伊藤忠商事(株)は、京都大学大学院農学研究科と岐阜県畜産研究所と3者共同で非接触ICチップを利用した「和牛血統トレーサビリティ」の仕組みを開発・構築する事を決定した。
今回開発・構築する「和牛血統トレーサビリティ」は、牛肉生産の原点となる人工授精用の凍結精液(ストロー)に、日立製作所の世界最小クラスの非接触ICチップ「ミューチップ」を装着し、食肉流通における最上流過程での「和牛の血統管理」を厳格に行う事を目的としたもので、将来的には「子牛の誕生」「市場販売」「肥育」「食肉市場出荷」されて食肉になるまでの過程をトレースできる画期的な食肉の安全管理システムの構築を目指す。
信頼性は非接触ICチップと携帯電話を連動させた電子認証システムの導入とDNA鑑定を含めた科学的根拠によって確保すると共に、社会学的に検証・評価し、食に対する安全性と安心感を提供することを目的として行う。
わが国で食肉用に飼われている牛の総頭数は約280万頭であり、その99%は凍結精液の人工授精によって生産されているが、この技術は50年程前に京都大学農学部で開発・改良され、農家に広く普及された技術で、家畜の改良や家畜衛生管理の点で欠くことができない技術として現在に至っている。
3者はまず岐阜県畜産研究所が管理する日本でも有数の「飛騨牛」のトレーサビリティの仕組みを2004年6月より開発に着手し、その後全国展開を視野に入れ、将来的には農林水産省が義務付けている10桁の個体識別番号とシステム的に連動させ、牛肉流通の最上流からの「和牛血統トレーサビリティ」の仕組み開発・構築を目指す。