切る、ということも検討の余地がある。

第三経営の責任のあり方について
社長をはじめとする現経営陣は「国後事件」の反省に立ち、平成14年(2002年)10月以降、種々の改革を実行に移して来たものの、志半ばで今回の事件が判明するに至ったが、事件判明後直ちに対策を講じ、その内容は概ね関係者に受入れられているものと判断される。社長をはじめとする現経営陣には、それらの改革を途切させることなく継続する責任と、本DPF事件対策の実行責任があり、現職を辞すべきでないと考える。

しかしながら、今回の事件は、製品購入者、東京都をはじめとする関係官公庁、関係団体、市民への影響など、社会的影響が極めて大きく、会社にも巨額の損失が生じたことは動かしがたい事実である。

これを踏まえ、経営責任のあり方はどうか、その判断は社会的にも納得の行くものとすべきことは論を俟たないところであるが、当委員会は、この点につき必ずしも全員の意見の一致を見ることができなかったので、以下の通り、意見を併記して答申することとする。

意見A
平成14年(2002年)10月に現経営陣に交代となった時点では、すでに2回の虚偽データ作成がなされており、その後、つじつま合わせのために平成15年(2003年)1月の3回目の虚偽データ作成がなされたという経緯がある。現社長は、就任以降、前社長時代からの内部監査体制強化や内部通報制度の整備などを継続する一方、社員のコンプライアンス意識の一層の高揚に努めその浸透を図るなど、経営として最大限の努力を行ってきていた。経営陣には法的な意味での注意義務違反はなかったと判断される。

しかしながら、事件の結果の重大性に鑑みると、道義的責任を自ら引受ける趣旨で、一定額の報酬の自主返上は必要だと考える。

意見B
会社業績を考えて問題を起こし、それを長期間申し出なかった社員が現にいたということは、現場の隅々まで意識が浸透していなかったと判断する。法的責任ということではないが、社長ほかの関係役員については、経営者の自主的判断に基づく報酬の自主返上の道を選ぶのではなく、社会的納得性や社員感情を勘案し、取締役会にて道義的・社会的責任のあり方につき審議し、報酬の一部減額を決定すべきと考える。

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