三井不動産は7月5日、東京都大田区羽田旭町にて、物流機能を含む複合用途施設「三井不動産インダストリアルパーク羽田」(MFIP羽田)を竣工したと発表した。
<「三井不動産インダストリアルパーク羽田」 (外観写真)>
<位置図>
<詳細図>
これにより、三井不動産のロジスティクス事業として開発・運営する施設は、稼働施設が20棟、開発中施設が13棟、計33棟となる。
「MFIP羽田」は、首都高速1号羽田線「羽田」ICから約0.6kmに位置しており、都内の主要エリアへ抜群のアクセス。羽田空港や東京港へのアクセスにも優れており、物流施設として優れた立地。
<三井不動産の三木孝行常務執行役員ロジスティクス本部長>
三井不動産の三木孝行常務執行役員ロジスティクス本部長は「土地は鹿島と相対で取得した。物流施設としては最適地で、今後このような土地は容易には出てこない。後世に残る施設として、三井不動産の固定資産として残していくつもりだ」と語り、これまでの物流施設とは一線を画した開発を行ったと述べた。
アクセスは、京浜急行空港線「穴守稲荷駅」からも徒歩7分と通勤利便性に優れ、人材確保にも有利な立地。入居する企業には、物流施設、オフィス、研修所などさまざまな用途としてしようしてもらう予定だ。
72時間対応の非常用発電機や、免震装置など、BCP機能も充実しており、万が一の時も入居企業に安心して使ってもらえる体制としている。
通常の物流施設「MFLP」とは異なり、「MFIP」として開発しただけに、入居テナントは多岐にわたる。メインのテナントは近鉄ロジスティクス・システムズとなり、荷主「DELL」の物流業務を担う。ほかには、「JAL」が中国企業「宏遠グループ」と越境通販ビジネスを立ち上げる。全体の半分程度が物流関連になる予定としている。
物流施設以外の利用では、「東京国際空港国際線旅客ターミナル」や「埼玉スタジアム」の設計を手掛けた梓設計が本社を構える。FUJITECは一部研修施設としても利用する予定だ。
また、大田区が運営する産業支援施設「大田区産業支援センター」の入居も予定しており、それに伴いスタートアップ企業等の入居が予定されている。
この場所では、三井不動産とANAホールディングスが連携し、羽田エリアの産業活性化に寄与する街づくり型開発プロジェクト「HANEDAインダストリアルパーク」として開発を進めてきた。2019年3月にANAホールディングスの新トレーニングセンター(ANA Blue Base)は竣工したが、「MFIP羽田」の竣工により、多機能が融合する新産業拠点が誕生することになった。
<日本の織物の文様を取り入れたファサード>
<5Fラウンジの様子>
<建物エントランス>
<倉庫部分内部の様子>
<海老取川を挟んで対岸には東京モノレールの整備場駅>
施設面の大きな特徴は外装のデザインに最も表れている。Weave Designをコンセプトとし、伝統的な日本の織物の文様を取り入れたファサードとしている。アルミパネルを外壁に配置し、角度によって見え方の変わるデザインを施している。建物エントランスの前には、水景のオブジェを設置しており、目の前を流れる海老取川との一体感を表現している。
共用部についても、充実した内容を誇る。施設で働く人達に快適に過ごしてもらうため、施設最上階には空港を一望できるラウンジを設置している。5Fのラウンジには24時間営業の無人売店を設置し、利便性を向上させている。施設のエントランスも、御影石を使用したスタイリッシュな作りとしており、施設の顔として来訪者を迎え入れる。
なお、「MFIP羽田」は環境創造型事業として開発しており、施設の外周には、桜をはじめとする豊かな植栽を配置し、快適な歩行者空間を実現した。外周にはかまどベンチやマンホールトイレを配備し、地域の防災力向上にも貢献している。さらに開発に伴い、既存のあさひ海老取川公園を拡張整備し、地域住民にも憩いの場として利用してもらえるスペースとした。
建物は竣工したものの、内装面では引き続いてテナント側の要望に沿った内装工事が進められており、7月下旬あたりから本格稼働するとしている。
三木常務執行役員ロジスティクス本部長は「今期の竣工物件は多く、現在8件の開発を進めている。いずれもほぼほぼ満床稼働する予定だ。来期も年間4件程度の開発は進めていきたい」と抱負を述べた。
■施設概要
名称:三井不動産インダストリアルパーク羽田
所在:東京都大田区羽田旭町10-1ほか
敷地面積:3万6213m2
延床面積:8万1030m2
設計:日鉄エンジニアリング
施工者:日鉄エンジニアリング
着工:2018年3月
竣工:2019年6月