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佐川急便/「信書に該当する文書に関する指針(案)」についての意見

2002年11月28日/未分類

佐川急便(株)は、「信書に該当する文書に関する指針(案)」についての意見を発表した。
「信書に該当する文書に関する指針(案)」の中の「3 信書に該当する文書の例」及び「4 信書に該当しない文書の例」に関する同社の意見。
1 信書の定義について
民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第3条によって改正される郵便法第5条第2項の「信書」の定義のうち、「事実を通知する」文書とある部分については、これまでの判例・通説における「信書」の概念を拡張したものといえます。
もともと、「信書」の概念は、刑法第133条の信書開封罪における「信書」がその基本でありますが、これまでの判例・学説においては、信書とは「特定の人に対し自己の意思の伝達を媒介すべき文書」(大判明治40年9月26日刑録13輯1002頁)、「特定人から特定人に宛てた意思を伝達する文書」(注釈刑法[3]255頁、前田雅英「刑法各論講義」113頁等)とされており、「事実を通知する」文書までもが含まれるものではなかったはずであります。ところで、この度の改正で信書の定義づけをするにつき、「これまでの判例によって確立されてきた信書に関する概念を法律上明文化したものです。」とされておりますが、定義において「事実を通知する」文書までも含めるのは概念の拡張であるといえます。
ただ、既に定義規定が明文化されてしまった以上、これに拘束されることを余儀なくされていくわけでありますが、既に述べたように「信書」の概念が拡張されていること、信書開封罪が信書の秘密の保護を目的とするものであること、郵便法は公共サービスの公平な提供とともに信書の秘密の保護をも目的としていること、郵便法第5条第2項違反には3年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い刑罰が科されていること(郵便法第76条)、を考えますと、信書の定義においていうところの「事実を通知する」の「事実」は、上記趣旨に沿って限定的に解釈をされるべきであります。
したがいまして、「事実」とは、あらゆる事実を指すものではなく、それを開封すれば特定人の秘密が公にさらされるような事実、第三者の披見から守られるべき秘密を含む事実に限られると解釈するのが相当であります。
指針(案)においては、このような限定がなされることなく事実を通知する文書イコール信書とされており、問題があります。とりわけ、ダイレクトメールについては、他人に開示されてプライバシーが侵害されることなど通常考えられないにもかかわらず、信書に含まれるとされており妥当ではありません。
2 ダイレクトメールについて
指針(案)においては、ダイレクトメールは原則として信書に該当するが、場合により信書には該当しないと定めています。しかし、このような定め方には問題があります。そもそも、指針を定めることになったのは、郵便法における信書の範囲に曖昧さが残るため、これを明確にするためでした。しかしながら、指針によっても信書にあたるかどうか明確にならないのであれば、一体何のために指針を定めるのでしょうか。
また、指針(案)では、ダイレクトメールについては原則として信書にあたるとしている一方、カタログについては信書にあたらないと明確に述べています。しかしながらダイレクトメールとカタログの違いについては何ら述べられておりません。ある文書がダイレクトメールにあたるのか或いはカタログにあたるのか明確に区別できないことが多いことを考えると、このような指針(案)では、信書か否か判断がつかない場合が多く出てきます。もし指針として示したいというのであれば、カタログが信書ではないとする以上、ダイレクトメールも信書ではないとするのが筋ではないでしょうか。既に述べたように、ダイレクトメールは他人に開示されることによってプライバシーが侵害されることは考えられないことから考えても、やはり信書には含まれないとすべきであります。
3 内容の不明確さについて
指針(案)を見ておりますと、旧郵政省時代から信書だとしていたものを信書ではないと従来の取り扱いを変更する一方で、市場拡大が見込まれるものについては信書に該当するなどとしています。また、信書に当たるとする理由・当たらないとする理由の中には、内容が不明確なものや(例えばクレジットカード)、信書にあたるのかあたらないのかはっきりしないもの(例えばダイレクトメール)も散見されます。
これでは、行政側の一方的解釈により信書か否かを判断していると言われても仕方がないのではないでしょうか。また、曖昧な理由付けをすることは、将来的に紛争を生じさせるもととなるのではないでしょうか。これでは、指針を定める意味が全くありません。
 このように、指針(案)には、行政の一方的な解釈が介在し、今後このような運用がなされることで紛争が生じる恐れが多分にあるので、問題があります。
4 まとめ
指針(案)においては、信書の範囲について、行政による法的な根拠に基づかない解釈が多分に入り込んでおり、問題があります。行政が何らかの目的の為に意図的に市場に介入することは、利用者を規制し利便性を著しく低下させます。のみならず、民間事業者が鋭意努力して開拓した分野に規制がかけられることにより、経済成長にブレーキがかかることにもなりかねません。さらに、指針が何らかの目的のために意図的に運用されることで、今後、紛争を生じさせる恐れが多分にあります。本来、郵政民営化の骨子はこのような規制強化ではなかったはずであり、大きくその趣旨が変化していることに落胆いたしております。
指針が「自己目的化」され、規制緩和の流れに逆行して規制の強化に用いられることのないよう、また、あくまでも利用者の視点に立った指針が作成されるよう、強く要望いたします。

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