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日本チェーンストア協会/容器包装リサイクル法(容リ法)の見直しに意見

2005年06月15日/未分類

日本チェーンストア協会は、見直しが進められている容器包装リサイクル法(容リ法)に対して、経済産業省と環境省の審議の場において意見を述べてきたが、中間とりまとめが予定されているこの時期に当業界の現状と協会の考え方を改めて表明した。

容器包装リサイクル法の見直しに対する意見
現在、経済産業省所管の「産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会・容器包装リサイクルワーキンググループ」及び環境省所管の「中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会」において、分別収集のあり方、再商品化手法、ただ乗り事業者対策等々の論点毎に議論されているところであるが、6月末までには『容器包装リサイクル法の見直し』に当たっての中間取りまとめが行われる予定としている。

協会としては、この中間取りまとめ及び秋頃に予定されている最終取りまとめ並びにその取りまとめを受けての法令等の見直しに際しては、以下に記した当協会(当業界)の現状及び基本的考え方等を十分勘案して対応していただくよう意見を述べる。

Ⅰ 「発生抑制」を原点とし、全ての国民が等しく責任と負担を分かち合う制度とすべきである!
一部事業者への負担のしわ寄せは制度の崩壊に至る!
地球環境の維持・保全のためには「天然資源の消費の抑制」と「環境負荷の低減」をいかに図るかである。

その実効性を高めるには「廃棄物等の発生抑制」を第一とし、環境関連の基本的枠組み法として位置付けられている「循環型社会形成推進基本法」で求めている3Rの順位(①リデュース、②リユース、③リサイクル)に従った政策推進の「原点」に立ち返って実施すべきである。

発生抑制を進めるため、全ての国民が等しく相応の責任と適正な負担が求められる制度への転換を図るべきである。

1.平成7年12月に施行し、平成12年4月に紙製容器包装及びプラスチック製容器包装が再商品化の対象品目に追加され完全施行となった容器包装リサイクル法(以下、「容リ法」という。)は、循環型社会の形成を目途とした環境関連の法律の中で、個別物品の特性に応じた規制を定めた法律としては最も早い時期に制定・施行された画期的な法律であった。

その後、容リ法に遅れる形とはなったが、環境関連法の基本的枠組みを定めた「循環型社会形成推進基本法(以下、「基本法」という。)」が平成13年1月に施行され、また、家電リサイクル法(平成13年4月)、食品リサイクル法(平成13年5月)、建設リサイクル法(平成14年5月)、自動車リサイクル法(平成17年1月)と立て続けに個別物品毎の規制法が施行されてきた。

2.容リ法はこれらの法律の中で先駆的に施行されたものであるため、基本法の「発生抑制」という考え方が徹底されず、10年の運用の間に次のような大きな歪みが生じている。

① 「発生抑制」を大原則としてこなかったため、分別収集が進めば進むほど市町村及び利用事業者の費用が年々増え、現在絶え難いまでに増大していること。

因みに、平成17年度における会員全社(94社)の再商品化委託料の総額は、全社の売上高から推計した結果ではあるが、約54億円(1社当たり約5,700万円)となっている。

② 「発生抑制」を実現するためには、発生に係わるあらゆる事業者、地方自治体、消費者等の全ての国民の参画が必須であるにもかかわらず、事業者という点では利用事業者だけに負担が集中し、今後その負担が一層増大するシステムとなっていること。

③ 利用事業者の負担が増大する一方なのに対し、本来利用事業者として費用負担すべき「ただ乗り事業者」が未だ数多く存在し、厳然たる不公平が存在すること。

「ただ乗り事業者」が存在し、正直者の負担が増えるという、いわば欠陥を含んだ制度を前に、「ただ乗り事業者」対策が長年放置されてきたこと。

④ 法の運用が「リサイクル」重視になっており、リサイクル量の大幅な増大、処理コストが高止まりの中で利用事業者に一層の負担のしわ寄せとなっていること。

⑤ 後発の家電リサイクル法や自動車リサイクル法のように最終的に便益を受ける使用者・所有者が負担することを明記していないことから、法令の意図する「リサイクル費用は最終的には消費者に転嫁が可能」と説明していることと「景気低迷下、消費者への転嫁が困難である現状」との間に大きな乖離や歪みが出てきていること。

