全国新スマート物流推進協議会は7月1日、過疎化やドライバー不足により地域のラストワンマイル配送が困難となっている現状を踏まえ、5月に策定したドローンなどの先端技術と地域の共助を組み合わせた新しい配送モデル「コミュニティ配送」の実現に向けた提言書を、伊東良孝内閣府特命担当大臣(地方創生)兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣に手交したと発表した。
<伊東良孝大臣に提言書を手交(写真向かって左より協議会 田路 圭輔理事 エアロネクスト社長 グループCEO、副会長の舩木 直美小菅村長、伊東良孝大臣、会長の竹中 貢上士幌町長、理事の河合秀治セイノーラストワンマイル社長)>
提言書では、コミュニティ配送を通じた持続可能な地域物流インフラの構築を目指している。「コミュニティ配送」とは、一定地域内において荷物を集約拠点(デポ)に集め、その先のラストワンマイルの配送をドローンや自動運転車両、自動配送ロボットといった先端技術、または地域住民の協力による「共助」の仕組みで行うことで、持続可能で効率的な地域配送を実現するモデル。
物流事業者は拠点までの配送をもって業務完了とするため、効率性が向上し、同時に地域住民の生活インフラとしての物流が確保される新たな仕組み。
過疎地域においては、人口減少とドライバー不足により、従来の物流網の維持が極めて困難になりつつある。例えば北海道上士幌町では、配送量の2割を占める農村部への配送に、全体の配送時間の8割を要するという極めて非効率な状況が確認されており、地域住民の生活を支える物流インフラの崩壊が現実味を帯びている。
こうした状況を打開するため、提言では、先端技術と地域住民の共助を融合した「コミュニティ配送」モデルの導入を提案している。新技術を活用しながら、地域の住民や事業者が協力してラストワンマイル配送を担うことで、効率化と持続可能性の両立を実現する新たな地域物流の姿を描く。
さらに、こうした仕組みを各地に展開するためには、地域ごとの事情を踏まえた制度設計と合意形成の枠組みが不可欠。そこで提言では、地域住民、物流事業者、自治体が一体となって協議し、地域物流計画を策定する「地域物流協議会」の設置を提案している。この枠組みは、公共交通分野において導入されている「地域公共交通会議」の制度設計を参考としたものであり、地域に根差した物流の在り方を実現するための基盤となるもの。
コミュニティ配送は一定の公共性を有するがゆえに、初期投資や運営費を地域内の関係者がどのように分担するかという財政面での制度設計も不可欠。これらの課題に対応するためには、政府による制度的・財政的な後押しが強く求められており、政策形成や制度改革が今まさに問われている局面にある、としている。
全国新スマート物流推進協議会/「コミュニティ配送」実現へ提言書策定