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大日本印刷/小野工場で、ICタグ活用の工程管理システム導入

2009年05月14日/IT・機器

大日本印刷は5月14日、チラシやカタログ、パンフレットなどの商業印刷物の関西の製造拠点である小野工場(兵庫県小野市)に、業務効率の向上と生産管理体制の強化を目的として、ICタグを使った工程管理システムを導入すると発表した。

小野工場では、システムを2009年5月から3段階に分けて導入する。最終段階では、小野工場の製造工程だけでなく、小野工場へ半製品を供給する協力会社へもシステムを導入し、小野工場の生産管理システムと連動させることで、生産管理全体の最適化を図る考えだ。

今後の展開は、小野工場への導入によって得られた実績をもとに、他工場への水平展開を図る。効果検証データをふまえたうえで、生産管理システムのプラットフォームを構築し、2010年から外部販売を開始する予定だ。2012年までに3億円の売上を目指す方針。

印刷工場は、顧客からの要望に合わせ、全てオーダーメイドで製品を製造しているため、それぞれの製品によって印刷の仕様や製本工程が異なるといった特長を持っている。小野工場の場合、印刷用紙や半製品、製品などを積載したパレットが各工程間を移動する数は、1日当たり200パレット。

現状の製品ごとの進捗管理は、印刷用紙や製品を載せたパレットなどに添付している伝票に印字したバーコードを、各工程の作業開始時と終了時に読み取ることで行われている。バーコードには、製品ごとの品名や管理番号、印刷・製本などの工程進行日などの情報が搭載されており、同時に多数の製品が扱われる印刷や製本工程の担当者は、その都度バーコードを個別に読み取らねばならず、作業負荷の低減が課題となっていた。

今回、バーコードに加えてUHF帯ICタグを用紙やパレットに添付し、各工程のエリアごとにICタグ専用のリーダーを設置することで、半製品や製品の搬入・搬出時に、情報を自動的に読み取ることができるため、今までのバーコードの読み取り作業を削減すること可能となった。

本来は、各工程の開始と終了した時点でバーコードの読み取りを行う必要があるが、繁忙時には、ある程度の作業が終了した時点で、まとめて読み取ることもあり、進捗状況の把握にタイムラグが生じていた。今回、ICタグを使用することにより、各工程に移動したパレットを自動的に読み取ることができるため、リアルタイムの生産状況の把握が可能になる。

また、半製品などが工程の異なる場所に移動された場合の早期発見や、一時保管されている用紙や半製品、製品などのパレットが、どこに置かれているのかを把握することができる。リアルタイムに製造工程の進捗情報を「見える化」し、営業や生産管理部門などに情報発信することで、精度の高い生産管理が可能となる。ICタグを活用することで、問題点や改善点の発掘につながるなど、生産管理全体のレベルアップを図ることができる。

今後、外部委託企業にもシステムを導入し、委託企業の進捗状況や出荷情報を、小野工場の生産管理システムと組み合わせることで、リードタイムの短縮など、製造工程全体の最適化を図る。半製品や製品の所在、工程進捗の正確な把握が行えることで、工場内のパレット搬送に使用しているフォークリフトを計画的に走行させることが可能となり、総走行距離の削減を通じて環境負荷の低減も実現できる。導入により、現状の総走行距離の約10%削減を見込んでいる。

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