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産業技術総合研究所/働く人間型ロボット中間成果を発表

2002年04月11日/未分類

産業技術総合研究所は、働く人間型ロボット「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」の中間成果を発表した。
人間と共に、または人間に替わって働く人間型ロボットの応用例を「対人サービス」「留守宅管理作業」「人間との共同作業」「建設機械の代行運転」「プラントの保守・点検」の5種類を呈示している。
経済産業省は、1998年度から5ヵ年計画で「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発(HRP:Humanoid Robotics Project )」を推進中。
HRPは、新エネルギー・産業技術総合開発機構への委託、(財)製造科学技術センターを管理法人として、産業技術総合研究所との共同研究により実施している。
HRPは前・後期から成り、前期2年間で研究の共通基盤となるプラットフォーム(人間型ロボットHRP-1、遠隔操作コックピット、仮想ロボットプラットフォーム)を開発。
これを用いて、後期3年間では5つの応用分野「(1)対人サービス、(2)ビル・ホーム管理サービス、(3)屋外共同作業、(4)産業車両代行運転、(5)プラント保守」の応用研究を推進している。
この3月で、後期の2年間が経過したので、応用研究の中間成果をデモの形で実現し、発表した。
(1)人間型ロボットによる対人サービス動作の実現
(2)人間型ロボットによる留守宅管理作業の実現
(3)人間型ロボットと人間の共同作業の実現
(4)人間型ロボットによる建設機械の代行運転の実現
(5)人間型ロボットによるプラントの保守・点検の実現
国内の産業用ロボットの市場規模は、世界最大であるとは言え、1980年代から年間5 000億円~6 000億円程度で横ばい状態にある。
その最大の理由は、「ロボットに出来る仕事の種類が増えなかったこと」と、「出来る仕事の種類が増えるほど技術革新が進まなかったこと」にある。
ところが、現今、人間型ロボットにおいては、1996年に本田技研工業株(株)が人間型ロボットP2を発表から、幾つかの人間型ロボットが開発され、一つの技術エポックを迎えている。
最近では、2000年に本田技研工業がASIMO、ソニー(株)がSDR-3Xを発表し、ASIMOのイベントへのレンタルも開始された。しかしながら、これらのロボットの利用目的は、現在までのところエンターテインメント分野に特化されており、「仕事をする人間型ロボット」を志向したものとはなっていない。
ロボットの市場規模を飛躍的に拡大するためには、ロボットに出来る仕事の種類を大きく増やすことが必須であるため、HRPは、人間型ロボットの応用事例を研究することにより、「働く人間型ロボット」の実現可能性を世の中に示すことを目的としている。20世紀最大の商品の一つは自動車であったが、人間型ロボットは21世紀最大の商品の一つになる可能性を秘めており、HRPはその第一歩となるものと期待されている。
今後、2002年度は、本プロジェクト5ヵ年計画の最終年度である。2003年3月末にその最終成果を発表する予定。
人間型ロボットによる建設機械の代行運転の実現の場合
川崎重工業(株)は、東急建設(株)、京都大学、産業技術総合研究所と共同で、人間型ロボットHRP-1Sを遠隔操作し、着座して運転を行うタイプの建設機械の代行運転操作を実現している。
危険な場所でロボットに建設・運搬機械を代行運転させるためには、乗り込み動作と運転動作の両方を、ロボットを遠隔操作することで実現する必要がある。
そのために、ロボットの全身の動きをどうやって指示するか(全身動作教示技術)、転倒防止等を行いながらロボットの全身をどうやって動かすか(全身動作基本制御技術)、ロボットを着座の衝撃や風雪等の自然環境からどう保護するか(保護技術)、どうやって現場で遠隔操作を行うか(可搬型遠隔操作装置開発)などの技術開発が必要である。
共同開発の分担は、全身動作教示技術の開発が川崎重工と京都大学、全身動作基本制御技術の開発が川崎重工と産総研、保護技術の開発が東急建設、可搬型遠隔操作装置の開発が川崎重工。
今回は、HRP-1Sが建設機械の実物運転台上に起立した状態から始め、着座して走行レバーとアーム操作レバーを操作する一連の運転操作を、可搬型遠隔操作装置から操作するデモを行った
今後 開発中の各技術を完成させ、2003年3月末には、屋外で実物の建設機械を使い、ロボットが乗り込み、着座した後、走行・掘削を行う代行運転を実現する予定。
人間型ロボットによるプラントの保守・点検の実現の場合
三菱重工業(株)は、人間型ロボットをプラントの保守点検に応用することを目指し、ICタグナビゲーションと自律遠隔融合制御によるプラントの巡回点検システムの開発を行っている。
プラントの巡回点検には、2つの大きな課題がある。プラントには、階段、床の段差、配管、狭隘部など多様な移動環境がある。そのため、次に何があり、何をしなくてはならないかをロボットが理解して、これらをスムーズに実行していくことが必要になる。また、点検順路にない計器の確認など、フレキシブルに対応できることも非常に重要である。もちろん、広いプラントであるため、フレキシブルに対応した後は、元の巡回ルートに容易に復帰できることは必須である。
三菱重工は、これらの課題に対して、ICタグを利用した誘導と点検のナビゲーションと、人によるロボットの遠隔操作を融合し適用することを提案し、その開発を行っている。
このナビゲーションは、次に読むタグの場所などの移動情報と、階段の段数、高さなどの環境情報を記載したICタグを利用する。例えば、床などに設置したタグを読むことで、その場所でロボットがどんな移動や点検をするのか理解して行動できる。これを利用すると、点検順路にない計器の確認などにロボットを遠隔操作で自由に動かしても、近くにあるタグを探して読みさえすれば、次にどう行動するのかが分かるので、元のルートに容易に復帰し引き続き自律的な巡回をすることが可能となる。
今回は、HRP-1による連続した一連の巡回点検デモを行った。まず、通路上の配管を踏み越え、通路端まで移動した後、左折し、1段の段差を降りた後、3段の階段を昇る。踊り場では、設置された圧力計の画像を監視室に送り、オペレータが圧力を確認する。続いて2段の階段を降り、狭隘部を想定した横歩きで点検場所に到達し、携帯型の点検工具で温度を計る。その後、HRP-1は順路を移動して、初めの位置へと戻って来る。
2002年度には、モックアップを用いて、人間型ロボットの入室から出室までの誘導・移動のナビゲーションアルゴリズムの自律制御(タグ・ナビゲーション)と、遠隔制御を融合した検証を行う予定。
プラントの保守点検における課題の一つである、点検順路にない計器の確認などへの対応を考え、自律から遠隔および遠隔から自律への復旧を簡便に行える機能を検討し、実装し、検証する予定。

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