⑥ 「発生抑制」に効果を持たせるためには、事業者の規模にかかわらず全ての利用事業者等の参画が必要であるが、現行リサイクル制度において小規模事業者(商業・サービス業にあっては、常時使用する従業員数5人以下、かつ年間総売上高7千万円以下)は再商品化義務が免除されていること。(現行制度の下でこれら小規模事業者が負担すべき再商品化費用は、市町村が負担している現状にある。)

3.以上の歪みは、特に、プラスチック製容器包装が再商品化の対象品目となった平成12年以降の5年間において、分別収集量の増大に伴う再商品化義務量が大幅に増大したことにより顕在化している。
これらが顕在化する中で、今
後再商品化の費用を負担することができないとする企業が出るなど、一部の者のみに負担のしわ寄せをする制度である限り、制度を維持できるとは言い難く、容器包装リサイクルシステム崩壊の恐れを含んだものである。

4.協会としては、発生抑制に重点を置く「基本法」に対し容リ法の「リサイクル処理に重点を置き過ぎている」という矛盾点を解消するため、「廃棄物等の発生抑制」を第一とする政策に転換すること、第二に国民(法人・個人)に広く環境問題への理解を得つつ、全ての国民に等しく相応の責任と適正な負担が求められる制度への転換を図ることが必要であると考える。

Ⅱ リサイクル費用の増大に苦しむ中での発生抑制に向けた事業者等の自主的取組みをまず評価すべきであり、こうした取組みをサポートすることが発生抑制を高める!
当協会では各会員社とともに可能な限り「廃棄物等の発生抑制」を目途に、これまでレジ袋やトレイの使用削減など自主的取組みを積極的に展開してきている。
事業者のこうした各種自主的取組みを国として評価し、サポートすることがその効果をより高めることにもなる。
単に拡大生産者責任の下にリサイクル費用の負担を負わせるだけでは現行リサイクルシステムの支え手を弱体化させるだけで発生抑制には繋がらない。

1.当協会会員社においては、地球環境の維持・保全対策の高まりの中で、容リ法におけるリサイクル費用を負担し、その費用の増大に苦しみつつ、同時に様々なコストをかけて事業者としての廃棄物等の発生抑制にも積極的に取組んできている。

2.このような前向きに容器包装の発生抑制に取組んでいる事業者の姿勢及び各種手法やその効果を、何らかの方法により評価していくことが各事業者の発生抑制をより一層高めることになると考える。

3.こうした自主的取組みへのサポートは、国民全体としての取組みに発展していかなければならないことを念頭に置いて、適切な手法を工夫して措置する必要がある。

その一例として、①市町村による地域住民への啓蒙啓発の充実及び住民の発生抑制への自主的取組みに対するサポート、②地域住民、小売業者及び市町村等との連携を促進するための仕組みへのサポート、③素材及び容器包装メーカーにおける非プラスチック系新素材や商品の開発を促すような制度的手当て等も同時に採り入れることも検討に値すると考える。

4.なお、単に拡大生産者責任の下に事業者への負担を増大させることになれば、発生抑制に自主的に取組んできたことや、将来にわたっての自主的取組みを阻害することになり、その結果発生抑制にも繋がらないことになる。

【参考】当協会及び会員社による取組み事例
①過剰包装排除への取組み
協会独自の包装適正化要綱を定め、流通コストの低減、廃棄物処理の負担軽減に資するとともに、環境保全、消費者の便益、商品の保護、品質保全、衛生管理等に寄与する適正な包装を推進。

②トレイ削減への取組み
青果物や塩干物へのトレイの使用に関する協会独自の自主基準を定め、不必要な使用を極力抑制するとともに、量り売り・ばら売りを推進。

③「マイバッグ・マイバスケットキャンペーン」の展開
~ レジ袋の削減を目指し、お客様へ買い物袋持参を呼びかけ ~
「毎月5日はノーレジ袋の日」をスローガンに、ポスター掲出とレジ袋ご不要カードを設置し地球環境維持・保全の取組みへの理解を求めている。

④レジ袋の薄肉化・軽量化への取組み
・メーカーとの連携により、5年間で約2万トンの節約。
・現状、Lサイズで平均18μ(ミクロン:1㎜の1000の1)まで薄肉化。
薄さについては限界とも言われている。

⑤「通い箱」の活用による廃棄物等の削減への取組み
野菜や果物を運ぶ際に、何度でも使用できるリターナブルコンテナとしての「通い箱」を可能な限り取り入れ、段ボール箱を削減。また、そのまま陳列することにより、トレイやラップの削減にも寄与。

