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公取委/大規模小売業の物流センター、直接配送より割高32.9%

2006年12月27日/物流施設

公正取引委員会は12月26日、大規模小売業者との取引に関する納入業者に対する実態調査報告書を発表した。

そのなかで、物流センター使用料の算出根拠等についての調査では、大規模小売業者の物流センター(子会社等が運営しているものも含む)の使用の有無と使用料の算出根拠について質問したところ、「利用しているが、物流センター使用料の算出根拠が明らかになっていない」と回答した者が17.1%となっている。

また、取引先大規模小売業者の物流センターを「利用している」と回答した者に対し、物流センター使用料の負担についてどのように思うか質問したところ、「自社で直接配送する場合よりコストが高くなっていると思う」と回答した者が32.9%となっていた。

物流センターを「利用していない」と回答した者が39.7%で、「利用しており、物流センター使用料の算出根拠が明らかになっている」と回答した者が43.3%、「利用しているが、物流センター使用料の算出根拠が明らかになっていない」と回答した者が17.1%となっていた。

これを取引先大規模小売業者の業態別にみると、「利用しているが、物流センター使用料の算出根拠が明らかになっていない」と回答した納入業者の割合は、ドラッグストア28.6%、ディスカウントストア26.6%、食品スーパー23.8%、ホームセンター22.9%、CVS20.4%、総合スーパー19.8%の順に多くなっている。

さらに物流センター使用料の負担に対する意識について、取引先大規模小売業者の物流センターを「利用している」と回答した者に対し、物流センター使用料の負担についてどのように思うか質問したところ、全体では、「自社で直接配送する場合と同じくらいのコストだと思う」と回答した者が34.1%、「自社で直接配送する場合よりコストが低くなっていると思う」と回答した者が33.0%、「自社で直接配送する場合よりコストが高くなっていると思う」と回答した者が32.9%となっている。

これを取引先大規模小売業者の業態別にみると、「自社で直接配送する場合よりコストが高くなっていると思う」と回答した納入業者の割合は、ディスカウントストア49.5%、ホームセンター43.2%、ドラッグストア38.4%、専門量販店36.4%の順に多くなっている。

物流センターの設置等に伴う費用の負担要請に対して、「負担している事例がある」と回答した納入業者(73.9%)のうち「一方的に要請された」と回答した者は45.7%となっている。

こういった調査内容について、公取委では、「8告示第8項(不当な経済上の利益の収受等)」に抵触するとして、大規模小売業者が、納入業者に対し、納入業者のコスト削減に寄与するような物流センターの使用料等であっても、「納入業者が得る利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えて」これらを提供させることを禁止するものであるとしている。

次のような事例も、本項の不当な経済上の利益の収受等に該当するとしている。
・物流センター等の流通業務用の施設の使用料について、その額や算出根拠等について納入業者と十分協議することなく一方的に負担を要請し、当該施設の運営コストについて納入業者の当該施設の利用量等に応じた合理的な負担分を超える額を負担させること。

・納入業者が納期までに納品できなかった場合に当該納入業者に対して課すペナルティについて、その額や算出根拠等について納入業者と十分協議することなく一方的に定め、納品されて販売していれば得られた利益相当額を超える額を負担させること。

・配送条件を変更すること(例えば、従来に比べ配送を小口化し、配送回数を増加させること)により、納入業者の費用が大幅に増加するにもかかわらず、納入業者と十分協議することなく一方的に配送条件の変更を要請し、配送条件の変更に伴う費用増加を加味することなく、従来と同様の取引条件で配送させること。

「納入業者が得る利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えて」提供させる「金銭、役務その他の経済上の利益」とは、具体的には、納入業者の多頻度小口配送(配送の小口化とそれに伴う配送回数の増加)、納入業者のコスト削減に寄与するような物流センターの使用料等であっても、納入業者が得る利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えていれば、これに該当するとしている。

さらに、「納入業者が得る利益等を勘案して」の「等」には、大規模小売業者が金銭等を提供させる目的や金銭等の内容(物流センターの使用料であればその額、多頻度小口配送であれば配送の頻度)及びその算出根拠、納入業者との協議の状況等が含まれる。

例えば、問題となり得る金銭としては、受発注オンライン・システム、商品マスター登録システム、棚割用画像データシステム並びにPOSデータ及び来店客の購買履歴データ提供システムの利用料、いわゆる欠品ペナルティー(欠品粗利補償)等が該当する。

また、役務としては、大規模小売業者の担当者が本来行うべき資料作成・データ処理等を納入業者にさせること等が該当する。

詳細は下記URLを参照。
報告書本体
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.december/06122604hokoku.pdf

報告書資料
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.december/06122604siryo.pdf

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