日鐵物流（株）の平成17年3月期決算短信(連結)の経営成績は下記のとおり。
同社グループの事業に密接な関係のある鉄鋼業は、国内が、土木分野は依然として低迷しているものの、建築着工や外需に牽引された自動車・造船・産業機械等製造業分野は好調を継続している。
輸出についても、東アジアの製造業が堅調に推移したことから、引き続き高い生産水準となり、同社グループも鉄鋼関連物流が前年度に引き続いて高い水準で推移した。
各事業別の業績の概況
内航海運事業
高操業下での鋼材取扱量の大幅な増加があったものの、中部国際空港関連輸送が終了したこと、京浜港等からの建設発生土輸送の減少、荷主からの物流効率化要請や用船市況の高騰影響、更には台風影響による船舶不稼動日数の増加などにより、売上高は26,139百万円と前年同期比104百万円の減収となり、営業利益は前年同期比537百万円減の167百万円となった。
構内物流事業
物流コスト低減に向けた効率化要請などがあったが、鉄鋼生産増に伴う取扱量の増加があったこと、これに対し効率的な要員配置の継続実施によるコスト削減を図ったことなどにより、売上高は14,692百万円と前年同期比481百万円の増収、営業利益は前年同期比467百万円増の131百万円となった。
港湾物流事業
鉄鋼生産増に伴う取扱量の増加や東京、千葉などの中継基地増強に伴う取扱量の増加、更に近海輸送など新規物流案件獲得などがあったが、名古屋港中継元請一元化対応や埠頭システム更新などのコスト負担により、売上高は12,783百万円と前年同期比970百万円の増収、営業利益は前年同期比8百万円減の364百万円となった。
自動車運送事業
東京、千葉などの中継基地増強に伴う陸上輸送取扱量の増加、セグメント輸送などの一般営業拡大による貨物の獲得やトレーラーの積載基準変更などにより、売上高は19,784百万円と前年同期比3,810百万円の増収、営業利益は前年同期比171百万円増の622百万円。
その他の事業（省略）
以上の結果、当期の連結売上高は76,515百万円と前年同期比5,160百万円の増収となり、営業利益は1,434百万円と前年同期比179百万円の増益、経常利益は1,290百万円と前年同期比203百万円の増益となった。
また、当期純利益は、ゴルフ会員権の売却ならびに評価損などを処理しましたが、前年同期比328百万円増の556百万円となった。
次期の見通し
今後の経済見通しは、原燃料の高騰やIT・デジタル関連の在庫調整などの懸念材料はあるが、米国の底堅い動きや中国の好調持続などによる輸出への好影響や民間設備投資の高レベル維持などが見込まれることから、引き続き好調が継続するものと想定される。
物流業は、消費関連貨物の動きは堅調に推移すると見込まれるものの、IT・デジタル関連や石油関連の影響を受けて生産関連貨物が低調な動きに転じることが懸念され、また建設関連貨物も公共投資の低迷から引き続き低調に推移することが想定される。
鉄鋼業は、引き続き外需要因による自動車・造船向けの好調持続や中国を中心とした東アジアの需要が当面は堅調に推移するものと想定される。
このような経営環境下、同社グループは、連結経営をより一層強力に推進し、グループ各社が一体となり、総合物流企業として長年蓄積してきた輸送技術・システム技術を駆使した物流ソリューションを提供することにより、物流の付加価値向上を追求し、積極かつ果敢な営業展開と最大限の収益改善を行い、更なる企業発展に挑戦する。
具体的には、鉄鋼の高生産が継続しているなか、より効率的で安定的かつ高品質な輸送を行い、物流会社としての輸送責任を果たす。
昨年10月より立ち上げましたトラックによる小口・重量物の宅配便「ラック便」事業を、関東地区・関西地区から中京地区にも拠点を置いて拡大し、確実に立ち上げる。
また名古屋における中継業務の元請一元化を安定的に立ち上げるとともに、東京、千葉および大阪で増強した港湾物流基盤を活かした最適な物流サービスの提供を行っていく。
これらを通して、既存荷主への拡販や新規荷主の開拓・獲得し、国際複合一貫物流事業の展開や東アジア地区を中心とした近海関連事業の拡大、建設発生土・廃プラ輸送などの環境関連分野への取り組みなど、事業分野拡大を強力に推進する。
次期の業績見通しは、連結売上高82,100百万円（中間期40,400百万円）、連結経常利益1,320百万円（同640百万円）、連結当期純利益780百万円（同390百万円）となる見込み。
