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石油連盟/「温暖化対策税制の具体的な制度の案」に対する意見

2003年11月26日/未分類

石油連盟は、「温暖化対策税制の具体的な制度の案」に対する意見を公表した。
1.わが国としての温暖化防止のための取り組み方はどうあるべきかについて
(1)要旨
まずは、地球温暖化対策推進大綱に従って現在取り組んでいる対策を評価・見直しを行った上で、実効性を高めるべく適切な措置を講じ、確実に実施することが先決です。
「はじめに税ありき」で議論することは本末転倒で、税の導入を前提とした議論をすべき段階ではありません。
一方、温暖化対策は一時点の短期的視点で評価を定めるのではなく、長期的かつ世界規模の視点が必要です。
(2)意見
わが国の温暖化対策は、地球温暖化対策推進大綱に従って行われるべきであります。
そのためには、現在取り組んでいる地球温暖化対策を検証した上で、実効性を高めるべく適切な措置を講ずる等、責任の所在を明確にし、確実に実施することが重要です。
こうした真剣な対応なしに、新たな負担を強いる大規模な税に頼ることは本末転倒であると言わざるを得ません。
特に、CO2排出量が増加している民生部門の省エネルギー対策等適切な措置が十分講じられていない中、「はじめに税ありき」で議論すべきではなく、温暖化対策を講ずる上でもっとも重要な柱である、国民の意識を高めることの努力の強化を図る等、あらゆる手段を尽くすべきです。
また、わが国としては、新たな税を課す議論の前に、京都議定書にロシアが未だ批准せず、発効していない現状の評価を行うことや、京都議定書以降の対策、すなわち2013年以降の対策に関し、米国や発展途上国が参加できる実効性の高い枠組み作りについて、わが国がリーダーシップを取りながら、外交努力を傾注することが重要です。
(3)理由
わが国における地球温暖化対策については、政府の地球温暖化対策推進大綱に示された「環境と経済の両立」の原則に基づき、「ステップバイステップのアプローチ」に従って、対策が進められるべきです。
産業部門は、日本経団連の自主行動計画において、着実に実績をあげ、全体で2001年度のCO2排出量は90年度比3.2%削減、石油精製業で2002年度の製油所エネルギー消費原単位は90年度比12.7%削減と大きな成果をあげています。
しかし、CO2排出量が増加している民生部門の省エネ対策など適切な措置が十分講じられているとは考えられません。
追加的対策については、これら現行の対策の効果等を十分に検証し評価したうえで、はじめて、その必要性が検討されるべきです。
政府の地球温暖化対策推進大綱にも、2004年までの第1ステップにおいては、経団連自主行動計画をはじめとする自主的取り組みを尊重するとしており、追加的な対策については、2004年における同大綱の評価、見直しを待って、検討するとしています。
税は、国民に対する強制的手段であることから、その導入を検討する場合にあっては、必要性、影響、代替的な対応策の可能性等について、十分かつ慎重な検討を行う必要があります。
したがって、現段階においては、民生部門におけるライフスタイルの変更を含めた国民的努力の啓発等、現行の温暖化対策・施策に関する評価・見直しを十分行い、責任を明確にする等対策の強化を図り、これら対策を実現するためのあらゆる手段を講ずることを考えるべきです。
はじめから、税に絞った形で検討を行うことは論外ではないでしょうか。
また、地球温暖化問題は、長期的に取り組むべき地球規模の課題です。
そうした観点から見ると、京都議定書は、最大の温室効果ガス排出国である米国がその枠組みから離脱し、中国やインド等の発展途上国が何ら義務を負っていないなど、世界の温室効果ガス全排出量の3割しかカバーしていないという致命的な問題点があります。
わが国としては、新たな税の導入を議論する前に、京都議定書にロシアが未だ批准せず、発効していない現状について、十分に評価を行うとともに、京都議定書以降の対策、すなわち2013年(第2約束期間)以降の対策に関し、米国や発展途上国を含めた全ての国が参加可能で、かつ実効性の上がる新たな枠組みの構築について、わが国がリーダーシップを取りながら、外交努力を傾注することが重要です。
石油業界としても、産業界あげての自主的取り組みである日本経団連の自主行動計画に参加し、製油所における省エネルギー活動などを可能な限り推進しています。
また、石油業界独自の取組みとしては、自動車燃料のサルファーフリー化を通じて、自動車燃費の向上による運輸部門におけるCO2の排出削減に寄与したり、石油コージェネレーション・灯油ヒートポンプ(KHP)の普及促進を通じて、民生部門における省エネルギーを推進する等の対策を進めており、今後とも、地球環境への負荷の低減には積極的に貢献していく所存です。
2.温暖化防止のための施策として温暖化対策税を活用することについて
(1)要旨
温暖化対策税(案)は、CO2排出抑制効果が疑問であり、わが国産業の国際競争力を低下させる懸念があることから、その導入には反対です。
(2)意見
報告において望ましいとされている上流・低率課税であっても、エネルギーコストの更なる増加を招くのみで、わが国産業の国際競争力を著しく低下させるだけに終わる可能性が強いと考えられます。
