アマゾンは10月30日、ラストワンマイル配送を担う「デリバリーサービスパートナー」(通称DSP)になりたい人を起業家として育成する無料の新プログラム「Road to Ownership」を開始すると発表した。
DSPとは、アマゾンが配送を委託する中小規模の配送事業者のこと。プログラム修了後、所定の条件を満たすとアマゾンと直接契約して開業できる。
「Amazon」で購入した商品が消費者へ届くまでの配達には、委託配送事業者のほかに「Amazon Flex」(個人事業主)、「Amazon Hubデリバリー」(商店などの副業)、「DSP」の3種類があり、新プログラムはDSPに対するもの。
<アマゾンロジスティクスの河合麻衣子シニアプログラムマネージャー>
アマゾンジャパンの河合麻衣子アマゾンロジスティクス シニアプログラムマネージャーは、「配送ビジネスに興味があっても、始め方が分からない、経営スキルを学んでから始めたい、といった人は多い。そこを後押ししたい」と説明する。
プログラムはオンラインのセッションと自己研鑽を組み合わせた12週間で、「財務管理」「リーダリップ論」「労働法」などを学ぶ。
修了後は、DSPになるための事業計画と面談を通じ、条件を満たした人にアマゾンが委託のオファーを出す。受諾した場合は会社を設立し、アマゾンと直接取引ができる。
このプログラムをアマゾンは、北米で2022年2月に開始。ドイツやスペインなど6か国で展開している。
日本では2024年6月にスタートし、8月に第1期生約10人が卒業、そのうち6割ほどが起業してアマゾンと契約。第2期生の募集が始まったばかりだ。
<Road to Ownershipプログラム第1期生の丸尾愛さん>
第1期生として、地元大阪でDSPを担うことになった丸尾愛さんは「ドライバーとして4年間『Amazon Flex』をやった後、ステップアップのため起業を考えプログラムを受けた。夢の詰まった事業計画が通ってうれしい」と語る。
まずは軽バンでスタートし、ゆくゆくは大型トラックも使う事業に拡大したいといい、「私自身にドライバー経験があることが強み。働きやすさを大切にした会社にしたい」としている。
なお、アマゾンは2024年、ラストワンマイル配送に関わる施策に250億円を追加投資するとしており、今回の新プログラムもその一環。
経営の知識とスキルを既に持っている人を対象にした開業支援プログラムは2023年からあるが、起業に必要な知識から学べるものは初めてで、DSPになるための道筋を新プログラムで補完する。
現在DSPは60社以上あり、今後は、新プログラムを年に2回実施し、第2期生は約20人に拡大して募りたいという。
■Road to Ownershipプログラム
https://logistics.amazon.co.jp/marketing/r2o