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JR貨物/平成17年度事業計画

2005年03月27日/未分類

日本貨物鉄道(株)は平成17年度事業計画を公表した。(抜粋)

1.事業運営の基本方針
平成17年度は、緩やかな景気回復が持続するものの、一部に弱含みの動きもあり、先行きには不透明感も広がっている。物流業界においては、国内総輸送量の減少傾向が続き、事業者間の競争はなお一層激化するものと考えられる。

一方、平成17年2月に京都議定書が発効し、新しい「京都議定書目標達成計画」の策定が予定されるなど温室効果ガスの削減に向けた取り組みが活発化することが想定される。こうした動きを背景に、環境負荷の小さい輸送手段である鉄道貨物輸送への期待はさらに高まっていくと考えられる。

このような経営環境の中、現在策定している新しい中期経営計画の初年度である平成17年度は、モーダルシフトの担い手としてお客様に選択される輸送サービスの提供を目指し、機関車の新製など積極的な投資を行い、安全・安定輸送の確保及び輸送品質の改善に万全を尽くすとともに、経営体質の改善・強化を図ることとする。

安全の徹底については、引き続き安全を最優先とする企業風土の醸成に努め、社員の取扱い誤りに起因した運転事故・輸送障害の撲滅を究極の目標とした安全活動を展開する。輸送サービスの改善にあたっては、お客様本位の立場にたって、新製車両・新製コンテナを積極的に投入し、輸送力の確保と品質の改善を図る。鉄道輸送への信頼を確保するため、輸送障害時の対応能力の強化を図る。

これらの商品力改善の効果を十分に生かすとともに、戦略的な増送施策を展開し、収入の確保へとつなげる。

また、最新のITを活用し、従来のコンテナ輸送の仕組みを抜本的に変革するべく開発を進めてきた「IT-FRENS&TRACE」システムの全面稼動を実施することにより、業務の効率化とサービスの改善を図る。

さらに、業務の徹底した見直しにより、人件費・物件費両面での削減を進める。開発・関連事業部門においては、複合物流施設等の建設について着実に計画を進めるとともに、既存事業の収益の拡大に向けた取り組みをきめ細かく行う。グループ会社については、各社の企業体質のさらなる改善を図るとともに、グループ内の連携を強化して連結経営の深度化を図る。

本年度の事業運営の基本方針
(1)経営基盤の整備
①安全の徹底
平成17年度は、引き続き社員一人ひとりに安全最優先の意識と正しい作業を根付かせることを最重点として取り組み、安全が鉄道事業の基盤であり、最高の価値であることを徹底する。業務遂行にあたっては、法令を遵守するとともに、万一、事故等が発生した場合は、適切な措置と正確な報告を徹底する。

これらによりモーダルシフトの担い手としての期待に対し、技術と責任で応えていくこととする。

安全教育については、「安全を支える基盤は社員の知識・技能である」との考え方のもと、JR貨物グループ一体となった運転従事員教育の実施、現場長・管理者育成のためのリーダー教育、及び駅・運転士の運転取扱いに係るフォロー研修の充実などを重点的に行う。

また、リスクマネジメント活動を充実させ、ソフト・ハード両面での予防対策を進める。

老朽化している車両の新製、更新等にも積極的に取り組むことにより、事故・故障を防止し、輸送の安全性・信頼性の向上を図る。機関車については、新製車両の積極的投入、重要部品のリニューアル及びATS-PF型の搭載等を行う。貨車については、騒音・振動の防止のため、車輪踏面の計画的な削正を実施する。また、「車両検修教育センター」を開設し、検修社員の検査・修繕の技術の向上を図る。

地上設備は、鉄まくらぎ・鉄まくらぎ分岐器の投入を促進するとともに、分岐器及び継目部の管理の強化を実施し、道床・路盤・軌道の整備を図る。
また、化成品輸送のさらなる安全性を追求するため、事故の予防と事故時の応急処置の観点から、安全輸送体制の整備を進める。

