DHL/新型コロナウイルスワクチンの輸送で研究報告書発表

2020年09月07日 

DHLはこのほどアナリティクスパートナーとして米大手コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニーと協力し、新型コロナウイルス、さらには将来の公衆衛生上の危機に際してワクチンや医療品の安定的な供給確保に関するホワイトペーパー(研究報告書・白書)を公開した。

現在、7つのプラットフォームで250種類以上のワクチンの開発と臨床試験が進められている。新型コロナウイルスのワクチンはリープフロッグ型で開発されており、輸送や保管の間も有効性を確実に維持するために、ワクチンに対して特定の厳格な温度(マイナス80℃以下)を保つ必要があると考えられます。このため、従来、2~8度でワクチン輸送をおこなっていた既存のメディカルサプライチェーンには新たな難題が突きつけられることになる。

ホワイトペーパーの中で、DHLはウイルスのさらなる感染拡大と戦うために、非常に温度に敏感なワクチンの輸送を効果的に管理する方法についての検討を行っている。この任務は膨大な範囲に及び、新型コロナウイルスのワクチンを全世界に行き渡らせるためには、多様なサプライチェーンを確立させたうえで、少なくとも20万のパレット貨物と1500万回の保冷庫での配送、空輸のための1万5000回のフライトが必要になると考えられる。

DHLのチーフ・コマーシャル・オフィサー、カーチャ・ブッシュ(Katja Busch)はこの点について、「新型コロナウイルスによる危機は未曾有の規模と深刻さに及んでいる。新たな課題に迅速に対応するには、政府と民間企業、さらに物流業界が一体となって取り組む必要がある。近年最大級の公衆衛生上の危機に際して、かつてないほど世界がつながった中での戦略を構築するために、当社は物流業界のグローバルリーダーとしての経験を共有したいと考えている。世界的な感染拡大(パンデミック)から人々の命を救うために、各国政府はメディカルサプライチェーンでより積極的な役割を担おうとしている。この数か月間、政府が必要不可欠な医療品の供給確保に取り組む中で、DHLはサプライチェーン内での十分な計画と適切な連携によって、今回のような公衆衛生上の緊急事態発生時に重要な役割が担えることを実証してきた」と説明。

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めて以降、医療品の需要は急増してきた。例えば、UNICEF(国際連合児童基金)によると、2019年に比べてフェイスマスクの需要は100倍、医療用手袋の需要は2000倍になっている。公衆衛生上の危機の初期段階で、最も重要なパンデミック対応管理の1つが、治療現場から離れた場所からいかに医療用品を調達して治療の最前線に届けるかということだった。特に、医療従事者用PPE(個人防護用具)の場合、製造地が特定の地域に集中しており、空輸能力が極めて限られている上に、輸入時の品質検査体制も不十分な状況でのインバウンド物流が最大の課題となった。将来的な公衆衛生上の危機において医療品を安定的に供給するためには、政府が関係機関と民間の双方としっかりと連携し、包括的な危機対応戦略と体制を確立させる必要がある。

DHLカスタマーソリューションズ&イノベーションのライフサイエンス&ヘルスケア部門責任者、レオノラ・リム(Leonora Lim)は「感染拡大が始まった当初から、中国のPPEや韓国の検査キットなど、各国が競って得ようとする膨大な量の医療用品の調達を巡って、アジアは中心的存在だった。しかし、ワクチンの輸送となると、物流の規模や厳格な温度条件という意味からも、まったく状況は変わってくる。ワクチンの完全性を維持し、200以上の国や地域に速やかに輸配送させるための実行可能なメディカルサプライチェーンを確立するためには、官民が緊密に連携して緊急ニーズに対応する必要がある」と述べている。

さまざまな分野の関係者との話し合いを速やかにスタートさせて、医薬・医療品の物流のパンデミック対応を向上させるために、DHLはライフサイエンス業界に加えて規制当局、政治家、NGOまで巻き込んだ物流企業の連携のための枠組みを提供している。この枠組みを活用することで、最も安定的で安全なサプライチェーンを確保するための手段を確立させることができる。これには緊急時の対応計画以外にも、パートナーシップのネットワークや物理的に強力な物流インフラ、IT活用による透明性確保も含まれる。そして最後に、明確に権限を与えられ、こうしたすべての重要な任務に直ちにつくことができる部隊を実際に配備する必要がある、としている。

■ホワイトペーパー全文
www.dhl.com/pandemic-resilience

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