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トラステックスHD(旧軽貨急配)/大証に改善報告書提出、混乱の経緯を説明

2007年06月06日/決算

トラステックスホールディングス(株)(旧軽貨急配)は6月5日、中間決算短信の開示と半期報告書提出の遅延の経緯、改善措置を記載した報告書を(株)大阪証券取引所に提出した。

同社は平成19年3月期中間決算短信(連結)で連結キャッシュ・フローの状況、中間連結キャッシュ・フロー計算書を記載しなかったほか、半期報告書の提出が法定期限である平成19年1月4日に間に合わず、1月16日に提出、さらに追加の特別損失の計上により、同日付で「平成19年3月期中間決算短信(連結)」を大幅に訂正した。

こうした遅れなどの理由として、同社は平成18年4月から、積合せ事業の拡大を目的としてM&Aなどで傘下の企業数を一挙に増やして事業を拡大、同年9月末時点で子会社8 社体制になったにもかかわらず、新たに子会社となった各社に「決算のための体制が整っていなかった」と説明。

連結決算を統括する同社経理部門への負担が増大していたものの、同部門の陣容の強化や指揮系統の徹底などに適切な対応を欠き、経理部門に問題を抱えたまま、平成19年3月中間期の決算作業に取り掛かったという。

■平成18年9月中間期決算作業/「ネット掲示板で様々な噂」、憶測懸念で見切り発表

平成18年9月中間期の決算作業は、「例年通り9月下旬から開始し、10月下旬からは監査法人による監査が始まる予定だった。決算作業開始前に経理課でスケジュール表を例年通り作成したが、グループ会社が増えたことによる決算の事務ボリュームの想定を誤っていたため、決算スケジュールが当初予定していたように進まなかった」。

また、経理で行っていたスケジュール管理についても、経理統括責任者が度々不在であったことから、進捗管理が疎かになり、経理統括責任者は連結決算の確定作業の遅れを「22日の夜になってようやく把握し、決算発表予定日である平成18年11月24日の前日まで、連結キャッシュ・フロー計算書と連結貸借対照表の現金預金残高の不一致の差異解明に努めたものの、連結キャッシュ・フローの集計が完了しない状況となった」という。

そこで同社は、既に発表していた決算発表日の延期を検討したが、7月5日に特別損失80億円の発生による業績の大幅な下方修正を発表して以降、株価の大幅な下落が続いており、「インターネットの掲示板などで様々な噂が囁かれる状況にあった」として、市場にいろいろな憶測を呼ぶことを懸念し、予定通り決算発表を行った。

当時の監査法人からは「会社の責任において」ということで了解を得て、中間の短信に連結キャッシュ・フローの状況、中間連結キャッシュ・フロー計算書の記載がないまま11月24日に中間決算短信を開示し、11月27日にその訂正開示を行った。

こうした判断について「今になって思えば、軽率な判断だったと反省している」としている。

■半期報告書の遅れ/前監査法人の姿勢に疑問、発表数日前に交代を決意

半期報告書の提出が遅延した経緯については、中間期に引当処理した長期未収債権約70億円を12月に債権譲渡したが、この処理について「前監査法人が決算発表予定日の数日前に当債権譲渡に関しての追加説明・資料をあらためて求めてきた。その内容如何では意見表明にも差し障る可能性があると伝えられた」。

こうした前監査法人の姿勢が、迅速・機動性に欠くものと判断して監査法人の交代を決意し、平成18年12月4日から霞が関監査法人の予備監査を受けることとなり、12月26日に同法人を一時会計監査人に選任、開示した。

同監査法人によって、あらためて中間期、前期の決算の精査などの作業が開始されたが、経理部門の人員不足により、作業が遅れたことから、監査未了の項目が発生して半期報告書の作成が遅れ、法定期限である平成19年1月4日の提出に間に合わなかったとしている。

また、同法人と再度貸倒引当金などの処理に関する追加の決算修正内容などの協議を行ったが、その結果、銀行とのシンジケートローン契約の財務制限条項に抵触することとなり、解決方法として、エクイティ・ファイナンスの実行などを記した継続企業前提の注記を付すこととなり、最終的に平成19年1月16日に半期報告書を提出した。

■中間決算短信を大幅に訂正した経緯

半期報告書の作成過程で、霞が関監査法人と協議、決算修正を行った。そのため、既に発表していた中間決算短信について、大幅な訂正を行うこととなった。

当初債権譲渡(バルクセール)を予定していた長期未収債権総額100億円のうち、70億円を引当処理し、残りの30億円については、一旦債権譲渡を取り止め、自主回収を図ることにしたものの、将来的には債権譲渡する可能性もあるため、この債権に全額貸倒引当金を設定した。

このほかに、①債務保証損失引当金繰入額8億円を計上②子会社の暖簾(のれん)代9億円を一括償却③繰延税金資産10億円の取崩し――を行った。

■改善措置/子会社の整理・売却進め、経営刷新

同社は状況を改善するため、5月17日付けでCLSAサンライズ・キャピタルLPから資本を受け入れ、筆頭株主として迎えた。6月28日付けでCLSAより社外取締役、非常勤監査役の派遣を受け入れ、経営体制を一新し、明確な経営戦略と有効な企業統治に転換する。

筆頭株主との協議により、決算の迅速化と不採算事業からの完全撤退実施のため、早期に不採算子会社などを整理(清算・売却)し、事務を合理化する。

具体的には、現在のグループ十社体制から、今期中にトラステックスホールディングス(株)、軽貨急配(株)、軽貨急配シーエス(株)の三社体制にする。

子会社数を減らすことにより、入力業務・出納業務・起票業務・照合業務などの事務作業が大幅に軽減出来、経理部門の負担を軽減し、決算処理の迅速化を図る。

また、経営者・従業員に対して会社情報の適時開示、内部者取引に関する社内研修を行う。社内研修は、経営企画室が主催し、定期的に役員・執行役員・本社部門の従業員に対して研修会を開き、経営企画室が研修会の内容を記録、記録内容を各営業所の従業員が閲覧できるようにして、適時開示に対する認識の向上と法令順守の意識の徹底を図る。

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