三菱化学と蘭ロイヤルDSMN.Vは5月29日、DSMエンジニアリングプラスチックスが欧州を中心に展開しているポリカーボネート事業と三菱化学、三菱エンジニアリングプラスチックス2社が日本を含めたアジアを中心に展開しているナイロン事業について、競争力の強化を目的とした事業の交換の検討に入ることで基本合意書を締結し、具体的検討に入ったと発表した。
DSMは、ナイロン事業を主力事業の一つと位置づけており、DSMエンプラが2社のナイロン事業を譲り受けることにより、日本と中国を含むアジア市場で、自動車、電気・電子、包装資材分野のサービスと新規開発能力を向上させる。最終的には、エンジニアリング樹脂用ナイロンの世界2大メーカーとしての地位を確立することを目指す。DSMは2008年、中国で6ナイロンの生産を開始している。
三菱化学は、ポリカーボネート事業については、集中事業の一つとして位置づけて、グローバル展開している。DSMから事業を譲り受けることにより、同社の付加価値の高いコンパウンド品を中心としたポリカーボネート事業を、同社が三菱エンプラとともに、欧州とアジアで展開することが可能となる。譲渡を検討している両社の事業規模は、それぞれ2008年度で約120億円（9000万ユーロ）。
事業交換を実施した場合、製造については、三菱化学と三菱エンプラが、ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラチックスから、ナイロン樹脂・コンパウンド製品の日本での生産を受託し、DSMエンプラが、三菱化学と三菱エンプラから、ポリカーボネート樹脂コンパウンド品のベルギーでの生産を受託。販売・技術サービスにおいても、継続的な相互協力関係を構築する予定だ。
今後は、年内に事業の交換を実行することを目標に、両社で具体的な検討を進めていく。
