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公取委/国際航空貨物の新規参入拡大へ、通関業法の見直し論議

2008年12月16日/3PL・物流企業

公正取引委員会は12月12日、12月5日に開催された「政府規制等と競争政策に関する研究会」(座長・岩田規久男/学習院大学経済学部長)の概要を発表した。

研究会は、競争政策の観点から政府規制と独占禁止法の適用除外制度についての検討を行うために立ち上げた組織で、5日の会合では「国際拠点空港での国際航空貨物の輸出入に関する競争政策」をテーマに取り上げた。

それによると、空港の運営管理について羽田空港では、PFI方式で管理運営を受託する事業者選定の段階から、上屋の割り当て方法が問題となっており、客観的な上屋の割り当て基準を作る必要性があるとし、上屋の割り当てに関するイコールフッティングの確保が重要な課題であるとの指摘があった。

上屋の割り当て方法としては、「入札方式も考えられるのではないか」という意見があがったほか、「空港内の上屋の割り当てを民間企業が行う場合、一私企業に対して公平な上屋の割り当てを行うように求めるのは難しいのではないか」としたうえで、公平な割り当てを実現していくため、独占禁止法などの一般的なルールによる規律を適用するか、特別な法律に基づく規律を適用していくのか、2つのアプローチが考えられるとの声があがった。

さらに、民営化について議論されている成田国際空港についても言及し、「関西、中部両国際空港についても国の出資比率を今後見直していくということであれば、両国際空港にも成田国際空港と同じような問題が生じるのではないか」との指摘があった。

一方、通関業をめぐる規制についても議題に取り上げられ、「現行の需給調整の機能では、営業区域の制限を前提とした需給調整が行われており、現行制度の一番の問題点は、需給調整条項があると、同一営業区域内での業務拡大や他の営業区域での業務開始が制限されてしまうことである。そこで、需給調整条項を廃止すれば、営業区域をまたぐ営業も自由になるため、現在の作業環境が変わるのではないか」との提言があった。

また、通関業の許可基準についても触れられ、通関業法第5条第3号の需給調整条項に加えて、通関業務を適正に遂行することができる能力を有し、十分な社会的信用を有することを定めた第2号の要件は、通関業への新規参入を阻んでいるのではないか、という意見もあがった。

第2号の要件では、キャリアを要することが定められており、「これでは資格を取得したばかりの通関士では許可が与えられないことなり、このような曖昧な規定は、新規参入の際に非常に競争阻害的に働くことになると考えられる」との指摘があった。

このほか、営業区域の制限について、「区域ごとの税関長に、通関業を行うことについての許可権限まで与える必要があるだろうか。税関長が通関業者に対する監督権限を持っていれば、許可権限がなくても、通関業の適正な運営は確保できるのではないか」という声や、「需給調整条項を廃止する場合、営業区域の変更は、いずれかの税関長から通関業の許可を受けていれば、届出にするという方法も考えられる」という声も上がった。

さらに、営業区域の制限の理由が、税関検査などに迅速に対応できる体制を確保するためということであれば、営業区域の制限は不要であり、規制がなくても近くに営業所を持たない通関業者に対して荷主は依頼しないだけであり、そのような通関業者は自然淘汰されるという意見や、料金の上限規制については利用者保護という目的は理解できるが、料金が上限に高止まりするという効果が起こる場合も考えられるという意見もあがった。

政府規制等と競争政策に関する研究会のメンバー
座長:岩田規久男/学習院大学経済学部長
井手秀樹/慶応義塾大学商学部教授
川島富士雄/名古屋大学大学院国際開発研究科准教授
岸井大太郎/法政大学法学部教授
清野一治/早稲田大学政治経済学部教授
下村研一/神戸大学経済経営研究所教授
中川寛子/北海道大学大学院法学研究科准教授
松村敏弘/東京大学社会科学研究所教授
山内弘隆/一橋大学大学院商学研究科長
吉野源太郎/日本経済研究センター客員研究員

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