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UPS調べ/日本の中小企業、SCMへの関心低く

2008年05月28日/調査・統計

UPSは5月27日、アジア地域の中小企業の競争力に関する意識調査を行い、調査結果を発表した。
中小企業の競争力を左右する要因のうち、日本ではサプライチェーンの効率性がほかの要因と比べ、優先順位がそれほど高くないという結果になった。しかし、自社のサプライチェーンが効率的に活用されているかについての問いに対して、「十分に活用できていない」「管理がおろそかになっている」と答えた日本の中小企業の割合はあわせて45%を占め、回答者全体(あわせて28%)の中では突出。「非常に効率的に活用できている」と答えた日本の中小企業はわずか13%にとどまり、回答者全体の30%にくらべ著しく低い結果になった。
自社のサプライチェーンの抱える問題としては、日本では需要予測の難しさ(31%)やサプライチェーンに関する知識やノウハウの不足(26%)が上位に。これらの結果から、日本の中小企業はサプライチェーンの効率化に対しての関心が低い反面、物流を効率化する知識や手段をもっていないことが読み取れた。
日本、中国、インドを含むアジア太平洋12か国・地域の中小企業経営者1200人を対象に、経済成長、雇用、貿易拡大に関する見通し、中小企業の競争力や懸念事項、世界経済の減速で予測される影響など、幅広い角度から中小企業経営者の見解や認識を調査した。
自国と諸外国との貿易拡大予測では、引き続きアジア域内での貿易への期待が高く、71%の中小企業経営者は「今後一年間に取引が拡大する」と回答。中東(55%)・欧州(54%)はほぼ昨年並み。一方、米国との貿易は、昨年の51%から39%に落ち込み、今後の取引が減少すると見ている経営者が増えているという結果になった。
また、米国経済の減速が自社の事業にどれほどの影響を及ぼすかという質問については、全体の43%が支障をきたすと答える一方で、48%は影響しないと回答し、見方が分かれた。日本では61%が影響しないと回答した。
アジア域内の経済成長見通しという点では楽観的な見方がやや減少し、経済の成長を予測するアジアの中小企業経営者は昨年の57%から52%に。日本は調査12か国の中でもっとも下落が大きく、昨年は50%の中小企業経営者が成長を予測していたのに対し、今年は36%となった。
自社のビジネスに関する業績予測については、回答者全体では改善すると答えた中小企業経営者が昨年(64%)とほぼ同じ(63%)であるのに対して、日本の中小企業経営者は38%から28%と大きく減少。雇用計画については、従業員の採用拡大を計画している日本の中小企業経営者は、わずか5%で前年の34%から大幅に下落、また30%が削減を計画していると答えており、回答者全体平均(拡大49%、削減9%)に比べ、突出して厳しいものとなった。
他の国の中小企業は自社に比べて相対的にどれくらい競争力があると考えているか、という質問に対しては、中国の中小企業に対する評価が昨年に引き続きもっとも高く(62%)、日本(59%)と韓国(53%)が続く。競争力を左右する要因としては、有能な人材の確保がアジア全体を通じても最も重視されている。日本の中小企業も有能な人材の確保がもっとも重要(93%)で、不足(81%)していると回答した。
一方、不足する有能な人材を補うひとつのオプションとしての外国人労働者雇用の可能性について質問したところ、日本の中小企業経営者は上級・中間管理職については80%が検討していないとし、工場労働などの集約型職務に関しても59%が検討していないと回答、人材の重要性や不足を認識しつつも外国人労働力の雇用には消極的な日本の中小企業の姿勢が表れている。

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