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アイエニウェア、住金物産/アパレル業界向けRFID実証実験で、物流センターシステム公開

2009年03月18日/IT・機器

アイエニウェア・ソリューションズは3月18日、住金物産と共同で物流センターサイドでのRFIDシステムのデモンストレーションを行ない、「配送計画の高度化」への取り組みを公開した。

2008年度の経済産業省委託事業「IT投資効率性向上のための共通基盤開発プロジェクト」の繊維分野での電子タグ(RFID)実証実験に伴うシステム公開としての位置付け。

同プロジェクトは、電子タグに関するコード体系や導入への標準化に力点を置き、アパレル業界での標準電子タグ(UHF帯タグ)の普及とRFIDシステム導入の加速化を目指している。2008年11月からことし2月にわたって行なった実証実験では、「配送計画の高度化」、「店舗運営の高度化」、「マーチャンダイジングの精度向上」の3点に注力し、実用性を検証した。

<挨拶するアイエニウェアの早川社長>
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同日午前には、都内ホテルでプレス向け説明会、午後は、アパレル物流センターのエコーセンター(千葉・舞浜)でデモンストレーションを行なった。

説明会では、冒頭のアイエニウェア・ソリューションズ早川典之社長の挨拶に続き、住金物産繊維カンパニーSCM・事業開発部の山内秀樹部長が、同プロジェクトの概要を説明した。

<住銀物産の山内部長がプロジェクトの概要を説明>
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2007年度の衣類製品の輸入浸透率は94%超に達し、仕入れチャンネルが海外物流に依存するようになったため、日本国内のディストリビュート・チャンネル(DC)などが煩雑化。仕入れコストの増大により、建値消化率の低下が問題となっている。このため、アパレル業界では、①サプライチェーンの可視化②配送計画の高度化③店舗運営の高度化④企画MDの精度向上の4つのテーマを設定。このうち、①のサプライチェーン可視化は2007年度までに話し合いが行なわれており、以下3つはこれからの課題となっている。

今回の検証店舗は、アパレルメーカー、フランドルの「新宿ルミネ店」と「ららぽーと船橋店」の2店舗。既存のデータベースにRFIDデータベースシステムを並存させ、ミドルウェア「RFID anywhere」を活用した。既存システムとの連携の検証や、タグ紛失・破損時の再発行フローの確認、取得情報の分析・可視化などを確認した。

店舗使用機器は、①In-shop gate②Smart Shelf③Smart Fitting④POS Systemの4点。 ①In-shop gateは、店頭とバックルーム間にタッチ型センサーを置き、数量とアクション区分が表示される。②Smart Shelfは、棚から商品を手に取るごとにデータが記録される。③Smart Fittingは、試着室で何を着て、何を買ったのか、買わなかったのかをデータとして集計。④POS Systemは、まとめ買いも一回で認識する高性能化を追求している。

最大の特徴は、SKU単位での管理に替わって、シリアル単位で商品の動きをトレースすることができるようになったことだ。そうして集計した情報を選別・分析して、データを管理。ビジネスインテリジェンス(BI)を駆使して、アパレルの企画MD、DB・MD、ショップ店長に、それぞれが必要とする情報を提供する。

これに対して、例えばDB・MDに与えた情報を基に、店頭出しデータや適正在庫ダータなどのアウトプットを行なう仕組みだ。具体的には、商品到着後の店頭出し速度や試着データ、顧客別の試着持ち込みデータに加え、無駄と思われる店舗間の取引などのイレギュラー物流フロー報告などをコンピューターが統括する。

今回の実証実験は、サプライチェーンの高度化、店舗運営の効率化、MD精度の向上に力点を置き分析した。来年はさらに実験を進め、将来的には実際に店舗に導入して行きたい。最終的な目標は、アパレル分野の生産性向上であり、具体的には建値消化率向上を目指すことにあり、そのためにRFIDを導入する意義がある。

次いで、「実証実験システムを支えるRFIDミドルウェア技術 RFID Anywhere」をテーマに、アイエニウェア・ソリューションズ、エンジニアリング統括部の境直人氏が解説した。

<RFID Anywhereの概要を説明する境氏>
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<RFID Anywhereの管理機能は遠隔操作も可能 >
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RFID Anywhereは、RFID機器、バーコード機器、センサー機器、ロケーション管理システム、タッチパネルコンピューターで構成される。ミドルウェアの必要性は、アプリケーションがデバイスに合わせて開発されるデメリットを解消する点にある。

ミドルウェアを介してデバイスにアクセスするため、アプリケーションはミドルウェアに合わせて開発する。通常でもミドルウェアを使っても、両方とも同じアプリケーションが開発可能。システム間でも同様で、ミドルウェアを介するとシステム拡張なしで対応できる。ミドルウェアがそれぞれのシステムの翻訳者的な役割となり、システムの拡張なしに対応できる。

メーカーごとに違うリーダライタの制御を、RFID Anywhereで共通化させることが可能だ。RFID Anywhereを活用すれば、リーダライタを他メーカーの製品にしても、アプリケーション側の変更は必要がない。RFID Anywhereは、デバイス-アプリケーション間、システム-システム間の仲介を行なうものだ。

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