また、石油製品等、国民生活に不可欠なエネルギーは、税の導入により価格が引き上げられたとしても、需要減少に繋がるとは考え難く、CO2排出の抑制効果は、極めて小さいと考えます。
先ずは、地球温暖化対策推進大綱に示されている対策を評価、見直した上で、実行可能なあらゆる手段を講ずることを考えるべきです。
したがって、温暖化対策税(案)の導入には反対です。
(3)理由
新税が経済に与える影響が少ないとされる上流・低率課税であっても、エネルギーコストの更なる増加を招くのみで、景気回復の足かせになるばかりではなく、わが国産業の国際競争力を著しく低下させるだけに終わる可能性が強いと思われます。
このため、国内産業の空洞化をさらに促進することが懸念され、世界最高水準のエネルギー効率を実現してきたわが国産業が、エネルギー効率が低く、規制の緩やかな途上国に生産を移転することになれば、結果的に地球温暖化をかえって進行させることになりかねません。
また、石油製品等、国民生活に不可欠なエネルギーについては、石油危機前後のガソリン価格の変動と需要の推移などを見ても、石油製品の需要の価格弾力性は低く、税にCO2排出抑制効果を求めることは難しいのが現状です。
一方、税収については、温暖化対策財源に充当することが考えられていますが、既に本年度税制改正で導入された「石油石炭税」(資源エネルギー庁と環境省の共管)によって、財源は確保済みです。
したがって、温暖化対策税(案)を、温暖化防止のための施策として導入することには、反対です。
さらに、本年6月の政府税制調査会中期答申や専門委員会審議で一部委員から指摘された、「公的サービスの財源調達という租税の基本的な機能に照らして考えた場合、特定の政策目的に税制を活用することや政策目的が実現されるにつれて税収が逓減していくという性質」やそうした「課徴金」的な性質といった租税の基本原則から見た問題点、あるいは、「税収を地球温暖化対策などの環境対策に用いるべきか否か」、「企業や個人への補助金を特定財源として支出するのは難しいのではないか」といった財政のあり方から見た問題点について、国民に対して説得力のある十分な説明を行うべきです。
3.温暖化対策税の課税の仕組みについて
【税の導入を前提とした議論ではないとお断りした上で、本項目について意見を述べていくこととします。】
(1)要旨
温暖化対策税(案)の仕組みは、取りやすい所から取るという安易な課税であり、大きな疑問があります。
(2)意見
一般家庭や自動車利用に対するインセンティブ効果を目的とする温暖化対策税(案)は、本来、下流課税(消費の段階)であるべきです。
化石燃料への最上流課税または上流課税を採用することは、目的と手段の間に大きな不一致があると言わざるを得ず、取りやすい所から取るという安易な課税ではないでしょうか。
(3)理由
本報告は、温暖化対策について、「現行の施策だけでは限界がある」とし、「一般家庭や自動車利用のような小規模多数の発生源にも対策の動機付け」を与えるため、税の導入が必要であるとの考え方に立っていますが、課税の仕組みについては、消費から最も遠い化石燃料への最上流課税または上流課税が有力な候補とされており、矛盾しています。
それ故、化石燃料の輸入者またはエネルギーの供給者が納税義務者となり、まさに取りやすい所から取るとの安易な課税というほかありません。
エネルギー分野の規制緩和が進展する中、エネルギー市場、特に自動車用燃料の販売市場等における価格競争の激化という現実を完全に無視するものです。
その意味で、温暖化対策税(案)は、目的と手段の間に大きな不一致があると言わざるを得ません。
4.温暖化対策税の減免・還付をはじめとする負担軽減について
【税の導入を前提とした議論ではないとお断りした上で、本項目について意見を述べていくこととします。】
(1)要旨
温暖化対策税(案)において、減免・還付の措置は困難であると考えます。
(2)意見
温暖化対策税(案)について、最上流課税または上流課税を前提とすると、納税義務者と税の実質的負担を予定している者が乖離するため、減免・還付スキームの構築は難しいと考えられます。
(3)理由
本報告は、「税負担を軽減する必要が生じるもの」として、5類型を例示していますが、課税の仕組みにおいて、化石燃料への最上流課税または上流課税の採用を前提とした場合、納税義務者と税の実質的負担を予定している者が乖離してしまいます。
減免・還付をはじめとする負担軽減スキームの構築は、困難、または、極めて複雑な制度になることが予想され、公平性の確保はかえって難しくなります。
5.温暖化対策税の税収の使途について
【税の導入を前提とした議論ではないとお断りした上で、本項目について意見を述べていくこととします。】
(1)要旨
1兆円規模の現行温暖化対策予算の定量的評価が不明瞭なまま、温暖化対策税(案)を導入することは疑問です。
CO2対策財源は、「石油石炭税」により確保済みであり、温暖化対策税(案)は不要であると考えます。
(2)意見
1兆円規模の現行温暖化対策予算の使途・効果等に関する定量的評価が不明瞭なまま、温暖化対策税(案)を導入することは疑問であり、先ずは、現行予算の効率的かつ実効可能な対策の実施について見直しを行うべきです。
特に、エネルギー起源のCO2対策財源については、本年度税制改正で導入された「石油石炭税」(経済産業省と環境省の共管)によって、既に確保済みであり、温暖化対策税(案)は不要であると考えます。
