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ト-ハン/SCM実現に「桶川計画」着工

2004年08月01日/未分類

(株)ト-ハンは8月9日、かねてから書籍流通の抜本的改革に向け、ITを駆使した21世紀型出版SCMを実現する「桶川計画」を推し進めてきた「(仮称)トーハン桶川事業所」(埼玉県桶川市)の建築に着工し、平成17年10月の稼働を目指す。投資額は300億円超。

書籍出版の現況は、消費者(読者)ニーズはさらに多様化・多面化が進み、年間7万点を超える新刊と既刊本を合わせて70万点にものぼる膨大なアイテム数が市場に流通し、多品種少量型傾向が強まっている。

出版点数が増えれば増えるほど「欲しい本が探せない」「手に入らない」という読者の不満が高まる一方で、書店店頭でも新刊の増加による商品サイクルの短期化などにより、在庫管理が十分に機能せず、需要と供給のギャップを拡大させるという悪循環を招いている。

こうした需給ギャップを埋めるためには市場の需要動向把握が不可欠であり、業界三者がデータをリアルタイムで共有するインフラ構築が長年の課題だった。

「桶川計画」は、これまで不可能とされていたこれら流通のネックをSCMの手法を用いて解消し、情報と物流の同期化を図ることで、消費者・読者の多様化したニーズや価値観の変化に敏速に即応可能な、読者を起点とした需要創造型の新しい流通サービスの確立を目指す。

業界三者がリアルタイムで情報を共有することで、市場の需要と供給を同期化させ、在庫の過不足や重複作業と輸送・配送コストといった流通上のロスを解消することで、業界利益の最大化を図る。

さらに、物流施設の最新鋭化というハード面での改革のみならず、改革実現の両輪をなす売れ筋商品に素早く対応する「仕入」と、店頭で実売につなげる「営業」というソフト面での改革も同時に達成する考えで、「桶川計画」は、本という商品を通し、活字文化を未来永劫さらに発展させていくために、半世紀を越えた戦後のわが国の出版流通システムを抜本的に改革し、新たな業界インフラを構築するプロジェクト。

計画の具体的内容は、①最新鋭の送品・返品センター「SCM流通センター」の建設、②出版社との協働センター「出版QRセンター」、③取引先出版社・書店がインターネットの環境で自由に利用できる業界インフラ「SCMデータセンター」の構築からなる。

●建築計画の概要
埼玉県桶川市の65,400㎡の敷地に、5階建ての作業棟と4階建ての事務管理棟からなる新センターを建設し、建築延床面積76,300㎡となる。

SCM流通センター
全国の本支店にある書籍の物流施設を「SCM流通センター」に集約し、全工程がフォールト・トレラントコンピュータにより制御され、24時間365日稼働の「書籍送品センター」と、完全自動検品システムを導入した「書籍返品センター」で構成される。文庫判からA4判までの仕分処理を可能にした自動仕分装置をはじめとする最新のFA設備と最先端のITを駆使した世界一の自動化設備を備える。

出版QRセンター
新会社を設立し、出版社物流業務の協働化・協業化を図り、出版社の返品の改装・保管・出庫作業を共同化することで、物流コストの合理化を図る。また「SCM流通センター」との連携により、売れ筋商品の素早い改装・出荷を実現し、販売機会の増大を実現する。

SCMデータセンター
SCMの中核となる「SCMデータセンター」は、取引先書店と出版社をネットワークで繋ぎデータの共有化、オープン化を図り、70万アイテムの商品が、いつどこに送品されたか、いつどこの書店で何冊売れたのか、返品がどうなったのかが時系列で銘柄別、書店別、送品条件別に記録される。

これらのデータは対前年比、地域別、カテゴリー別、銘柄別等、様々な角度で分析され、ASP方式によるシステムを利用して出版社、トーハン、書店がリアルタイムで活用でき、生産者から消費者までの一連の動向をリアルタイムに一元管理することで、より迅速で正確な生産・調達調整、需要予測を可能にする。

(仮称)トーハン桶川事業所の建築概要
所在地:埼玉県桶川市大字上日出谷字原新田1202-1
敷地面積65,400㎡(19,800坪)
建築面積17,700㎡(5,300坪)
延床面積76,300㎡(23,100坪)
着工:平成16年8月
建築竣工:平成17年4月
操業開始:平成17年10月
設計:鹿島建設(株)、(株)東畑建築事務所
施工:鹿島建設(株)

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