LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信

トーハン/「トーハン桶川SCMセンター」始動

2005年12月01日/物流施設

(株)トーハンは、「トーハン桶川SCMセンター」を稼働した。

同社は、的確な商品・情報の提供を行ない、さらに「潜在的な需要」にも応えられる次世代型流通インフラを構築するために、約300億円の投資を行ない、流通を抜本的に改革する『桶川計画』プロジェクトを進行している。

「桶川計画」では、物流の合理化にとどまらず、読者を起点として「出版社・取次・書店」の三者がリアルタイムに情報を共有することで、SCMを構築し、銘柄ごとの「市場在庫の把握と、需要予測」を軸とした、出版業界全体の最適化を実現する。

同社が構築する出版SCMは、読者ニーズを正確に捉えて、タイムリーな商品供給を行ない、読者の興味を引き出す売り場づくりを実践する事を主眼とし、商品を書店に届けるだけでなく、「読者に読んでもらうまでをトータルにプロデュースする」ことで、出版文化のさらなる発展を目指す。

「トーハン桶川SCMセンター」は、書籍の注文・返品物流を行なう「SCM流通センター」、多数の出版社と共同で商品を管理する「出版QRセンター」、販売と流通に関する全てのデータを統括する「SCMデータセンター」、の三つのセンターから構成される、書籍の総合流通センター。

さらに従来取り組んできた、書籍の客注専門サービス「本の特急便」や、「EC事業」(インターネットの書籍サイト)の商品管理・配送機能も同センターに集約し、大幅に拡充する。

これらの各センターは段階的に稼働して、平成19年7月に全面稼働。センター全体では流通商品のほぼ全てにあたる80万アイテムを在庫し、各機能が有機的に連携することで最適かつタイムリーな商品供給体制を実現する。

(1)「出版QRセンター」平成17年8月稼働
注文品への素早い対応(Quick Response=QR)と販売ロスの削減、協働化・協業化による業界全体での物流コスト削減・効率化を推進するため、平成17年7月13日に出版社38社との共同出資により「株式会社出版QRセンター」を設立。共同在庫センターを8月より一部稼働した。

利用出版社数は当面70社。最終的には400社程度になる見込み。
同社は、従来出版社がそれぞれに行なっていた返品商品の検品・改装・保管の一連の工程、さらに保管商品の再出荷までを協業化。「トーハン桶川SCMセンター」の各機能との連携で、現状15~20日を要している返品商品の検品・改装から出荷までを5日以内に短縮する。

また参加出版社はトーハン非在庫商品を「出版QRセンター」に在庫することで、現状10~15日を要している非在庫商品出荷を、受注から3日以内に短縮する。

これらにより、読者の注文に対する「在庫切れ、重版待ち」による注文の保留が回避でき、読者を待たせない商品供給を行なう。

(2)書籍返品センター(SCM流通センター内「整品部」)平成17年11月稼働
書店から返品された商品を、高速の自動検品・仕分システム(ブックソーター)により、一冊一冊読み取り、迅速に入帳データを確定します、これにより現在、書店店頭で行われている返品伝票の作成が不要となり「起票レス」が実現、書店の作業を軽減する。

また日々、書店別・銘柄別に取得される返品データと、送品・POSデータとをあわせて、市場在庫の把握をし、書店の品揃えや出版社の生産計画をサポートする。

文庫・新書判専用の高速自動検品・仕分機「B型ブックソーター」は1冊あたり0.6秒で、1日25万冊の処理が可能、またポケット判からA3判まで対応する「H型ブックソーター」では1日45万冊の処理が可能。

返品を銘柄別に仕分した後は「折りコン」で管理、出版社へ返品の際には重量検品により、出版社における「受品検品レス」を可能とし、省力化に寄与する。センター内での在庫状況はリアルタイムに把握することができる。

(3)SCMデータセンター(「データ管理室」)平成17年11月稼働
書店別・銘柄別の送品、返品のデータに加えて、書店店頭のPOSデータを一元的に集約し、「市場在庫の把握と需要予測」などの分析・加工を行なう。

書店に対して、売れ筋商品の欠品情報、銘柄別の需要予測をはじめとする商品提案の提示を、出版社に対しては、単品別の推定市場在庫状況や需要予測提示など、利用者の目的に応じた付加価値情報を発信して、読者の心をつかむ店頭の品揃えと売上・利益の向上、効率化を実現する。業界各社が、各々システム投資することなく、ASP方式により最先端のITが利用できる。

以降の計画
平成18年5月に、関係会社(株)ブックライナーが運営する客注専用サービス「本の特急便」、トーハンが取引先書店と一体で運営する、書籍・CD・DVDの通販サイト「e-hon」の機能と設備を「トーハン桶川SCMセンター」へ移転するとともにより一層拡大させる。

平成18年5月から9月にかけて、現在、首都圏10ヶ所に分散している在庫を集約して、業界最大規模の80万アイテム/1800万冊の在庫体制とする。

平成19年7月、地方拠点21ヶ所の在庫統合も含め、「トーハン桶川SCMセンター」は全面稼働する。

3.今後の『桶川計画』
『桶川計画』は、「市場在庫把握と、需要予測に基づいて、品切れを起こさず、無駄な返品も生まない商品供給の仕組み」を作り上げ、「出版業界全体の売上増大とロスの削減」を実現し、出版業界に本格的なSCMを構築する。

そのための次世代型業界インフラとして、「トーハン桶川SCMセンター」を始動させ、今後、その「物流と情報の発信」機能を最大限活用し、読者にとって魅力的な売場をつくりあげる販売体制への進化、「読者に読んでもらうまでをトータルにプロデュースする」営業改革に取り組み、新たな需要創造にチャレンジする。

関連記事

物流施設に関する最新ニュース

最新ニュース