日本郵船は4月20日、新日本製鐵と共同で、世界で初めて開発・実用化した原油タンカー用高耐食性厚鋼板が、新技術開発財団から第43回市村産業賞貢献賞を受賞したと発表した。
原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-1」は、まず建造時、修繕時の塗装コストの低減が期待される。また、劣化懸念がある塗装ではなく、鋼材そのもので耐食性を実現する為、船舶の安全性と信頼性が向上する。さらに、塗料や有機溶剤の使用が不要となり、環境に優しい船舶が実現。少量の合金（レアメタル）で極めて高い耐食性を実現するため、溶接・加工を従来の鋼材と同様に施すことができる、などの特長を持っている。
両社は、NSGP-1を日本郵船のVLCC（超大型原油タンカー)のタンク底面に実船適用し、その効果を実証｡従来は点検の度に数千箇所もの補修が必要だったが、NSGP-1を使用したタンカーでは補修箇所ゼロを実現した。
＜原油タンカーのタンク底板＞
日本郵船は、この実船適用の結果を受け、すべての新造原油タンカーにNSGP-1を採用する方針を決定し、2007年以降現在までにNSGP-1を1万5000トン以上（おおよそVLCC10隻分に相当）使用している。
■受賞概要
名称：市村産業省貢献賞
テーマ：「地球環境にやさしい原油タンカー用高耐食性鋼板の開発」
受賞者：新日鐵技術開発本部厚板鋼管形鋼研究部主幹研究員 加藤謙治、新日鐵厚板営業部マネージャー西村誠二、日本郵船LNGグループチーム長佐藤秀彦。