②お客様の視点に立った輸送サービスの提供
平成17年3月の全国的なダイヤ改正においては、高速コンテナ列車の増発・長編成化を図ることにより、会社発足以来最大のコンテナ輸送力の規模を設定したほか、輸送時間の短縮、大型コンテナ輸送ネットワークの充実などのサービス向上を実施した。また、輸送障害時のお客様への影響を最小限にするために代行輸送体制の整備等に努めたが、災害の多発等により鉄道輸送の特性である定時・安定性を十分に発揮することができなかった。

平成17年度は、定時運行がサービスの基本であることを念頭に、安全・安定輸送の確保に向けての取り組みを強化する。輸送機材については、機関車を26両、コンテナ車を100両、コンテナを7,000個新製し、安全性・信頼性の向上を図るとともに、旺盛な需要に適合した輸送体制を構築する。

輸送障害時においては、関係旅客鉄道会社との連絡を密にし、ダイヤの早期回復に向けて必要な措置がとれるよう体制を強化するとともに、利用運送事業者との連携も強化して影響を最小限に抑える。

モーダルシフトの担い手としての輸送力の増強策としては、新たに安定した需要が見込まれる区間における列車の増発・長編成化を検討するとともに、ピークの需要に合わせた臨時列車の運転を行う。また、引き続き、主要都市間の輸送時間の短縮、翌日配送圏の拡大、大型コンテナ輸送体制の整備など輸送サービスの改善を図るほか、車扱列車についても車両の性能向上による高速化を推進し、運用効率の改善を図る。

平成18年3月には、九州新幹線の建設により久留米駅が支障することに伴い、鳥栖駅に移転・統合を図るとともに、同駅をE&S駅(着発線荷役駅)として開業する。

③戦略的な営業・販売活動の展開
平成17年度には、これまでに実施してきた商品力の強化の効果を十分に生かし、環境問題等を背景としたモーダルシフト気運の高まりを着実に鉄道利用に結び付けることとする。平成16年12月より設置されている「グリーン物流パートナーシップ会議」にも積極的に参画し、利用運送事業者との連携を図りながら、モーダルシフトの担い手としてCO2排出削減への具体的な取り組みを推進する。

また、お客様にとっての基軸の輸送モードとして選択されることを目指し、繁忙期の臨時列車の運転や長期連休期間中の運転拡大等を継続して実施するとともに、輸送品質の改善と危機管理能力の強化を図る。加えて、「環境にやさしいJR貨物ブランド」をアピールするために、積極的な広報・宣伝活動等を推進する。

業種別販売体制は、さらなる強化を進め、戦略的な営業を展開する。増送基調にある輸出入貨物については、RORO船やフラットラックコンテナを活用した国際複合一貫輸送をさらに推進し、鉄道輸送への誘致を図る。

エコ関連物資の輸送への取り組みも引き続き強化する。なお、産業構造の変化の影響を強く受けている車扱貨物については、鉄道を継続してご利用いただくため、業種毎・お客様毎にコンテナ化を含めた鉄道輸送システムの具体的な活用方法を提案する。

④業務の抜本的な見直し
平成17年度は、新しい中期経営計画の初年度として、21世紀型の鉄道貨物輸送の構築に向け、各業務の抜本的な見直しを図る。駅業務では、入換作業の最小化に向けた輸送計画を策定することにより、リードタイムを改善するとともに、経費の縮減、事故の防止を図る。

運転業務については、機関区等の再配置や運転士・機関車の運用効率の向上に取り組むとともに、業務の多能化を行うことにより、非効率な業務執行体制の見直しを実施する。検修業務については、作業体制の見直しを行うとともに委託体制の拡大の検討を行う。

一方、今後数年間、社員が大量に定年退職する時期が到来し、業務面での技術の継承が大きな課題となる。こうした状況を踏まえ、嘱託社員制度の効果的な活用等を積極的に実施する。

このほか、車扱列車等については、お客様の動向に合わせて設定輸送力の適正化を行う。

旅客鉄道会社との受委託の解消にあたっては、嘱託社員の活用やグループ会社への委託先変更等により対応を図る。また、列車計画では、列車別収支管理を徹底し、収入増とコスト削減の両面で、列車ごとに輸送効率の改善方策を策定し実施する。

