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三井物産/ブラジル農業生産事業に参入、輸送ロジスティクス強化

2007年11月15日/国際

三井物産(株)は11月13日、ブラジルの農業生産事業に参入することを発表した。ブラジルに広大な農地を保有し農産物の生産を行う「AGRICOLA XINGU SA」社の親会社である「XINGU AG」社(スイス本社)の株式を取得し、同株式を「MULTIGRAIN AG」社(スイス本社)に譲渡したと発表した。

三井物産は8月、ブラジルで大豆を中心とした穀物の集荷・輸出をコアビジネスとする「MULTIGRAIN S.A.」社を子会社に持つMULTIGRAIN社に25%資本参加したが、今回の株式譲渡でMULTIGRAIN社がXINGU社を100%子会社化。これにより、MULTIGRAINは、大豆だけでなくコーン、綿花にも取り扱い品目を広げ、生産から輸出までを一貫管理する体制を構築する。三井物産によるMULTIGRAIN社への総出資額は約100億円となり、「ブラジルでの農業生産事業参入への第一歩」と説明している。

国連食糧農業機関(FAO)は、ブラジルの耕作可能面積は約2億5000万ヘクタールで、このうち現在使用されている農地は約6000万ヘクタールのみであることから、今後耕作面積を大きく拡大できる余地があると発表しており、「ブラジルは世界の食糧需要増を満たせる数少ない国の1つ」としている。

MULTIGRAIN社は、全米最大の農協である「CHS INC」社、ブラジル民族系穀物会社である「PMG TRADING S.A.」、三井物産の3社で共同運営。同社は、約10万ヘクタールの広大な農場を保有するXINGU社を傘下に収めることにより、安定的な食糧供給源を確保するとともに、生産から輸出までの一貫管理体制の構築が可能になる。

三井物産では「より迅速且つ効率的に需要家へ農産物を届ける」ため、輸送ロジスティックの強化も図る。将来的に、アグリビジネスの新規分野、例えば自社農場でサトウキビを生産し、エタノール生産を行うことなどの検討も視野に入れる。

米国で農業のノウハウを持つCHS、ブラジルのアグリビジネスに見識の深いPMGとともに、三井物産が長年ブラジルで培った総合力を生かしながら、MULTIGRAIN社を生産から加工、輸出までを行なう総合アグリビジネス企業へ進化させることを目指す。

また、農産物の生産拡大余力のあるブラジルでの農業生産へ参入することで、グローバルな食糧需要への対応、「食の安全」確保への貢献を目指し、農場所在地域の新規雇用創出と地域経済の振興も視野に入れる。

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