帝国データバンクは7月5日、2022年6月調査の「TDB景気動向調査(全国)を発表した。
<全国の景気DI>
それによると、全業種の2022年6月の景気DI は前月比0.2 ポイント増の41.4 となり、4か月連続で改善した。4業界が改善、5業界が悪化した。新型コロナウイルスの感染が落ち着き、人流が復調するなか対面型サービスを中心に上向いた。他方、サプライチェーンで部品の調達難が継続し、自動車産業を中心とした生産活動の停滞や、原材料価格の高騰が下押し要因となった。
このような中、「運輸・倉庫」は、0.1ポイント減。3か月ぶりに悪化した。軽油など燃料価格が再び上昇傾向となり、「運輸・倉庫」の仕入単価 DIも 73.6(1.2 ポイント増)と 3か月ぶりの上昇に転じた。また、「業界全体で経費による利益圧迫が進んでおり、非常に厳しい。燃料、アドブルー、油脂、タイヤなどが上昇し、運賃が低い一方で利益に貢献する項目が何一つない」(一般貨物自動車運送)など、燃料以外の経費の上昇も響いた。
一方、「新型コロナウイルスも落ち着き、旅行に対する需要喚起施策も発表されつつあり、バスの稼働が増えてきた」(一般貸切旅客運送)など、観光関連の業種で前向きな声も聞かれた。
現在の「運輸・倉庫」の景況感企業の声では、「コンテナ荷動きが活発になり、取扱い数量が増加した」(港湾運送)との改善傾向もあるが、「原油高、円安による燃料などの高騰」(一般貨物自動車運送)といった悪化の要因も挙げられている。
先行きについては、「自動車生産はある程度回復すると予想」(普通倉庫)、「新型コロナウイルスの影響が少なくなってきており、また中国、上海の物流も正常化に向かう」(港湾運送)との改善意見もあるが、「いわゆる2024年問題を間近に控え、人件費の大幅な上昇が不可避となるが、原資の確保が追い付かない。コストアップ分の価格転嫁が急務だが、顧客の業況も厳しくなかなか進まない」(一般貨物自動車運送)といった悪化の要因も挙げられている。