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ヤマトグローバルロジスティクスジャパン/角田淳社長インタビュー

2008年10月28日/3PL・物流企業

ヤマトロジスティクスの貿易物流サービス部門を承継する形で8月に発足したヤマトグローバルロジスティクスジャパン。日本郵船の出資とノウハウも得て、体制固めを本格化。今後の本格的な船出を目指す。中でも、製造業をターゲットに通関書類の作成や通関手続きまで代行するエクスポート・ファクトリーのサービスは、他のどんな国際物流大手とも異なっている。国際物流に新たな視点で切り込む同社の舵取りをする角田淳社長に、今後の展開などを聞いた。

<角田淳社長>
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―フォワーディング事業が主力と聞くが、その中で今後注力する部分や必要になる部分とは
我々が目指すのは3PLの国際的なロジスティクス・プロバイダーだ。言うまでもなく国内の製造業は随分海外に進出を果たしている。それに対する部品、部材の調達物流は手間がかかり、この問題がなかなか改善されていない。そこを我々の持つ機能と、梱包を請け負うヤマトパッキングサービス、工場内の製造組立など請負作業を担う湖南工業などのグループ会社との総合力でサービスを提供していきたい。

従来は、個々の会社がサービスを提供していたので総合的なサービス提供ができなかった。それを今回、会社の垣根を越えて顧客に良質のサービス、ソリューションを提供していきたい。特に、部品・部材の物流で、数百社の顧客から一挙に集荷するシステムを構築し、最終的に海外の工場などに供給する体制を作りたいと思っている。

例えば、物流領域だけでなく海外拠点の生産管理改善や海外拠点での在庫調整領域にまで踏み込んだSCM全体の課題解決も支援していきたい。

― J主力は海外の生産拠点への供給ということか
その逆もあろうかと思う。海外の工場の生産品や、海外のサプライヤーから現地調達したものを集荷して国内に輸送する。まずは、原木で6月4日から運用を開始した、エクスポート・ファクトリーがモデルケースだと思う。ここにはヤマトパッキングサービスと我々の通関部隊が常駐しており、顧客の情報整理、通関~船積みまでの過程を一気に処理できる。地理的にも成田空港、船積みの両方に対応できる。

エクスポート・ファクトリーは輸出もするが、納品代行業務もありえる。そういう総合的な役務をこなせる施設を目指したい。原木では数社から輸出業務を受託しているし、輸入した荷物をエンドユーザーまで配送する業務も行っている。国内だけでなく、海外にもそういうニーズがあり、このスキームは水平展開できる。まず国内で顧客に喜んでもらってから海外展開を考えたい。

― その数社の業種とは
部品関係や機械メーカーなどだ。今後こういう分野は掘り下げて取り組みたい。そのほかの注力分野は大きく絞ると機械関係だろう。それに運搬機器、分野横断的だが電子部品関係などだ。特に電子部品は専門商社があり、メーカーも無論部品は生産している。その分野で非常に入り組んだ部分を、我々の機能を駆使することで整理していきたい。

― エクスポート・ファクトリーの運用状況は
輸送コストもそうだが、顧客の書類作成や問い合わせの状況が全てネット上で確認できる点が喜ばれている。エクスポート・ファクトリーで使用している、エクスポート・アシスト・システムというシステムがあり、これを使うと特に部品系の顧客の負担が非常に軽減できる。インボイスパッキングリストのデータを海上保険などにも提供し効率化するなど、データには様々な汎用的要素がある。

今後どんどん顧客に提案し、活用してもらいたいと思っている。サプライヤーが製造した部品が機器に搭載されるまでの時間は意外に省みられてこなかった。平均して梱包、書類作成など諸々の手間を含めると6日ほどかかっていた。我々のスキームでは半減できる。航空貨物なら翌日には飛ばせる。

<エクスポート・ファクトリーの概要>

―メーカーは現地調達比率を引き上げる必要に迫られる一方、キーコンポーネントは日本から輸出している。品質やリードタイム、現場までの工程のスケジューリングの問題も多いと思うが
部品メーカー、サプライヤーの軒先から貨物情報をすべて捉えていくということを考えている。複数の業者に委託した場合それはできなくなる。一つの仕向け地ならば可能だが、その場合顧客にどういうメリットがあるのかは疑問だ。いかに納期を順守するか、輸送過程を可視化できるのか、リードタイムは短縮できるかなどを解決するため、まず顧客の販売計画の前に製造計画から関わる必要がある。上流段階から関わることで、物流コストがこれだけ安くなるという提案が顧客にできるわけだ。

―メーカーの調達の効率化について
部品の調達は、大手ならばそれぞれ物流部門があるが、在庫や製品物流の部分だけを見ている。むしろ生産管理部や調達部の領域。顧客の生産部門は、自分たちだけでは通関書類を作成できない。そこで営業部や海外事業部に頼んで作成してもらっているのが現状だ。でもそうすると、調達コストが何パーセントか上乗せされることになる。折角安く作るために苦労して調達しているのに、ジレンマが起きてしまうことになる。

そこで我々が中に入り現地調達の手助けなどをするわけだ。メーカーにもよるが、すべてのラインを海外移転することはありえない。一部だけを移転してリスクヘッジしているのだ。その部分で、同じサプライヤーから直接購買したい。しかしどこで通関書類を作成すれば良いかが分からない。

我々に発注していただくと、海外から発注したものがサプライヤーに届く。どこに配送するか、輸送手段は貨物便か船か、そういうところまで現地の生産管理部、調達部の担当者が見れる。メーカー、サプライヤーにとって非常に助かるスキームと自負している。

現状は、国内での生産工程が最重要視され、海外はその次という位置付けになっている。その悩みもこのスキームで可視化でき、スムーズになるのではないか。それと、メーカーの受発注システムが急速なIT化の進展でぶつ切りにされている。例えば工場内のシステムと、海外の生産拠点のシステムがうまくリンクしていない例が多い。輸出面ではそこがメーカーの大きな悩みだろう。

― 日本郵船の資本が30%入っているが、シナジー効果などは
郵船航空との協働では、まず混載効率を上げようということがある。また共有しているオペレーションを共通化する取り組みもある。ヤマトグローバルエキスプレスという、航空便の関連会社があり、集荷・集配を共同で実施しようという話を詰めているところだ。航空混載では一部仕向け地で(共同集荷を)実施している。

― 新会社の船出に際して抱負を
まずは体制を早く変えてグローバル・プロバイダーになりたい。そのためには業態ごとにサービス内容を絞り込んで具体化していくことが重要だ。ソリューション部隊を編成し、日夜営業活動やヒアリングを行っている。その甲斐あって、だんだんと形が見えてきた。来春くらいまでに体制を固めたい。非常に景気が悪い状況になっているが、新しい視点や切り口でサービスを提案することで、顧客に引き続き使っていただけると思っている。 

何でも請け負うのではなく、業種・業態に合わせた配送方法があると思うのでそこをまず掘り下げていくというのが当面の目標だ。モノづくりの物流は、まだまだ苦労の多い分野だ。その問題は、我々の総合力を使って解決できると信じている。

問合せ
ヤマトグローバルロジスティクスジャパン
東京都中央区新川1-10-14 ニューリバービル6F
TEL03-5542-8600(代表)         
http://www.y-logi.com/ygl/index.html

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