（株）セブン＆アイ・ホールディングスは、2006年度版「CSRReport2006企業の社会的責任報告書」を発表し、地球温暖化の防止策として、商品輸送にともなうCO2排出の抑制を明確に打ち出している。
グループの取り組み状況として、グループ各社間の共同集荷・共同配送・物流システム統合などを進めることで、商品輸送時の環境負荷の低減に取り組んでいるとして、「一括配送、運行管理システムを活用して、物流効率の向上を推進」「温度帯別の物流センターの設置や共同配送、車載端末による運行管理を推進」「物流センターの整備統合や配送ルートの見直しなどにより配送効率を向上」を掲げている。
具体的には、グループ共通の効率的な物流インフラを構築し商品輸送時の環境負荷を低減している。
セブン&アイHLDGS.の各事業会社では、お客様のニーズに迅速・的確に対応する物流体制を整える一方、物流効率を高める「共同配送システム」「エリアセンター化」を推進している。
さらに今後は、物流網の統合・整理などグループシナジーを発揮した効率的な物流インフラを整備し、商品輸送時の環境負荷低減を進めていきたいと考えている。
2005年度における各事業会社の実績
セブン-イレブン
1店舗当たりのCO2排出量は2003年度比で4.0％改善された。これは商品の温度帯別共同配送の一環として進めてきた常温商品の共同配送システムが全国で整備されたこと、運行ルートを見直したことが要因。
セブン-イレブンでは、創業以来、「高密度多店舗出店（ドミナント方式）」という考え方に基づき店舗を展開。これは、各店舗の商圏を隣接させながら集中的に出店するというもので、出店エリアでの知名度の向上やお客様の来店頻度の増加だけでなく、物流効率を向上させる目的も含まれている。
2005年度には、常温商品（お菓子・雑貨・酒類・ソフトドリンクなど）の一括配送システムの全国展開を完了。
また、商品の輸送トラックの運行状況を把握・管理するための車載運行管理システムの更新を進め、配送員の“運転の癖”などもデータ化できるようにし、日々の業務指導に生かしています。今後は、この新システムを活用しながら、より安全で、効率的なトラック運行に努めていきます。
イトーヨーカドー
1店舗当たりのCO2排出量は2003年度比で21.6％増加した。これは配送センターを新設したことで走行距離を把握・管理する対象が拡大したことが原因。
イトーヨーカドーでは、各出店地域に商品の温度帯別の物流センターを配置するとともに、店舗への共同配送を推進し、配送台数削減に取り組んでいる。
2005年度は、大阪地区に日用品関連の物流センターを開設。これによって、日用品関連の配送台数
が5台から1台へ削減された。また、東北地区では衣料・住居関連品をヨークベニマルと共同配送するシステムを構築し、2006年7月からは生鮮食品の共同配送も開始した。
さらに、輸送トラックの燃費向上と安全運転の徹底を目的に車載端末の導入も進めている。
2006年度は、引き続き車載端末車の拡大に取り組むとともに、車載端末から集めたデータを配送ドライバーへの指導に生かし、安全運転の徹底と、燃費改善によるCO2削減を進めていきたいと考えている。
ヨークベニマル
1店舗当たりのCO2排出量は2003年度比1.6％削減された。物流システムの整備が進み、配送車両台数や走行距離を抑制できたことが要因。
デニーズ
1店舗当たりのCO2排出量は2003年度比12.9％削減と大幅に改善された。これは配送ルートの見直しや車両台数の削減を進めた結果。
デニーズは1982年から共同配送および温度帯別配送を開始し、1日10回必要としていた配送について、冷蔵便・常温便は毎日1回に、冷凍便は週2～3回まで縮減した。
さらに近年は、店舗拡大が配送便増加につながらないよう、物流センターの整備統合や発注精度・積載効率の向上、配送ルートの見直し、冷蔵・常温品の混載納品などに取り組み、配送の効率化に取り組んできた。
その結果、2005年度の配送台数は2004年度比で約2.8％削減することができた。今後は、台数を削減するだけでなく、配送車両のコンディションを保つことも燃費の向上や環境負荷削減には不可欠です。これまでも、お取引先の協力のもと①使用年数5年以内、②走行距離50万㎞以内という基準に従って全車両を管理してきましたが、今後はさらに車両の状態管理を充実させ、燃費効率の改善・環境負荷の低減を強化していく計画。
