松下電工(株)は、2002年から滋賀医科大学附属病院と共同で、X線フィルム、検体、薬などを人に替わって運搬する「病院内自律搬送ロボット」を開発中で、新たに「人認識システム」を開発することに成功し、このロボットの実用化に向けて更に一歩前進した。
これまでの実験結果から、ロボットが病院内で多くの人と接する中で安全に仕事をするためには、人とそれ以外の物体を区別できる能力を持つことが必要とわかった。
新たな「人認識システム」を開発することによって、前から人が歩いてくるのをキャッチしたロボットはスピードを緩めて挨拶をしたり、人のいるところに物を運んだりすることが可能になり、安全性を高めると同時に、新しい仕事をする能力を増やすことが可能になった。
松下電工では、今後ともロボットの機能を着実に進化させ、安全性と信頼性の確保をめざしながら、実用化に向けたロボット開発を加速していく。
■病院内自律搬送ロボット HOSPI(ホスピー)の機能
ロボット化作業の一例として中央放射線部内の「X線フィルム」や「カルテ」の搬送をとりあげた。まず、受付やCT室など予めステーション(搬送場所)を設定。ステーションの職員が搬送物をロボットの収納部に入れ、ロボットの顔にあたるディスプレイ上の目的地リストから希望の搬送先(レントゲン室やCT室など)を選ぶと、ロボットは収納部をロックし、職員や患者の行き交う廊下を一人で移動し、目的地に搬送物を届ける。監視用パソコンが設置されたステーションでは、必要時にロボットを呼び寄せることも可能。
人認識システム … 今回初めて採用
長年に渡って蓄積してきた当社独自の画像処理技術をロボットに搭載することにより、ロボットの周囲にいる人物を検出することができるようになりました。様々な「人の顔」の画像をもとに「平均的な顔の特徴」を予め記憶しているため、カメラで撮影した画像の中から「顔」を検出することが可能。明るさを補正した濃淡画像による顔検出のため、複雑な照明環境下でも正しく「顔」を検出することができる。
また、物体下部の「足」の有無を検知する「レーザーレーダー」(ロボット下部に設置)の情報との複合的な情報処理を行うことにより、より確実に人を見つけることができる技術も開発した。 この「人認識システム」の開発により、人の存在を人の「顔」と「足」で検知することが可能になり、走行中に人を見つけると、減速してやさしく声をかけながら安全に回避したり、ステーション到着時に、職員のところまで物を確実に届けることができる。
■ 病院内自律搬送ロボットで使われている主な技術
人認識技術
走行制御技術
経路生成技術
センサ技術
ヒューマンインターフェース技術
通信技術
■その他の仕様
予定価格:約800万円/台
サイズ:幅600mm×奥行800mm×高さ1300mm
重量:120kg
駆動源:鉛蓄電池4個
充電時間:8時間
稼動時間:7時間以上(走行50%)
速度:最速 1.0m/秒(人の歩く速度)…最高速度設定可能
(例)滋賀医科大学では約0.5m/秒にて実験
センサ:超音波センサ 29個
レーザーレーダー1個
赤外線センサ8個
バンパーセンサ本体下部全周
カメラ:CCD カラーカメラ 1個
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松下電工/「病院内自律搬送ロボット」に新たな機能付加
2003年04月13日/未分類
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