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海運3社9月中間期/各社で過去最高益、「空前の市況高騰」も追い風に濃淡

2007年10月31日/決算

10月30日、邦船3社の9月中間期決算が出そろった。ドライバルク市況の高騰をはじめ、世界的に物流需要が旺盛だったことから、3社ともに中間純利益で過去最高益を更新した。

3社の純利益は、日本郵船(株)が549億円(85.1%増)、(株)商船三井866億円(81.6%増)、川崎汽船(株)440億円(2.1倍)。各社とも”空前のドライバルク市況”を過去最高益の最大要因に挙げているが、中身をみると各社ごとの特性が浮かび上がる。

866億円の純利益を稼ぎ出した商船三井では「ドライバルク市況の恩恵が最も大きかった」(広報)と説明している。ドライバルク輸送では、中国やブラジルなどでの需要が高まり、今後も長期的な輸送需要が見込めることから、各社とも長期輸送契約の比率が半分以上を占める。特に日本郵船、川崎汽船は長期契約が9割程度となっており、「長期安定型」を選択した分、7割程度の商船三井に比べてスポット運賃市況の影響がやや限定的といえる。

増益要因について、商船三井の広報では「スポット比率が高い分、他社に比べて市況の恩恵は大きい。他社に比べて勝っているということではなく、コア事業である海運業への集中度合いがより高いために、追い風が強かったということ」と分析。

これに対し、売上規模が最も大きい日本郵船は、海運以外の分野に積極的に投資しており、総合物流企業を志向する色合いがほかの2社より強い。中間決算の発表にあわせ、10月29日には赤字が続いている傘下の日本貨物航空(株)への追加出資を発表した。燃費効率に優れた航空機へのリプレースを進め、長期的に安定した収益基盤を築く方針だが、9月中間期に限ってみれば、海運で好調な業績の足を引っ張る形となった。

純利益の伸びが最も大きかったのは、前年中間期比で2.1倍を記録した川崎汽船。その要因について、同社広報は「当社はコンテナ部門が全体の半分を占めているが、欧州航路の好調さなどが全体を押し上げ、部門赤字からの脱却を果たしたことが大きい」と説明している。

今後の見通しについて、不安要因はないのか。各社とも、燃料油の高騰に直結する原油高は当分続くとの見方で一致しているが、中国、ブラジルなど新興国の輸送需要が依然として旺盛なため「当面、マイナスになるとは考えにくい」(川崎汽船広報)と強気の姿勢。また、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の不良債権化問題が与える影響にも「北米向けの住宅関連物資が伸び悩む可能性はあるものの、生活物資である消費財の比率が高いため、業績への影響は限定的」としている。

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