⑥各種容器包装の店頭回収への取組み
店頭に回収ボックスを設置し、ペットボトル、トレイ、紙製容器(牛乳パック等)等の回収を実施。
⑦グリーン購入の促進への取組み
食品保存用ラップやトイレットペーパー等の環境配慮型商品の積極的販売。企業によっては独自に環境にやさしいエコ商品の開発も実施。

Ⅲ 事業者、地方自治体、消費者等国民全体の参画により
発生抑制を基本とするリサイクルシステムを構築すべきである!
現行容リ法の「歪み」は解消すべきである!
容リ法の見直しに際しては、素材及び容器包装メーカーから消費者に至るまでの全ての段階において相応の責任と適正な負担が可能となるような制度設計が必要不可欠である。

現行容リ法に内在している「歪み」の解消を図り、公平性を確保すべきである。

1.関連の事業者間において、川上の事業者も容器包装リサイクルシステムの費用負担者とすることが発生抑制に繋がる方法である。
① プラスチック製容器包装の原材料メーカーといえども発生の一つの要因を持つものであり、これらに責務を負わせ一定の負担を課すことにより発生抑制をより効果的に実施することができる。

これら原材料メーカーに負担を課すことによって、プラスチック製容器包装メーカーが利用事業者との間で他の素材を使った容器包装を開発しようとする動きを促進することになり、結果的に素材メーカー、容器包装メーカー、小売業等利用事業者の3者で発生抑制を進めていくための新しい動きをもたらすことが可能となる。

② こうした観点からは、現行制度において小売業としての利用事業者と容器製造メーカーの負担比率が99.41対0.59というように大きな格差があること、過去5年のそれぞれの事業者に適用される算定係数(再商品化義務量を算定する際に用いる国が定めた係数)の伸びが小売業では約4.5倍であるのに対し、容器包装製造メーカーの伸びが1.5倍に留まっているのは公平性という観点はもとより発生抑制という点から見ても極めて大きな問題である。

③ また、容リ法の現行システムにどれだけ大きな歪みが生じているかをきちんと把握し、全体の取扱いとして発生抑制を進めていくという観点からは、容器の製造や利用に係る事業者がどれだけ実際に負担しているのか、そうした数字を明らかにする必要がある。

④ なお、原材料メーカー、容器製造メーカーに応分の負担を課すことにより、今までずっと放置されてきた「ただ乗り事業者」対策の一部が解決することになる。

2.発生抑制を進めるためには、最終的な容器包装の利用者である消費者における発生抑制への取組みが重要であり、国民全体で応分の負担をしていく制度づくりが必要である。
① 増大するリサイクル費用に苦しみつつ、当協会会員社においてはポイント制などにより、平成16年度約12億円のコスト(会員社中40社)を投じてレジ袋の発生抑制のための努力を行っている。
他方、これだけのコストをかけても、近時、レジ袋辞退率は13%程度で横這いに推移しており限界に近いものと考えられる。

② 容リ法の現行制度は、リサイクル費用の確保という観点から最終的には消費者への転嫁を想定して制度化されたものであるが、容リ法が施行された10年前と比べ、小売業における販売状況、競争状況に大きな変化が生じており、リサイクル費用の確保という観点のみから見ても単純に転嫁をすることが困難な状況になっている。

③ 今後は、単にリサイクルを行うことではなく、国民全体として発生抑制に取組めるようにするため、関係者全員がまとまって対応できるような確実な方法として、レジ袋を有料とすることを法制化すべきである。

3.また、長年放置され未だ存在する「ただ乗り事業者」の確実な解消を図る措置を講ずることも、相応の責任と適正な負担を求めていくという「公平性の確保」の観点から必須のことであり、更に、現行リサイクル制度において再商品化義務が免除されている小規模事業者についても、国民全体による発生抑制への参画意識を持たせるためにも制度の中で明確に位置付けることが必要である。

なお、関係業種・業界毎の再商品化費用負担の現状や、その事業者負担に大きな係わりを持つ再商品化に係る入札・落札プロセスの実態等の情報が明確な方法で開示されておらず、これらの情報を分かりやすい方法で開示することも制度の運用と現状との乖離や問題点を明らかにして対策を講じる上で必要なことである。

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