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UPS/サプライチェーン効率化意識、日本の中小企業は低レベル

2009年05月26日/調査・統計

UPSは5月26日、アジアの中小企業の競争力に関する意識調査「2009年版アジア・ビジネスモニター」の調査結果を発表した。調査は5回目で、今回は日本、中国、インドなど環太平洋地域12か国で1200名の中小企業経営者を対象に調査した。

まずアジア域内の経済成長見通しでは、楽観的な見方が減少しアジア全体でもその見方は15%に落ち込んだ。特にシンガポール、香港は、12か国中最も悲観的で、成長を予測した経営者はそれぞれ4%、5%にとどまった。日本の中小企業経営者は19%が成長を予測した一方で「後退する」との回答も69%と過半数を占め、アジア全体の65%を上回る結果となった。

経済の回復時期では、アジア全体では47%とほぼ半数が2010年までには回復すると回答。日本は回復は2013年以降になるとの見方が29%と多く、中小企業の不安感を反映した結果となった。自社の業績予測では「2008年と比べて改善する」と答えた経営者はアジア全体でも25%。2005年の調査開始以来、アジア全体では常に60%超を記録していたが、今回初めて大きく落ち込んだ。

日本では、「改善する」と答えた中小企業経営者は昨年の28%から12%へとさらに減少した。「悪化する」との回答は、昨年の15%から65%へと大きく増加した。

また、2009年の従業員数の見通しでは「増やす」と答えた中小企業経営者はアジア全体で昨年の49%から21%に落ち込み、日本では昨年は5%だったが、今年は21%とアジア平均と並んだ。経営維持策としては、日本では「コストカット(人件費を除く)」(78%)が最も多く、「人件費の削減」がアジア平均は33%であるのに対し、日本では51%の経営者が回答し、アジアで最も多くなってる。

さらに、中小企業の競争力を左右する要因を聞いた質問では、「有能な人材」という回答が重要度・不足度ともに最も高くなっている。これらの結果から、日本の中小企業にとって人件費は経営を圧迫する大きな要因ではあるものの、有能な人材の重要性・不足感は昨年までと変わらず中小企業の課題であると言える。

2009年のアジア市場で中小企業にとって潜在成長力が高い産業分野を聞いたところ、日本では公共事業・エネルギー(39%)、ヘルスケア・医薬品(36%)、バイオテクノロジー(35%)が上位となり、昨年トップ3だったIT(41%から20%に低下)、自動車(25%から6%に低下)、製造(22%から14%に低下)にとって変わった。昨年はわずか4%だった農業・林業・漁業は19%に急上昇するなど、不景気の影響を受けにくい業種に期待する傾向が表れた。

中小企業が成長するために最も大きな契機となるものとの設問では、「より高い付加価値のある製品やサービス」の回答が日本でもアジア全体でも最も多く、「新規市場の開拓」や「業務や生産の効率化」などを上回った。特に日本では付加価値を成長の契機と考える人が58%と過半数に上っている。

一方、これらの要因で日本の中小企業にとって、「サプライチェーンの効率化」の重要性は他の要因と比べ59%だった。アジア全体の平均が84%であるのに対しても日本は低く、サプライチェーンへの意識が薄いことが伺える。

さらに、サプライチェーンの捉え方としては、「コスト削減の手段」(32%)、「品質保証の手段」(18%)がアジア全体の結果と同様に上位だったが、「ビジネスの成功に必ずしも必要なものでない」という回答も23%とアジア全体の11%を上回り、ここでも日本の中小企業がサプライチェーンをあまり重視していないことが見て取れる。

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