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生駒データサービスシステム/物流施設の賃貸市況レポート2006年上期

2006年08月07日/物流施設

(株)生駒データサービスシステムは、全国の賃貸倉庫・配送センター市場の動向を的確に把握するため、2006年上期のデータ及び市況動向を集計・分析した。

分析では、首都圏の賃貸市況は、大型物件が相次いだものの空き室率は横ばいだった。東京の平均募集賃料(総平均)は6,470円/坪で、2005年水準から3.0%上昇している。

中大型物件(募集面積1000坪以上)の平均募集賃料は5,620円/坪で、2005年水準から2.6%低下し、首都圏の空室率(マルチテナント型物流施設)は8.6%、前期比1.1%上昇している。

東京都の募集賃料推移をみると、募集面積1,000坪以上の中大型物流施設は、景気回復による物流施設への引き合い増加を背景に需給は逼迫しつつあるが、割高な賃料コストを負担するテナントは少なく、賃料水準が上昇に転じる気配に乏しい。

また、千葉湾岸エリアや川崎・横浜湾岸エリアでの大型開発案件が見込まれることも、現況での需給逼迫感がありながらも、賃料水準の上昇を抑制する要因になっている。

首都圏の空室率(マルチテナント型物流施設)の推移をみると、大型供給が相次ぎ空室率上昇が懸念されたものの、前期比1.1%の上昇に留まった。

既存物件での新規の募集は少なく、物流ニーズの増加から空室消化が順調に進む物流施設が多くみられた。当面は新規供給が相次ぐ予定であり、空室率低下はあまり期待できないが、竣工後に空室消化が順調に進む物流施設が多く、需要動向は堅調といえる。

空室率算出基準(調査棟数:21棟)
地域:千葉県・東京都・埼玉県・神奈川県、延床面積:10,000坪以上、竣工:竣工済、空室確認方法:ヒアリングによる。

愛知では、賃貸市況は旺盛な引き合いから空室消化が進んでいるとしており、平均募集賃料(総平均)は3,590円/坪で、2005年水準から8.8%上昇している。

また、愛知の中大型物件の平均募集賃料は3,130円/坪で、2005年水準から7.9%上昇している。

愛知の平均募集賃料は、総平均および中大型とも上昇しており、低廉な賃料水準の募集事例を中心に空室消化が進み、集計値ベースの募集賃料水準を大幅に押し上げる要因となった。

全般的に空室は減少していることから、賃貸市況は改善しているものの、同一物件の設定賃料を増額改定する動きはほとんどなく、旺盛な引き合いに支えられながらも実勢ベースの賃料水準は安定的に推移していると考えられる。

大阪の賃貸市況は、引き合いは増加、賃料水準も下げ止まり感あるとしている。平均募集賃料(総平均)は4,690円/坪で、2005年水準から4.1%低下している。

また、中大型の平均募集賃料は3,940円/坪で、2005年水準から1.8%上昇している。

大阪の平均募集賃料(総平均)は、1997年以降下落基調が続いており、水面下では中小物件に対する引き合いは徐々に増加し、賃料水準の下げ止まりも期待できる状況となっている。

また、中大型クラスでは、堅調な需要を背景に賃貸市況は改善しつつあり、2006年上期においても平均募集賃料は1.8%上昇している。しかしながら、大阪府や兵庫県では、今後、マルチテナント型物流施設の供給予定だけでも20万坪程度が計画されており、需給動向の先行きは不透明としている。

調査では、不動産投資について取り上げ、J-REITにおける物流施設のシェアは、取得価格ベースで1.6%だが、物流施設の不動産証券化実績は2005年度で1,860億円で、物流施設の供給量予測として2008年には12,570千㎡まで上昇するものと見込んでいる。

物流施設の不動産投資動向として、不動産の証券化実態調査(国土交通省)やJ-REIT情報を用いて現況を確認し、2006年3月末までの開示資料をもとに、J-REIT用途別割合を算出すると、物流施設のシェアは、取得価格ベースで1.6%であり、全体に占める割合は非常に小さいと言わざるをえない。

他方、私募ファンドを含む不動産証券化の実績の推移では、2002年度で250億円を皮切りに、2003年度は340億円、2004年度670億円、直近の2005年度では1,860億円まで急上昇している。

オフィスビル、住宅、商業施設なども不動産証券化実績は上昇傾向にあるが、物流施設の成長は顕著となっている。

最後に、建築着工統計(国土交通省)をもとに、今後の物流施設の供給量予測を行った。物流施設の供給量は、GDP成長率と高い相関があり、今後の経済成長により物流施設の供給量も増加傾向が続くことが期待される。

また、首都圏、中部圏、近畿圏など大消費地近郊の物流エリアにおいて、物流施設の新規計画が活発化しており、不動産流動化を用いた開発も数多く行われていることから、不動産投資実績も右肩上がりで成長していくことが十分期待できるという。

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