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公正取引委員会/「大規模小売業者と納入業者間の取引実態調査」物流センター利用をクローズアップ

2002年12月15日/未分類

公正取引委員会は12月13日、大規模小売業者と納入業者との取引に関する実態調査を取りまとめた。
公正取引委員会は、大規模小売業者と納入業者との取引について、優越的地位の濫用規制の観点から、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(以下「ガイドライン」という。)で示された行為類型を中心に、大規模小売業者と納入業者との間の取引実態を把握することを目的として、調査を実施した。
調査結果
(1)今回の調査の結果、依然として、大規模小売業者から納入業者に対して種々の要請が行われており、納入業者は、要請が自己に不利益なものであっても、同業者が応じているため対抗上やむを得ず、又は、要請に応じないと取引上不利になることを懸念して、受け入れざるを得ない状況にあることがうかがわれた。
(2)当委員会は、調査の過程において、独占禁止法上問題となるおそれのある行為を行っているとの指摘があった大規模小売業者に対し、具体的な行為を指摘して納入業者との取引において優越的地位の濫用行為がないか点検を求めるとともに、問題となるおそれのある行為について是正を要請した。また、これらの大規模小売業者に対して、今回指摘を受けた問題が今後生じることのないよう、独占禁止法遵守体制の見直しを行い、社内チェック体制の改善を図るとともに、納入業者との取引条件の明確化・書面化を進める等、取引の公正化を図るための一層の取組を行うよう文書で要請したところであり、今後、更にその取組状況を注視していく。
(3)さらに、これらの大規模小売業者以外にも問題となるおそれのある行為を行っている大規模小売業者があると考えられることから、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会等に対して、改めてガイドラインの内容を傘下会員に十分に周知徹底するとともに、傘下会員の独占禁止法遵守体制について、制度面及び運用面において一層の改善が図られるよう、傘下会員への指導を文書で要請したところである。
3公正取引委員会の対応
当委員会は、規制改革後の市場における公正な競争秩序を確保するため、今後とも、大規模小売業者と納入業者との取引実態の把握や違反行為の未然防止に努めるとともに、優越的地位の濫用行為等独占禁止法違反となる事実が認められる場合には厳正に対処するなど、優越的地位の濫用行為等中小事業者に不当に不利益を与える不公正な取引に対して厳正・迅速に対処していくこととしている。
問い合わせ先公正取引委員会事務総局経済取引局取引部企業取引課
電話03-3581-3373(直通)
ホームページhttp://www.jftc.go.jp9
調査内容で、「物流センターの設置等に伴う費用の負担の要請」について、まとめている。
物流センターの設置等に伴う費用の負担の要請
(1)物流センターの設置等に伴う費用の負担の要請に関する独占禁止法上の考え方
ア基本的考え方
大規模な小売業者は、物流センターの設置等仕入体制のシステム化を進めるに当たり、システム化の費用の負担を納入業者に要請することがある。物流センターの設置等の取組は、物流業務の合理化を促進し、納入業者にとっても利益となる場合がある。しかし、優越的地位にある小売業者が、一方的な都合で納入業者に対し物流センターの設置等に伴って生じる費用について具体的な負担の根拠や割合を示さないまま、例えば、物流センターの使用料として納入業者に負担を要請する場合には、納入業者に不当に不利益を与えることとなりやすく、優越的地位の濫用として問題を生じやすい。
小売業者においては、物流センターの設置等に伴って生じる費用の負担を納入業者に一方的に負わせることのないよう、その条件について納入業者との間で十分に協議することが望ましい。
イ独占禁止法上問題となる場合
取引上優越した地位にある小売業者が、納入業者に対して物流センターの設置等に伴って生じる費用の負担を要請することは、次のような場合には、正常な商慣習に照らして不当に不利益を納入業者に与えることとなり、不公正な取引方法に該当し、違法となる。
(ア)物流センターの設置等に伴って生じる費用の負担額及びその算出根拠等について納入業者と十分協議することなく一方的に負担を要請し、納入業者に不利益を与えることとなる場合
(イ)物流センターの設置等に伴って生じる費用の負担の条件について取引当事者間で明確になっている場合であっても、その費用を納入業者が得る利益の範囲を超えて一方的に納入業者に負担させる場合
(2)物流センターの設置等に伴う費用の負担の要請の実態
ア物流センターの利用の状況
納入業者の物流センターの利用状況についてみると、回答のあった納入業者の68.3%が大規模小売業者の物流センターを「利用している」と回答している。
イ物流センターを利用する理由
納入業者が物流センターを利用する理由については、全体では、「取引先小売業者の方針で、物流センターを利用しないと販売ができない」とする者の割合が64.1%と最も高くなっており、物流センターの利用を取引条件としている大規模小売業者が多く、納入業者としてはその条件を受け入れざるを得ない状況にあることがうかがえる。また、一方で「取引先小売業者から利用するよう要請を受け、当社としての利益も大きいと思って利用している」とする者(29.3%)や「当社の申出による」とする者(7.6%)もみられた。
ウ物流センターの利用料の負担の状況
