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国土交通省/ゴミゼロ型都市形成のための静脈物流システムの構築に関する調査報告書

2003年06月26日/未分類

国土交通省は、平成14年度において「ゴミゼロ型都市形成のための静脈物流システム構築に関する調査(首都圏)」(委員長:稲村肇・東北大学工学部教授)を実施し、報告書がとりまとめられた。
調査の経緯・目的の概要
調査は、「都市再生本部」及び「首都圏ゴミゼロ協議会」を踏まえ、臨海部の広域リサイクル施設を核とする、環境負荷低減型の静脈物流システムの構築促進を図ることを目的としている。 また、調査では、首都圏における静脈物流システムのあり方について検討を行うとともに、特に、川崎臨海部を中核拠点とした複合輸送のあり方について実証実験・シミュレーションを通じて検討を行った。
調査概要
まず、主に鉄道の活用を念頭において静脈物流の概念を設定し、それに求められる要件を掲げ、その必要性と実現に向けた基本的課題を整理した。次に、本件調査で対象とする廃棄物として、廃プラスチック製容器包装、廃家電・廃OA機器、焼却灰の3つを設定し、静脈物流の川上にあたる集荷から広域輸送、川下の配送までの各プロセスを構成する諸要素について検討し、 静脈物流の複数の基本パターンを提示した。
また、首都圏における4つの広域リサイクル拠点の計画状況などについて把握し、そこに至るための静脈物流システム構築の方向性を検討した。さらに、広域リサイクル施設として川崎地域を想定して、首都圏から鉄道及びトラックを利用して廃プラスチックを実際に運搬する実証実験を行うとともに、また、その結果を踏まえ、 コスト・環境改善効果などに関するシミュレーションを行った。
最後に、鉄道の活用を想定した静脈物流システム構築に向けた課題と対応方策を検討するとともに、政策立案の考え方を提示した。
鉄道活用型の物流システムを想定しての政策立案の考え方について(報告書第4章)
(1)鉄道活用型の物流システムを想定しての対応方策の整理
環境負荷低減型の静脈物流システムの構築に向けた課題に対応するための方策として、次の5つの視点から整理を行った。
事業展開に向けた法的制度や枠組みの再検討
一般廃棄物については地元市町村に処理責任があるものの、一般廃棄物の広域移動を促進するため、廃棄物(特に焼却灰)の広域移動の容易化が重要であるが、輸送責任が明確となっている複合一貫輸送の場合については、廃棄物の広域移動を容易にする仕組みを導入することが考えられる。
グリーン物流としてのインセンティブの付与
鉄道等を利用し、例えば二酸化炭素排出量が一定水準以下であるような複合一貫輸送を「グリーン物流」として制度的に位置づけ、それによる環境改善効果を評価し、運賃や入札価格に反映させることによって、荷主などの物流モードの選択を経済的に誘導したり、グリーン物流の導入を義務付けたりすることが考えられる。また、 「環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験」(国土交通省)や省エネルギービジョン(経済産業省・NEDO)など、既存の助成制度・モデル事業の活用などによるインセンティブの付与も考えられる。
廃棄物の収集・積替え拠点の立地展開
廃棄物については、「複合一貫輸送」の認定のもとに、広域ルートに関連する「積替え」、「保管」の各自治体ごとの許可を一本化することが考えられる。また、新たな収集・積替え拠点の整備の観点では、廃棄物の広域処理化との連動や工業団地などの活用、鉄道ターミナルの活用が考えられる。
静脈物流に有効なインフラの整備
静脈物流に有効なインフラとしてはハード的なものとソフト的なものがあるが、前者については鉄道の既存の引込み線の活用などが、また後者については複合一貫型の静脈物流をコーディネートしたり管理したりするための仕組みの導入が考えられるが、その際には、貨物利用運送事業者の活用も考えられる。
グリーン物流のための一貫した情報システムの整備
廃棄物における適正処理の確保推進の観点から、貨物の追跡情報とマニフェスト制度における廃棄物の移動情報を併せた「静脈物流情報システム」を導入し、物流の品質向上と不法投棄の抑制を確保することが考えられる。
課題解決に向けた政策立案のあり方
上記の方策の中から効果や実施時期などの視点から絞込みを行った結果は以下のとおり。
経済的合理性の確保に向けた政策の展開
環境改善効果の経済価値を反映した鉄道貨物運賃の導入
「グリーン物流」の設定とその導入の制度化
実証実験推進事業の静脈物流への応用
その他の関連政策
短期的方策:
運賃・料金の柔軟な決定、企業の表彰や奨励金の授与、省エネルギービジョンへの働きかけ、静脈物流情報システムの構築推進、など。
中長期的方策:
指定引取場所の再編がなされる際の集積・引取り場所の整備とオフレールステーション化、引込線の再整備と貨物ヤードの整備、など。
今後の進め方について
平成15年度においては、京阪神圏を対象に、引き続き、鉄道や海運を活用する等の環境負荷低減型静脈物流システムの構築促進に向けた調査検討を行うこととしており、平成14年度本件調査において提言された対応方策については、関係者とともに引き続き実現に向けての検討を行っていくこととしている。
注:調査では、鉄道のほか、船舶やトラックの利用を想定した検討も行った。しかし、長距離・大量輸送に適した輸送手段である船舶については、一部品目の東京港内輸送の例はあるものの、本件調査で対象としている首都圏で発生する廃棄物の同地域内の広域リサイクル拠点への輸送には必ずしも適していない。
また、トラックについては、DPFの導入等が進められつつあるものの、低公害大型トラックは普及しておらず、燃料供給インフラの整備もこれからの状況である。 以上から、本報告書の中で提示されている政策立案の考え方は、鉄道を活用した複合一貫輸送に焦点をあてたものとなっている。

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