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日本政府/米国国土安全保障省による貨物情報の早期・電子的提出規則改正案にコメント

2003年09月14日/未分類

日本政府は、平成15年7月23日に米国国土安全保障省税関及び国境保護局が発表した貨物情報の早期かつ電子的提出に関する規則案に関し、以下のコメントを提出する。
日本政府は、米国による、テロ対策の一環としての交通保安強化の取り組みの重要性を認識しており、こうした取り組みを基本的に支持している。実際、日本の財務省関税局はコンテナ・セキュリティ・イニシアティブ(CSI)に参加し、既に試行を開始しているところである。
しかし、同時に、日本政府は、交通保安強化の取り組みはその目的達成のため必要最小限のものに限定されるべきであり、交通保安の確保と円滑な貿易の確保との適切なバランスが図られることが重要であると考えている。
特に日米政府間では、双方向の貿易・投資及び人的交流を一層促進するため、「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ」等の場において、海事分野等におけるテロ対策の取り組みについて議論しており、円滑な貿易の確保の重要性について相互に認識を深めてきた。日本政府としては米国政府がこうした経緯を踏まえ可能な限り現実的な対応を行うことを希望している。
日本政府は、本規則による貨物情報の早期かつ電子的提出の義務付けも、交通保安強化を目的としていることは理解している。しかし、公表された規則案は、本年1月に示された素案に比べれば改善されているものの、依然として、関係事業者に過大な負担を課すと懸念される。
仮に本規則に基づく措置が適正な貿易を阻害することになれば、世界経済の発展に対しても悪影響を及ぼす。特に、本規則には航空貨物についても貨物情報の事前提出が含まれているが、国際航空貨物輸送では特に迅速性が重視されていることを考慮に入れる必要がある。
そこで、日本政府は、米国政府に対し、以下の諸点を真摯に検討することを要望する。
本規則案によれば、日本から米国への航空貨物については、米国到着の4時間前までに貨物情報を提出することとされている。
しかし、航空会社が貨物情報を提出するためには、出発後提出の準備のために一定の時間が必要である。特に、日本からアンカレッジ行きの飛行機のように、日本からの飛行時間が6、7時間程度しかない場合には、貨物情報を提出する準備を行う時間がない。
このため、日本政府は、貨物情報提出のための十分な準備の時間が確保できる程度にまで、貨物情報の提出時間をより米国到着の時間に近づけるよう要望する。
本規則案には、C-TPAT(Customs-Trade Partnership Against Terrorism)に参加している企業の扱いに関する規定が存在しない。
現在、日米間の取引にかかわる多くの企業がC-TPATに参加している。C-TPATプログラムの発表時には、米国関税庁(現在の税関及び国境保護局)は、C-TPATの参加者は迅速な通関や検査回数の削減等の利益を受けることを約束していた。
しかしながら、24時間ルール等の一連の交通保安強化に伴い、このような利益が現実には付与されていない。本規則の施行に際しては、C-TPAT参加者にとっての利益を現実化するよう要望する。または、同様の利益の享受が可能な低リスク事業者のアライアンス・プログラムの実施を要望する。
規則案では、航空会社、航空フォワーダー等が正確な情報を提供しなかった場合、航空会社等が、運航権の取り消し、荷卸しの不許可、罰金支払等の罰則の適用を受けることとされている。
しかし、航空会社等は、荷主が提供した情報の真実性を担保できない。このため、正確な情報を提出することができなかった原因が航空会社等にない場合には免責される制度とするよう要望する。
航空貨物の貨物情報の事前提出に関する規則は、規則の最終案が公表されてから90日後に施行するとされている。しかし、関係事業者が貨物情報を提供するための準備には相当の日数を要するので、施行を遅らせるか、より長期の猶予期間を設けるよう要望する。
規則の施行に際しては、関係事業者が規則の内容を明確に理解することができるように、規則の詳細な解説等を作成して税関及び国境保護局のウェブサイトに掲載することを求める。
規則の施行に伴い、米国の税関及び国境保護局は大量の貨物情報を扱うことになるため、万一システム障害が発生した際に迅速に対応できるだけの体制整備を図るよう要望する。
米国経由他国行き貨物は、米国内で取り卸しを行わず、米国内には輸入されないので、今回の制度の対象からは除外されるように要望する。
また、日本政府は、以下の諸点について確認を求め、かつ要望する。
規則の施行に伴い、AES(Automated Export System)を使う企業に出港10日以内申告の事後通関が認められる制度(Option4)はどのように扱われることになるのか。Option4を継続させるとともに、その適用範囲を早急に確定させることを要望する。
2006年には税関及び国境保護局が現在開発を進めている米国電子通関システムACE(Automated Commercial Environment)が稼働し、全ての電子申告は統合されるが、本規則はどのように扱われることになるのか。
税関及び国境保護局はACEが稼働する際には24時間前ルールの見直しを行うとしているが、本規則についても、ACE稼働の際には見直すことを要望する。
また、ICタグなどによる物流の電子化・情報化が実現する際には、その技術を活用し、適時適切に規則を見直すことを要望する。
グアム・サイパン等、我が国からの飛行時間が4時間以下であり、4時間前の段階ではそもそも貨物が確定していないような場合については、どのような取扱いになるのか。
最後に、日本政府は、米国税関及び国境保護局がパブリック・コメントの内容を十分に検討して最終的な規則を制定し、本規則の実施により日米間の貿易及び世界的なサプライチェーンに悪影響が及ぶことのないように要望する。
税関及び国境保護局は、最終的な規則の公表を10月に予定しているが、規則にコメントの内容を十分に反映させることができるように、公表時期を先に延ばすことも検討するよう求める。

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