物流センターを利用している納入業者の物流センターの利用料の負担の状況については、全体では、物流センターの利用料を「負担している事例がある」とする者が81.4%みられ、物流センターの利用料の負担の要請が広く行われている状況がうかがえる。ただし、百貨店では、負担している事例があるとする者は50.4%と相対的に少ない。
また、平成10年以降の物流センターの利用料の負担の要請の変化については、全体では、「もともと負担要請はほとんどなく、現在もほとんどない」とする者が42.5%みられるものの、「以前から負担要請はあり、要請の状況はほとんど変わらない」とする者が36.2%みられる。また、負担の要請が「大幅に減った」(0.8%)、「若干減った」(2.2%)とする者が併せて3.0%みられるが、負担の要請が「大幅に増えた」(3.9%)、「若干増えた」(14.4%)とする者も併せて18.3%となっており、減ったとする者を大幅に上回っている。
エ算出根拠の提示の状況
物流センターの利用料の負担額(率)の算出根拠の提示の状況については、全体では、大規模小売業者から「示された」とする者が59.9%みられ、「示されなかった」とする者(40.1%)を上回っている。
オ物流センターの利用料の負担額(率)等に関する協議の状況
物流センターの利用料の負担額(率)や算出根拠に関する協議の状況については、「負担額(率)等について協議の機会を与えられなかった(一方的に決められた)」とする者が49.1%と最も多く、次いで、「負担額(率)等について一応協議の機会は与えられたが、十分とはいえなかった」とする者が33.2%となっている。このように物流センターの利用料については大規模小売業者により一方的に決められているケースも多く、十分な協議が行われていない状況にあることがうかがえる。これを業態別にみると、スーパー、専門量販店等については、「負担額(率)等について協議の機会を与えられなかった(一方的に決められた)」とする者の割合が50%を超えており、「十分協議した」との回答は20%前後にとどまっている。
また、納入業者からのヒアリングにおいて、物流センターの利用料の算出根拠は示されたが、協議の機会を与えられず一方的に決められたといった指摘がみられた。
カ物流センターの利用による利益と負担額との比較
物流センターの利用料を負担している事例があると回答した納入業者に対して、物流センターの利用料の負担が最終的にどうなったかについて質問したところ、全体では、「当社が物流センターを利用することによって得られる利益に見合う負担額となった」とする者は35.7%、「当社が物流センターを利用することによって得られる利益を上回る負担額となった」とする者が49.4%となっている。これを業態別にみると、「当社が物流センターを利用することによって得られる利益を上回る負担額となった」とする者は、スーパー、専門量販店、CVSにおいてそれぞれ、48.6%、55.2%、45.4%となっている。
キ物流センターの利用料の負担率
物流センターの利用料の負担額(率)について、利用料を負担している大規模小売業者との取引高の何%に当たるか質問したところ、「2%未満」とする者が39.9%と最も多く、次いで、「2%以上4%未満」とする者が33.4%となっている。これを業態別にみると、CVSについては、「10%以上」とす
る者が29.7%と他の業態に比べ特に多い。
また、平成10年以降の物流センターの利用料の変化については、全体では、「ほとんど変わらない」とする者が42.3%みられるものの、利用料が「大幅に値上げ(料率アップ)された」(1.9%)、「若干値上げ(料率アップ)された」(12.9%)とする者が併せて14.8%みられる。
ク物流センターの利用料の負担の要請に応じた理由
物流センターの利用料の負担の要請に応じた理由についてみると、「同業者も応じており、対抗上やむを得ないと思った」とする者が45.3%と最も多く、次いで、「物流センターの利用料の費用負担の要請に応じないと取引を停止されるなど、取引上不利になることが懸念された」とする者が43.0%となっている。一方で「取引上の付き合いの範囲内と思って協力した」とする者(23.6%)や「物流センターを利用することが自社の利益になると思った」とする者(20.0%)もみられた。
(3)独占禁止法上問題となるおそれのある具体的事例
今回のアンケート調査及びヒアリング調査の過程において、独占禁止法上問題となるおそれのある物流センターの利用料の負担の要請の具体的事例として、次のようなものがみられた。
・Aスーパー、Bホームセンターは、納入業者が物流センターを利用せずに商品を直接店舗に納入したにもかかわらず、当該商品についても、物流センターの利用料を徴収した(食料品・飲料、トイレタリー・化粧品)。
・Cスーパーは、納入業者に算出根拠を示すことなく物流センターの利用料を一方的に決定し、かつ、当該納入業者が利用を断ると取引ができないようにした(酒類)。
・Dスーパーは、納入業者に物流センターの利用料の算出根拠を示すことなく、当該納入業者が物流センターを利用せずに商品を直接店舗に納入するより高い利用料を徴収し、当該納入業者が利用料の値下げを要請したが断った(食料品・飲料)。
・Eホームセンターは、物流センターを利用することによる当該納入業者の利益を大幅に上回る物流センターの利用料を一方的に決めて、徴収した(衣料品・繊維製品)。
詳しくは下記アドレス参照。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/02.december/021213.pdf

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