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流通システム開発センター/消費財での物流分野などの電子タグ利用を発表

2008年07月08日/セミナー

流通システム開発センター、次世代電子商取引推進協議会、Auto-IDラボ・ジャパンは7月7日、東京都新宿区の明治記念館で「平成19年度経済産業省電子タグ実証事業成果報告会」を開催した。

報告会では7社・団体がそれぞれの分野で実施している、物流分野への電子タグ導入・実証事業の進捗状況、試験結果を報告した。どの報告でも、通常煩雑な物流の各過程に電子タグを導入した場合、入出庫や棚卸し、在庫確認などで手作業が大幅に軽減されることが証明された。

7件の報告の中で、特に注目を集めていたのは永井祥一・講談社次長による「出版業界における電子タグ活用調査事業」と、笹川雅幸・野村総合研究所グループマネージャーの「日配品分野などにおける物流クレート共有化に関する電子タグ実証試験」の2件の報告だった。

永井次長の報告内容は、電子タグのトレーサビリティを利用し、書店での万引き防止につなげる取り組み。新刊本を新古書店で換金するためなどの万引きは、書店(大手14社)のロス額の73.64%、1億1299万円にも上る。このため代金未払いの情報を記憶した電子タグを添付した本を新古書店でタグリーダーに読み取らせると、未払い情報が読み取れ買い取りができないことから、不正流通防止に役立つとされた。

この場合、一店舗当たり6.9台のタグリーダーが必要となるが、導入2年目以降から効果が現れると見込んでいる。永井次長は、「関係各社で、もし出版向けが事業機会につながると考えてくれるようになれば有難い」とし、報告を締めくくった。

笹川研究員は、流通過程で汚損、紛失が多いクレート(折りたたみ式コンテナ)の紛失防止に電子タグを活用する取り組みを報告した。6週間にわたり、電子タグを5100個のクレートのカードホルダー部分に添付した場合、各ベンダーやクレートのレンタル会社などからクレートが移動した時点で情報が記録されるため、従来約12.6%/年だったクレートの紛失率が0.1%にまで低減できたという。

また導入初年度は除くが、3450トン/年のCO2排出削減効果も見込まれているという。カードホルダーのないクレートの場合や、データ読み取り時の荷さばき速度など課題は残っているが、製・配・販の各界の期待は大きいようだ。

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