東レと東レ・ファインケミカル（TFC）は6月29日、中国石化集団（SINOPEC）傘下の中国石化集団資産経営管理有限公司とジメチルスルホキシド（DMSO）の生産・販売合弁会社を中国に設立することで合意したと発表した。
合意にもとづき、ことし7月に合弁新会社「滄州東麗精細化工有限公司」を、中国河北省滄州市に設立する。設立にあたり、資産管理公司が持つDMSOの中間体原料ジメチルスルフィド（DMS）生産設備を取得するとともに、DMSO生産設備の新設工事を実施し、年間1万トンのDMSOを生産・販売する。総投資額は約2100万ドル（20億円）。
DMSOは、有機化合物や無機化合物を溶かす非プロトン系の極性溶剤。高い溶解力や浸透性を活かして、電子部品やプラントの洗浄剤はじめ、自動車部品成型用の剥離剤、医薬・農薬等の反応溶媒など、幅広く使用されている。
DMSOの世界需要は約6万トン（2008年）と推定されている。中国市場ではDMSOを使用する日系や台湾系の電子部品メーカーの進出により、電子材料用途の拡大が見込まれる一方、医薬・農薬分野での需要拡大が期待できるという。
TFCは現在、千葉事業場（千葉県市原市）と東海事業場（愛知県東海市）で年1万7000トンのDMSOを生産。日本唯一で世界ナンバーワンのメーカーとして位置づけられるという。TFCは今回の合弁新会社の設立を機に、DMSOのグローバルオペレーション体制を構築し、世界ナンバーワンとしての地位を揺ぎないものにする考えだ。東レはケミカル事業で、海外拠点の強化を軸にグローバルオペレーションを一層深化させ、成長市場を確実に取り込む。
