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日通総研/震災の影響で国内貨物総輸送量3.8%~3.3%減

2011年04月06日/調査・統計

日通総合研究所は4月4日、「2011年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」を発表した。

それによると、当初、10~12月期の四半期別GDP速報をベースに、2011年度の実質経済成長率を1.7%と予測。外需の伸び悩みや内需の足踏みなどを背景に、2011年度半ばまで調整局面が続くものの、年度後半には外需の盛り上がりに伴い生産等も上向くことにより、成長率も持ち直していくというシナリオだった。

しかし、東日本大震災(以下:震災)と福島第一原発事故の発生が、日本経済に対し深刻なダメージを与えることは不可避であることから、再度予測作業を行っている。

被害者数、交通・物流インフラや建造物の損壊など、被害状況は徐々に明らかになりつつあるものの、全容は依然として不明のまま。さらに、原発事故に至っては、事態収拾の目処すらいまだに立たない状況にある。

したがって、この予測は、3月末現在における限定された情報等をベースに行ったものとしている。

予測における主要な前提を、・直接被害額は約20兆円(原発事故の分は含まず)・毀損した民間建築物、民間企業設備、公共インフラ等は、今後3年間で再建 ・2011年度の補正予算規模は10兆円超(うち、真水部分は5兆円程度)・計画停電は、2011年度中は6か月間実施(⇒今後、総量規制への移行も想定されるが、本予測では総量規制も「計画停電」に含める)・本予測では便宜的に、がれきの撤去などに伴う需要を「復旧需要」、建築物・設備・インフラ等の再建・整備に向けた投資需要等を「復興需要」と定義 ・本格的な復旧需要は4~6月期より、本格的な復興需要は10~12月期より顕在化 ・発生するがれきの量は5000万~8000万トン程度で、2年間で完全撤去、として分析を進めている。

全体的な経済面では、震災に伴う復興で民間住宅投資投資、民間設備投資、公共投資などが増加し、GDPを押し上げる要因となる半面、被災地域での生産・投資・消費などの停滞、他地域への部品供給の停止、計画停電による生産活動や消費需要の落ち込み等、GDPを押し下げる要素も多いとしている。

その結果、GDPは1.0~1.5%押し下げられることになり、2011年度の実質経済成長率は0.2~0.7%と、かろうじてマイナス成長は免れるものの低成長にとどまるものと予測している。

国内貨物輸送についての予測では、当初、2011年度の総輸送量を前年度比で1.9%減と見込んでいた。しかし、震災の影響に伴い、1.4~1.9ポイント下押しされることから、3%台のマイナスは避けられないものと予測。なかでも、生産関連貨物については、機械や化学工業品などの大幅減に伴い、当初の予測値(1.0%減)を大幅に下方修正し、6%前後の減少になるものとみた。

また、消費関連貨物についても、2%台の減少を予測した。一方、建設関連貨物については、復旧・復興需要に伴い、1~2ポイント上方修正した、としている。

国際貨物輸送についての予測では、、輸出については、震災の影響により、外貿コンテナ貨物では4.2~4.7ポイント、国際航空貨物では3.3~3.8ポイント成長が下押しされ、年度全体でみると、外貿コンテナ貨物、国際航空貨物ともにほぼ前年度水準並みの水準で推移するものと予測される。

輸入についは、輸入においても上期は前年度水準割れとなる。年度全体でみると、震災に伴い、外貿コンテナ貨物では1.5~2.0ポイント、国際航空では1.8~2.3ポイント伸びが下押しされ、プラス成長は維持するものの、1桁台前半の伸びにとどまるものとみられるとしている。

■2011年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)
http://www.nittsu-soken.co.jp/

問い合わせ
日通総合研究所
経済研究部
TEL:03-6251-3362

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