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農水省/青果物流通への通い容器普及へ提言

2007年09月28日/調査・統計

農林水産省は9月27日、「通い容器の本格的な普及に向けて」とする提言を取りまとめ、公表した。提言は食糧供給コストの縮減、環境問題への配慮の観点から、通い容器普及促進協議会で検討したもの。

協議会では、①返却容器回収拠点の整備②紛失防止システムの在り方③回転率向上のための方策④通い容器対応選果ラインの整備⑤通い容器に適する品目選定⑥IT技術の活用――が検討課題となっていた。

返却容器回収拠点の整備については、独自に物流センターを持たない量販店、青果小売店などの多くが卸売市場に返却し、通い容器所有者が回収することとなる。しかし、卸売市場に通い容器を保管するスペースが十分でないため、保管状況が悪く紛失や破損が発生している。

提言では、市場開設者がインフラとしての回収拠点整備を推進するとともに、関係者が継続的に拠点を運営できるよう、市場の実情に応じた回収拠点の在り方について話し合う場を作っていくことが必要と指摘。卸・仲卸業者、小売業者、レンタル業者は回収拠点の在り方やコスト負担などについての議論に参加する必要があるとした。

紛失防止システムの在り方では、生産者、卸・仲卸業者、小売業者などの通い容器利用者、レンタル業者などが、より良いシステム作りに向けた検討に参加していく必要があるとし、現行の通い容器利用者以外の将来的な利用の可能性への配慮も必要と指摘。

国の役割として、新たな流通管理システムを流通コスト縮減や環境への配慮のための社会インフラとして位置づけ、システムの共通プラットホームの構築に当たり、支援措置の創設に取り組むとした。

回転率の向上に向けては、生産者は産地リレー活用を促進するため、品目別の容器の使用実態を調査し、通い容器の利用拡大が想定される品目における主産県などの利用促進検討会を積極的に開催し、通い容器を利用する産地の拡大、既に利用している産地の利用量の増大に向け、推進を促した。一方、通い容器在庫の適正化を図るため収穫シーズン前にレンタル業者と十分な調整に努めていくことも必要、とした。

市場開設者、卸売業者は、レンタル業者とともに市場内に滞留している通い容器の早期回収を積極的に呼びかけていくこととし、仲卸業者は呼びかけに応え、滞留防止に努めるよう促している。小売業者には、レンタル業者と連携しながら、自らが店舗内での滞留防止に努めるよう求めている。

国としては、通い容器を利用する産地の拡大に向け「野菜低コスト供給パートナーシップ確立事業」による取組を継続していくとともに、通い容器の普及や回転率の向上を目的とした啓発事業を積極的に推進するため、支援措置の創設に取り組む、とした。

IT技術の活用では、特に電子タグを取り上げ、国の支援措置として今後、食品流通での電子タグなどの導入を図るため、電子タグの多様な活用方法に応じた最適な機能の組み合わせ、運用ルール、費用対効果などを明らかにしたビジネスモデルの構築への支援措置の創設、活用方法などのPRに取り組む、とした。

生産者や卸・仲卸業者、小売業者、レンタル業者は、通い容器と電子タグなどの融合による流通の効率化・高度化の実現に向け、コストや技術、インフラ面の課題の解消を図りながら、その導入に積極的に取り組んでいくことが求められる、と指摘した。

また、通い容器の普及が環境負荷低減につながる側面を持つことについて、国民の認知度向上を図り、普及拡大を促進すべきとした。

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