さらに、税収を森林整備財源に充当する(案)になっていることは、森林の公益的機能に鑑みれば、「受益と負担の原則」から逸脱しており、反対です。
(3)理由
本報告にも注記されている通り、既に、平成15年度の地球温暖化対策推進大綱関連予算は、約1兆3200億円にも達しており、これらの施策の検証や見直しが先決であり、こうした政策評価なくして、新規財源を前提とした議論を行うことは、本末転倒ではないでしょうか。
既存の施策の効果があいまいなままでは、年間約9 500億円にも上る税収が真に経済効率的な排出削減のための助成となりうるのか、疑問であると言わざるを得ません。
特に、エネルギー起源のCO2対策のための財源については、本年度税制改正で導入された「石油石炭税」(経済産業省と環境省の共管)を活用した石油特別会計の見直しによって、既に確保済みであり、新たな温暖化対策税(案)は不要であると考えます。
さらに、本報告において、課税対象を化石燃料に限定した温暖化対策税(案)の税収を森林整備財源に充当すること(案)になっていることは、多岐に及ぶ森林の公益的機能に鑑みれば、「受益と負担の原則」から逸脱しており、反対です。
また、政府税調中期答申において、税収の使途については「税の基本的な考え方に沿って検討する必要がある」と指摘されているにもかかわらず、本報告において、所与の前提として、「税収を活用し、温暖化対策のための補助金や他の税の減税措置などを行う」としていることは、先走った議論と言わざるを得ません。
そもそも、国民の全てが、原因者であり、かつ受益者である地球温暖化問題について、一定範囲の原因者という特定性を前提に負担を求める原因者負担原則を適用することには、無理があります。特に、地域公害が問題となっていた1960年代から70年代における環境回復や被害者救済に関する費用負担の原則である汚染者負担原則(PPP)を温暖化対策に係る税にそのまま適用し、目的税ないし特定財源的に活用することには、反対です。
6.既存エネルギー関係諸税との関係について
【税の導入を前提とした議論ではないとお断りした上で、本項目について意見を述べていくこととします。】
(1)要旨
石油諸税の抜本的見直しが先決であり、温暖化対策税(案)の単純上乗せ課税・増税は反対です。
(2)意見
石油には、既にガソリンについてはその価格の60%、軽油については45%を税が占め、巨額・高率な税金が多重・多段階に亘って課せられ(年間約5兆6 500億円)、また、ガソリン税には消費税が単純併課となっている(TaxonTax)など、不合理な税体系となっています。
従って、現行石油諸税の仕組み(TaxonTax等)・使途などの抜本的見直しが先決であり、単純上乗せで、新税を導入することは反対です。
また、CO2対策財源は、「石油石炭税」により既に確保済みです。
(3)理由
政府税調中期答申において、「地球温暖化問題に対する税制面での対応を検討する場合には、揮発油税、軽油引取税、石油石炭税など既存のエネルギー関係諸税等との関係についても検討すべきである」と指摘されています。
しかし本報告では、温暖化対策税(案)とエネルギー関係諸税との関係について、十分な検討を行わず、「温暖化対策税の細目が決まった段階で、改めて詳細に検討することが必要である」と問題を先送りしていることは、極めて残念です。
石油には、既にガソリンについてはその価格の60%、軽油については45%を税が占め、巨額・高率な税金が多重・多段階に亘って課せられており(年間約5兆6 500億円)、また、ガソリン税には消費税が単純併課となっている(TaxonTax)など、不合理な税体系となっています。
したがって、現行石油諸税の仕組み(TaxonTax等)・使途などの抜本的見直しが先決であり、単純上乗せで、新税を導入することは、反対です。
特に、本年度導入された石油石炭税については、温暖化対策税(案)と課税物件、使途、仕組みともに重複しており、新たに、温暖化対策税(案)を導入することは適切ではないと考えます。
7.本報告中で示された代替案について
(1)要旨
代替案についても、税の導入を前提とした議論であり、反対です。
(2)意見
代替案として示されている「ハイブリッド型課税」、「十分に高い税率の温暖化対策税」についても、税の導入を前提とした議論であり、反対です。
(3)理由
代替案として示されている「ハイブリッド型課税」、「十分に高い税率の温暖化対策税」についても、前記1.2.で述べた通り、税の導入を前提とした議論であり、反対です。
8.その他
【税の導入を前提とした議論ではないとお断りした上で、本項目について意見を述べていくこととします。】
(1)要旨
温暖化対策税(案)は、中東産油国から非難される可能性があります。
(2)意見
既にわが国の石油諸税は高水準となっており、更に新税を上乗せするとなれば、産消対話において中東産油国から非難される惧れが高いと思われます。
(3)理由
既に、中東産油国から、わが国の高水準の石油諸税は批判されており、その上、更に新税を上乗せするとなれば、産消対話において中東産油国から非難される惧れが高く、エネルギー安定供給の観点から大きな問題になりかねません。

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