澁澤倉庫(株)の平成17年3月期中間決算短信(連結)の経営成績は下記のとおり。
物流業界は、輸出入貨物の増加や猛暑の後押しもあり、一部貨物の荷動きが好調に推移したものの、荷主企業からの物流合理化要請の影響が続いたことに加え、長期化傾向にある原油価格の高騰や環境問題への対応などコスト上昇要因もあり、厳しい状況が続いた。
このような厳しい事業環境のなか、グループの物流事業は、国内貨物輸送量の減少傾向と物流形態の変化に対処するため、国際物流への取組を強化するとともに、流通加工業務や情報管理サービスを兼ね備えた付加価値の高い配送センター機能の拡充と作業の効率化を推進し、新規取引の開拓や既存取引の商圏拡大に努めた。
不動産事業におきましては、子会社澁澤陸運株式会社との共同事業である神戸市東灘区の「澁澤深江浜ビル」における建物賃貸借契約が中途解約となったが、その他の既存賃貸施設は機能や快適性の改善を進め、長期安定的な契約の確保に努めた。
その結果、当中間期の営業収益はコンテナ・ターミナル運営業務の終了や「澁澤深江浜ビル」の解約があったものの、266億4千4百万円と前年同期に比べ2.9%の増収となり、営業利益は9億3百万円と前年同期に比べ22.1%の増益、経常利益は8億3千2百万円と前年同期に比べ16.7%の増益となった。
また、「澁澤深江浜ビル」の中途解約に伴う賃貸契約解約違約金の収受および固定資産の除却等により、特別利益を19億3千5百万円および特別損失を18億3千7百万円計上した。これにより、中間純利益は3億7千2百万円となり、前年同期に比べ11.1%の増益となった。
セグメント別の概況
物流事業
倉庫業務は、個人消費の回復と猛暑の影響等もあり、家電製品や日用品、食品類を中心に取扱いが増加しましたので、営業収益は前年同期比増収となった。
港湾運送業務は、輸出入貨物の取扱量は増加したが、在来船に係る船内荷役業務の取扱量が減少したことに加え、前年同期に大阪港および神戸港におけるコンテナ・ターミナル運営業務が終了したことにより、営業収益は前年同期比減収となった。
陸上運送業務は、昨年10月に稼働した「新船橋物流センター」の荷捌業務が寄与したほか、飲料や家電製品の荷動きが活発だったことに加え、日用品を中心とした配送業務やフェリー輸送の取扱いが伸張し、引越業務におきましても大型ビル移転の取扱いが寄与したこともあり、営業収益は前年同期比増収となった。
国際輸送業務は、航空貨物の取扱いが輸出入とも堅調に推移したほか、中国、ベトナムを中心に、海外荷捌業務や国際一貫輸送業務の取扱いが伸張し、営業収益は前年同期比増収となった。この結果、物流事業全体の営業収益は、236億3千万円と前年同期比2.7%の増収となった。
不動産事業(省略)
通期の見通し
今後のわが国経済は、個人消費や民間設備投資が堅調に推移していることから、引き続き景気回復が続くものと予測されるが、原油価格の高騰や海外経済の減速による輸出の鈍化が懸念されており、また、台風や新潟県中越地震といった自然災害による心理的な影響もあり、景気の先行きは不透明感を増している。
物流業界は、荷動きは内需の回復基調を背景に増加傾向を維持するものと期待されているが、荷主企業からの物流合理化の要請が続くなか、競争の激化に加え、原油高による燃料費の上昇など事業環境は厳しさを増している。
不動産賃貸業界は、都心部を中心としたオフィスビルの大量供給の影響により、賃料や立地のみならず機能性や快適性などオフィス環境面における競争が激化している。
また、物流、不動産賃貸いずれの業界も、環境への負荷低減など環境問題への適切な対応が不可欠となっている。
当期の通期業績見通しは、昨年10月に稼働開始の「新船橋物流センター」が通期寄与し、また、本年5月に稼働した「澁澤シティプレイス永代」が寄与することに加え、景気の緩やかな回復を受けて、物流各事業の取扱量も堅調に推移するものと思われるので、コンテナ・ターミナル運営業務終了や「澁澤深江浜ビル」解約の影響および「澁澤シティプレイス永代」の取得に係る一時費用を吸収して、営業収益、営業利益、経常利益および当期純利益はともに前期実績を上回るものと予測している。