本社・支社の間接部門では、よりきめ細かな要員配置を行うことにより、さらにスリム化した体制を構築する。また、管理職社員の転籍等により、人件費の縮減を図る。

⑤「IT-FRENS&TRACE」システムの全面稼動の実施
コンテナ輸送の仕組みを抜本的に変革するべく平成14年1月より開発を進めてきた「IT-FRENS&TRACE」システムについては、平成16年1月~5月に「TRACEフォークリフト機能」、平成17年1月に主要機能である「予約機能」の導入を実施し、これまで順調に稼動している。

平成17年度は、同システムについて、8月までには「ドライバーシステム機能」等を加え全面稼動させる。これにより、平準化による輸送力の有効活用を実現するとともに、システムの安定稼動を見きわめつつ、抜本的な業務の見直しを実施し、要員縮減と委託体制の見直しを実現する。

⑥技術開発への取り組み
輸送サービスの改善と環境負荷の低減に資する次世代の輸送に適した車両・コンテナなどの開発に取り組む。

機関車は、DE10形式入換用ディーゼル機関車の取替えを目的とする新型ディーゼル機関車を開発する。また、九州内で運用しているED76形式交流電気機関車の取替用として新形式交流電気機関車の開発を検討する。

貨車は、次世代の輸送を担う新形式コンテナ車の開発を行う。コンテナについては、多様化する物流ニーズに適応可能なコンテナの研究・開発を進める。
このほか、検修業務の省力化に向けた部品の共通化、仕様の見直しなどを行い、コストの低減を図る。

⑦開発・関連事業部門の拡大
平成17年度は、基盤施設の工事に着手するとともに、商業施設の建設の早期着手を目指し、同プロジェクトを着実に推進する。

また、東京貨物ターミナル駅構内において大型複合物流施設の建設に着手する。さらに、郡山と岐阜において建設中のマンションの竣工及び分譲を行う。
一方、運営方式の見直し等により駐車場事業の収益拡大に努めるほか、新たな事業分野への進出についても検討する。

⑧グループ経営戦略の推進
平成17年度は、引き続き連結経営の深度化を図る。新たな取り組みとしては、グループ理念・グループ数値目標等、グループとしての共通の目標を設定し、JR貨物グループの一体化を図るとともに、各社の企業体質のさらなる改善を図る。
また、会社毎に業績、将来展望、使命・役割を見きわめたうえで、統廃合・再編成や資本関係の整理等の施策を推進する。

(2)人材の育成と人事・賃金制度の見直し
厳しい競争下にある物流業界で責任ある地位を占め、お客様の負託に応えうる企業基盤を築いていくためには、安全・安定輸送を確実に行う職場風土を確立することはもとより、組織としての活力を高め、活気ある職場作りを進めていかねばならない。そのためには、高い問題意識と環境の変化に機敏に対応する柔軟性、現状を革新していく情熱を併せ持った社員を育成していくことが必要である。

これを実現するため、安全・安定輸送の基礎を支える職場風土・人材作りのための教育を、グループ企業等と一体となって強化するとともに、マネジメント能力や実務知識を向上させるための管理者層への教育、企業人意識・社会人意識を喚起する若年者層への教育などの階層別教育を充実させる。

また、技術力のある社員が大量に定年を迎える時期が到来し、その技術・技能を次の世代へ継承することが喫緊の課題である。この「技術継承」のための教育にさらに力を注ぐこととする。具体的には、新たに開設する「車両検修教育センター」を拠点として、検修技術教育の深度化を図ることをはじめ、様々な業務における技術・技能を継承するための教育を充実させる。

さらに、職場の作業環境の改善を図ることにより、社員の意欲の向上、事故の防止につなげる。なお、社員の能力の向上や職場の活性化を図るため、従来から実施してきた小集団活動、提案活動、通信教育の受講等を引き続き推進する。

人事・賃金制度については、これまで検討を進めてきた社員のやる気をより一層引き出す評価制度等の導入と、年功要素の強い賃金体系及び55歳で下がる賃金カーブの一部見直しを軸とした新しい仕組みの導入を進める。また、評価制度の的確な運用及び定着を図っていくために、評価者への教育を確実に実施する。

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