フェデラルエクスプレスは、アジアの中小企業に関する調査を実施、調査結果を「業績回復に向けて:アジアの中小企業が直面する課題とビジネスチャンス」と題した報告書にまとめた。
報告書では、アジアの中小輸出企業が生き残るためには依然としてコスト管理が重要な要素である一方、アジア内における需要拡大と地域内貿易の高まりから恩恵を受ける可能性が高いとしている。とりわけ、地域内貿易のさらなる拡大のカギとなるのは、多数締結されている自由貿易協定(FTA)を活用すること。
調査は、フェデックスがエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)に委託して実施したもので、企業経営者やアジア経済専門家への聞き取り調査、アジア開発銀行や各国政府機関が発表した最新レポートを基盤にまとめた。
報告書では、中小企業がアジア経済に生じつつある二つのダイナミズムをいかにして享受できるかについて、まず、欧米先進国に対する輸出への依存から脱却し、アジア市場へ重点をシフトする必要性が高まっていること。そして、アジア各国の中小企業が消費者需要の急拡大している中国という巨大市場を活用し、地域内貿易を拡大することであるとしている。
過去数年間にわたり、アジア諸国は相互の貿易拡大を目的に、積極的に自由貿易協定(FTA)を締結し、現在、アジア太平洋地域内貿易の拡大に貢献している。
2009年中旬までに、アジア太平洋地域の諸国間および他の地域の国々との間に54件のFTAが締結されており、ごく最近では、2010年1月1日に中国とASEAN(東南アジア諸国連合)とのFTAが発効された。
これは、約17億人の消費者がいる共通市場が創出され、中国とASEANの中でも最も豊かな6か国との間で製品貿易の90%が無関税で行われるようになることを意味している。
FTAによってもたらされる優遇措置は、アジア太平洋地域の中小企業にとって国外進出のための優れた機会になり得るが、調査によれば、複数の関税表や煩雑な事務処理に対応できるだけの態勢が整っておらず、FTAの規定を自社の利益につなげるための知識が不足している中小企業も多いと言う。
中小企業が拡大する地域内貿易のトレンドを活用するためには、政府によるガイドラインの向上と更なる情報開示が不可欠としている。
■報告書の全文(英語)
http://www.eiu.com/sponsor/fedex/towardstherecovery
■日本語の報告書(概要)
http://graphics.eiu.com/upload/FedEx_main_JPN_Jan20_lowres.pdf