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UPS調べ/日本の中小経営者、サプライチェーン意識「著しく低い」

2007年04月24日/国際

UPSは4月23日、アジア地域の中小企業の競争力に関する調査結果を発表した。このうち、サプライチェーンが役立っているかとの認識で、「有効」と回答した日本の中小企業経営者は39%と他国に比べて著しく低い結果となった。

同調査は日本、中国、インドを含むアジア12地域の中小企業経営者を対象に行ったもので、今回は3回目。マクロ経済予測、企業の成長予測、産業別重要性、中小企業の競争力、台頭する新興市場――などについて、中小企業経営者の認識を調べたもの。

マクロ経済予測では、貿易分野でアジア地域がリードしていくとの見方(74%)が最も多く、次いで中東が米国、ヨーロッパを抜き、第2位となった。

中国、インドといった新興市場については、57%が「10年以内に」中国が消費市場として米国に追いつく、と回答。インドの成長については、73%が追い風になると考えている。

競争力を左右する要因としては、日本の回答者のうち「時間と経費を削減するために効率的なサプライチェーンを構築している」とした経営者は、アジア平均の71%に対し、39%にとどまった。

この結果について、UPSでは「日本はフォワーダーへの依存度が高いため、荷主企業自身の物流効率化への意識が低い」「第2次大戦後の経済成長によって、物が次々売れたため、在庫・物流をコントロールする必要に迫られる機会が少ない」などと分析している。

調査したUPSの北アジア地区副社長、ブライアン・J・キューサーン氏は、発表会見で「アジアでは中小企業比率が90%を占めており、UPSにとって重要なマーケットであることから、これらの動向に大きな関心がある。こうした動向を把握することで、小口貨物輸送、海上輸送、金融サービスなど、トータルサプライチェーンに関わるすべてのサービスを提供していく」と述べた。

また、UPSジャパン(株)の佐藤美記男副社長は「日本企業が生産するものの付加価値は高く、サプライチェーンの重要度も非常に高いが、日本の中小経営者の認識は著しく低い。効率的なサプライチェーン・サービスを提供するUPSにとって、ビジネスチャンスだと捉えることができる」と述べた。

会見に同席した三本松進・一橋大学商学部客員教授は「各国の中小経営者がそれぞれの状況をどう認識しているかを調べたものは、ほかにないのではないか。グローバル企業だからこそできる社会貢献だ」と評価した。


調査結果を発表するブライアン・J・キューサーンUPS北アジア地区副社長

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