出光興産と三井化学は5月11日、両社の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」について検討を開始することに合意したと発表した。
米国金融不安に起因する世界同時不況による需要の大幅な減少と、中東・中国を中心とした大型石化設備の新設稼動が現実化する中で、日本の石化事業は抜本的な国際競争力強化が必須の状況にある。
両社は、2004年2月の包括提携スタート以来、ポリオレフィン事業の統合(プライムポリマー設立)、ライトナフサリフォーマー(LNR)再稼動、石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)事業への参画などを通じて、競争力の充実強化を図ってきた。
両社のこれまでの提携から踏み込んで、日本でも相対的に強い競争力を持つ出光・三井のコンビナートの強化を目的として、両社の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討を開始することに合意した。
具体的には、両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化、出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化、両社でJVとして運営している、ポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化など。期待できる効果は、ナフサクラッカーを中心とした最適生産体制の構築、精製・石化のインテグレーションによる国内トップクラスの競争力の実現、石化誘導品でのリファイナリー留分の有効活用などによる競争力の強化。
両者は今後、半年から1年程度の期間で詳細検討を進め、合意段階で、最適体制を発足させることを予定している。同案件の検討に止まらず、両社技術の融合による非汎用化学製品の開発加速といった、石化以外の分野における協調・提携も進める考えだ。