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三菱総研/防災対策に加えロジスティックス維持も重要

2006年09月01日/物流施設

(株)三菱総合研究所は、首都圏、中京圏、近畿圏の従業員500人以上の大手製造業と小売業・卸売業の本社、事業所を対象に、地震時の事業継続に係るアンケートを実施した。

この結果、事業継続におけるサプライチェーンやライフラインといったロジスティックス面の重要性が定量的に明らかになった。

三菱総合研究所では、この分析結果をもとに企業の事業継続に関するコンサルティング用の診断ツールを開発する予定。

アンケートは本社向けと、事業所向けに分けて行い、本社向けは276社(回収率16%)からの回答を受け、事業所向けは926事業所(回収率12%)からの回答を受けた。

本社向けアンケートでは、企業にとって事業継続を遂行する上での中核的な事業所である工場や店舗等1箇所が地震により被害を受けた場合、それが企業に及ぼす影響を質問するとともに、企業におけるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定状況やその他防災対策状況の策定状況について調査を行った。

また、事業所向けアンケートでは、材料等の仕入先、各種ライフライン、事業所の建物や設備等の被害が事業継続に与える影響について調査した。

この結果、企業の防災対策のみならず、サプライチェーンやライフライン等のロジスティックス面の維持も事業継続上、重要であることが分かった。

具体的な結果は次の通り

本社向けアンケートの結果
・「地震により工場等の中核的な事業所が停止中は事業継続が困難」と考える企業が9%、「事業所停止中は企業の稼働率(売上等)が大幅に低下し、稼働率の向上は事業所の再開を待つ必要がある」と考える企業が41%あり、半数の企業は中核的な事業所にかなり依存している傾向が伺える。

・残りの半数の企業の大半は、「稼働率は一時的に低下するが、早期に復帰し、事業継続は可能と考えられる」と回答している。その理由として、「当該事業所以外の別事業所において、稼働率を上げる等で事業継続可能」と回答している企業が70%を占める。

・BCP(事業継続計画)を策定済みの企業は16%とまだまだ少ないものの、策定中の企業が18%、今後策定する予定があるとする企業が42%にのぼり、BCP策定の必要性に関する認識の高まりがうかがえる。

・BCP策定の他、実施している事業継続に係る主な対策としては、「重要データの遠方でのバックアップ」が54%、「事業所などの分散化」が35%などとなっている。

事業所向けアンケート
・「事業継続上重要な材料等の仕入先からの供給が途絶えた場合に代替となる仕入先があるか」についての質問では、45%の事業所では「すべてあるいはほとんどの材料等について、他には仕入先がない」としており、「かなりの材料等について代替する仕入先がない」とする事業所と併せると60%に上る。

・一方、事業継続上重要な材料等の仕入先からの供給が途絶えた場合に、代替先を見つけるのには、1ヶ月以上を要するとの事業所が56%を占める。このことから、仕入先からの重要な材料等の供給がストップした場合には多くの企業の事業所で、生産ライン等が1ヶ月以上の長期にわたってストップする可能性が高いといえる。

・停止した場合に事業が継続できないとする事業所が多いライフラインは、電気(85%)、道路(56%)、コンピュータネットワーク(51%)、水(47%)、電話(30%)、ガス(27%)、鉄道(12%)の順となった。電気機器・設備等の動力源であり照明としても使われる電気がやはり事業継続に最も大きな影響があり、続いて、材料や製品等の輸送に用いられる道路の停止が大きな影響がある。また、近年の情報社会の高度化を反映し、コンピュータネットワークも事業継続上かなり重要な要素となっていることが分かる。

・事業所の建物や設備等が全損した場合の影響について、致命的あるいは大きな影響を受けるとものとしては、やはり建物(90%)が高いが、このほか、機械類(床に固定しているもの)、機器類(コンピュータ等、動かせるもの)、コンピュータデータ、配送等に用いる車両のいずれも、70%程度となっている。

一方、これらの設備等の再調達に要する期間について質問した結果でも、やはり建物の再調達に要する期間は1ヶ月以上とする回答が88%と高く、機械類が77%とそれに続く。機器類、コンピュータデータ、車両については、再調達に1ヶ月以上を要するとする回答はいずれも40%弱であった。このような調達期間中に事業が停止することによる機会損失や調達に要する費用の点から考えても特に建物と機械類については、補強や固定等により、損傷しないよう留意することが重要であるといえる。

三菱総合研究所では、これらのアンケート結果を踏まえ、9月末をめどに企業の地震時事業継続に関するコンサルティング用のツールを開発する。

問い合わせ
(株)三菱総合研究所
安全政策研究本部社会
安全事業グループ:田山
TEL03-3277-0552
tayama@mri.co.jp

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