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経済産業省/経済成長戦略大綱改定、2015年にアセアン域内の物流コスト半減

2007年06月20日/国際

経済産業省は6月19日、昨年7月に策定した「経済成長戦略大綱」は、2015年度までに取り組むべき施策を、分野横断的な成長戦略としてとりまとめたもので、毎年度、PDCAサイクルにより進捗状況を点検した上でローリングして改定する仕組みのため、第1回目の改定を行った。

物流分野は下記の通り。

産業競争力を支える国際物流競争力の強化
アジア地域の経済一体化を踏まえ、企業の国際競争力強化の観点から、「総合物流施策大綱(2005-2009)」(平成17年11月15日閣議決定)に基づき、ハード・ソフトの物流インフラを、官民がスピード感をもって戦略的・重点的に整備する。

あわせて、低公害車の普及・開発等、原油価格高騰の影響を受けにくい効率的な物流の実現に取り組む。

また、「アジアワイドのシームレスな物流圏」実現を目指し、2006年に策定した「国際物流競争力強化のための行動計画」を着実に実施し、2015年までにASEAN域内における物流コスト等の半減を目指す。

このため、2006年度に構築した「国際物流競争力パートナーシップ」を引き続き存置し、関係省庁が一体となって、総合物流施策大綱やアジア・ゲートウェイ構想とも連携を取りつつ、行動計画を着実に推進し、適切に評価し、次のステップにつなげ、いわゆる日本版AEO制度の構築をはじめ国内外の課題解決に取り組むとともに、ASEANとのパートナーシップを構築する。これらを手始めに、アジアワイドへの拡大を図る。

さらに、外航海運について、産業競争力を支える安定的な国際海上輸送の確保を図るための制度的枠組みの構築に取り組む。

国内農業の体質強化(抜粋)
生産コスト縮減、物流コスト縮減、農協の経済事業の改革等を含む「食料供給コスト縮減アクションプラン」の着実な実施などにより食料供給コストを2010年度までに2割縮減する。

林業・水産業の競争力強化(抜粋)
新たな森林・林業基本計画(平成18年9月)に基づく森林の整備・保全と林業・木材産業の再生を図るため、京都議定書の目標達成にも貢献する「美しい森林もりづくり」、国産材の生産・物流拠点づくりを通じた安定供給体制の確立及び国産材の輸出、木質バイオマス利用の促進を含む国産材の利用拡大を総合的に推進する。

日本版AEO制度の構築等
国際物流については、セキュリティの確保と物流の迅速化・効率化の両立のための取組が世界の潮流となっており、21世紀の国際物流に関する最大の課題の一つ。こうした課題に適切に対応し、我が国の国際競争力を強化するため、アジア・ゲートウェイ構想における貿易手続改革プログラムの取組を進める。

具体的には、日本版AEO(Authorized Economic Operator)制度の構築に向け、民間事業者によるコンプライアンス向上を促すとともに、制度の対象となる事業者の範囲を含め、コンプライアンスに優れた事業者に対する優遇措置を拡充し、また、国際的な相互認証を視野に入れた政府間対話を推進する。

上記制度の構築を含む輸出におけるいわゆる保税搬入原則をはじめとする現行の保税・通関制度等の見直し、原産地証明発給手続の簡素化・迅速化、港湾機能の利便向上・コスト削減や戦略的な運営等の改革を行う。さらに、次世代シングルウィンドウに関して、全体最適な業務プロセスの改善や国内の関連するシステムとの接続の推進、我が国とアジア諸国の通関システムとの連携の推進、NACCS(Nippon Automated Cargo Clearance System)の在り方の検討等に取り組む。

上記の取組については、府省横断的な内閣の重要課題として、官民連携の下、関係各府省の協力による着実な実施と政府全体での継続的なプログラムの改訂を図る。

電子商取引や電子タグ等による「ネットワーク化」の推進
流通・物流分野では、物流の効率化やセキュリティー向上、国際標準化の検討が進む業界が中心となり、関係省庁とも協働して電子タグ等の活用促進や標準化を進める。また、標準化の検討が進むインターネットEDI等の対象商材・業界の拡大を図る。

さらに、取引に関する情報に限らず、製品安全、環境、化学物質管理など、様々な社会的課題への対応上必要となる情報を含め、EDIや電子タグ等の活用による企業・業種・業界の壁や直接の取引関係を超えた情報共有の仕組み(電子商取引・電子タグ基盤)を2010年度までに構築する。具体的には、関係省庁の連携の下、電気・電子、繊維、建材・住宅設備産業のほか、幅広い分野への取組の拡大を図る。

これらの取組を推進するため、製造・卸売・小売等の参画による、幅広く産業横断的なコンセンサス形成を行える場を早急に設置する。

今後発展が期待される重点サービス6分野への政策の重点化
少子高齢化の進展や各サービスの所得弾力性等を踏まえ、今後発展が期待される重点サービス6分野(健康・福祉、育児支援、観光・集客、コンテンツ、ビジネス支援、流通・物流)において、需要の創出・拡大、生産性の向上の両面から重点的に政策を講じることにより、2015年までに、70兆円の市場規模拡大を目指す。

アジア地域の経済一体化、企業の国際競争力を重視した物流インフラの重点的・戦略的な整備
我が国の国際競争力の強化等に資する社会資本整備については、ストックの観点も踏まえ、中長期的(20~30年)に見た我が国経済社会の姿を念頭に、真に次の世代に必要な社会資本整備を行う。

アジア地域の経済一体化を踏まえ、企業の国際競争力強化の観点から、「総合物流施策大綱(2005-2009)」に基づき、ハード・ソフトの物流インフラを、官民がスピード感を持って戦略的・重点的に整備する。スーパー中枢港湾において、2010年度までに、港湾コストを約3割低減、リードタイム(船舶入港から貨物引取りが可能となるまでの時間)を1日程度に短縮するとともに、港湾の広域連携を推進し、我が国港湾の国際競争力の強化を図る。

また、臨海部におけるコンテナターミナル等と一体的に機能する高度で大規模な物流拠点(ロジスティクスセンター)の形成の促進による物流の効率化・シームレス化を図る。成田空港については2009年度内に約1割の能力増強のための施設整備、羽田空港については2010年内に約4割の能力増強のための施設整備とともに国際定期便の就航を図り、関西空港について2007年に2期限定供用し、大都市圏拠点空港の機能強化を図る。

アジアとのゲートウェイとなる港湾の機能向上、港湾・空港アクセスを含む、国際物流に対応した道路網・鉄道網の戦略的な構築、物流結節点におけるロジスティクス機能の高度化、ITSの活用等による国内外一体となった物流ネットワークの構築に取り組む。

その際、物流インフラの整備に当たっては、我が国財政の厳しい現況を踏まえ、事業評価の厳格な実施、コスト縮減、事業の迅速化等により、重点的、効果的かつ効率的に実施するとともに、既存社会資本の有効活用を進める。

経済成長戦略大綱本文は、下記URLを参照。
http://www.meti.go.jp/press/20070619006/03_taikou.pdf

経済成長戦略大綱工程表は、下記URLを参照。
http://www.meti.go.jp/press/20070619006/04_koutei.pdf

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