住友商事(株)は6月18日、遠成集団有限公司と相互優先利用を目的として事業提携を結ぶことを決めた。同日、上海で調印式を行い、協業包括契約書を締結した。日本からの海上輸送と中国国内モーダルシフトを一体化させた「高速・定時性・クリーン」に特長を持った複合一貫輸送を実現させる。
同社では、今回の提携について「日本式の管理手法をからめたきめ細かなサービスの向上、遠成集団の広い輸送網を活用した充実した輸送手配」を期待。また部材・製品などの中国内の都市間輸送でも同サービスの利用・需要拡大を見込む。
具体的には、提携直後の6月からデジカメなど比較的高価な小物の輸送業務について、提携を開始する。
また中国鉄道部では「特急」の運行路線を現行の4路線から2010年までに45路線まで拡大する。遠成集団は「積極的にサービスエリア拡充に努める」としている。
住友商事の事業投資会社である住商グローバル・ロジスティクス(株)と遠成集団の間で相互に研修生派遣受け入れを行うなど、人材育成面での協業体制も行う。
住友商事は1990年代から中国で物流網構築を積極的に進め、物流センターを中心とする住商グローバルロジスティクス網(天津、上海、深セン、広州、香港)、自動車の完成車輸送や部材調達物流を主業務とする自動車関連輸送、佐川急便と展開する宅配便事業の3本柱を展開し、16拠点を持つ。
また、遠成集団は広範囲の鉄道輸送サービスを運営し、北京・上海・広州・成都・ハルピンを中心として全国300以上の拠点を活用した輸送を手がける。
今回の提携は2005年、同社の日本事務所開所をきっかけに住友商事との関係を強化してきたことで実現。住友商事は博多-上海間を結ぶ高速輸送船「上海スーパーエクスプレス」の運航を2003年に開始し、「迅速通関」と呼ぶ定時性の高いクイック通関サービスも運営している。