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エクサウィザーズ/ヤマト運輸のMLOps環境を構築

2021年11月17日/IT・機器

AIを利活用したサービスによる社会課題解決に取り組むエクサウィザーズは11月17日、ヤマト運輸向けにMLOpsを実現する環境を構築し、機械学習モデルの「データ抽出→前処理→学習→予測→評価」などの作成プロセス(以降、機械学習パイプライン)を自動化したと発表した。

MLOpsとは、Machine Learning Operations(機械学習オペレーション)の略。顧客の動作環境下にある機械学習モデルの継続運用を標準化・効率化することを目的とした、モデルの開発・実装から運用までのサイクルのこと。

ヤマト運輸は約6500店ある宅急便センターの数か月先の業務量を予測するため、機械学習モデルを毎月作成し、需要に応じた効率的な経営資源の最適配置とコスト適正化を推進している。毎月運用する機械学習モデルは複数あり、作業は多岐に渡る。月次トランザクションデータ/マスタのファイルの準備、設定ファイルの書き換え、プログラムの手動実行などが対象。

スピード感をもってPoCに取り組んだ結果、作業負荷が高い状態が続いていた。また、事業部への予測結果報告までの運用スケジュールが短期的なため、機械学習モデルの再作成や予測の再分析が難しい課題も抱えていた。

エクサウィザーズはこれらの課題を解決するため、MLOpsの運用環境を構築し、月次で手動実行していた「データ抽出→前処理→学習→予測→評価」など一連のプロセス(機械学習パイプライン)を自動化した。

<月次サイクルフロー図>
20211117exa1 520x290 - エクサウィザーズ/ヤマト運輸のMLOps環境を構築

その結果、月次の機械学習モデルの運用が高速化し、余裕を持ったスケジュールでの運用が可能になり、運用工数が大幅に削減した。加えて、機械学習パイプラインの中で動くプログラムのテストも自動化でき、効率的な運用→開発の月次サイクルが出来た。このサイクルにより、機械学習モデルの運用が安定すると同時に、プログラムの継続的な機能開発及び機械学習モデルの精度改善が可能になった。

ヤマト運輸は機械学習モデルのソースコードのバージョン管理を行っている。しかし、バージョン管理ツールへの登録タイミングや手順が属人化していることにより、どのソースコードが最新のものか分かりづらい課題があった。特に複数の開発案件が並走すると、ソースコードの管理が煩雑になり、翌月の運用で使用するソースコードの準備に時間と労力がかかる状態だった。

<開発・運用環境フロー図>
20211117exa2 520x290 - エクサウィザーズ/ヤマト運輸のMLOps環境を構築

この課題を解消するため、エクサウィザーズはGit flowを参考にソースコードのバージョン管理方法を見直し、属人化していたバージョン管理の運用方法を標準化した。また、同社はバージョン管理ツールをGitHubに一本化することにより、複数のベンダーが同じソースコードに対して同時に開発できる、開発・運用環境を整えた。

この取り組みの結果、ソースコードの役割をマスタ(main)、本番運用(release)、開発及び単体テスト(feature)、結合テスト(develop)に整理でき、ソースコードの運用プロセスを刷新できた。新しい運用プロセスは本番環境の月次運用プロセス 1.検証環境の機能開発+テストのプロセス 2,翌月の運用に向けて本番環境のソースコードを最新化するプロセス 3,の3つで構成される。このプロセス見直しにより、ソースコードの運用が安定した。

ヤマト運輸の中林紀彦執行役員は「MLOpsの導入に成功したことで、機械学習モデルの運用が安定すると同時に、継続的なモデル開発および精度改善が可能になった。このMLOpsのプラットフォームと様々なデジタルサービスを組み合わせて機械学習の価値をビジネスに活かしていきたいと思う」とコメントしている。

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