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日通総研/2009年度の輸送量は約14%減を予測

2009年07月01日/調査・統計

日通総合研究所は6月30日、「2009年度経済・貨物輸送の見通し」を発表した。それによると、2008年度の国内貨物輸送は、秋以降の内需や生産の急落のため、消費関連貨物と生産関連貨物が年度全体で1割前後落ち込んだと見られる。総輸送量は6.7%減と、過去最大の減少幅を記録した1974年度(11.0%減)に次ぐ大幅な減少を記録した模様。

2009年度も、国内景気の回復が期待できないため、総輸送量は6.1%減と前年度に続きL字型の推移が予測され、1969年度以来の50億トン割れの水準まで落ち込む見通し。消費関連貨物は個人消費の冷え込みを受け、日用品などを中心に6%弱の減少を予測。生産関連貨物は設備投資の停滞が続くなかで、鉱工業生産に一段の落ち込みが見込まれるため、機械・機械部品や鉄鋼は2ケタの減少となる。また化学製品や石油製品も低調に推移するため、トータルでは14%弱の減少の見通し。

建設関連貨物は、09年度は住宅、非住宅とも建設需要の低迷に歯止めがかからず、公共投資が2ケタ増に反転することから、微減にとどまると見られる。国際貨物輸送は、外貿コンテナ貨物(主要9港)の輸出は、在庫調整の進展などで前年度1-3月期に下げ止まったとと見られるが、2009年度は欧米経済の低迷が続き、中国内需向けが持ち直してくるものの、量的に本格的な回復は期待できず18.1%の減少を予測。輸入は、個人消費に立ち直りの期待が持てないため消費財は弱含みの展開が続き、機械機器類も設備投資の冷え込みで低水準での荷動きとなることから、減少幅は12.7%減と過去最大と予測される。

国際航空の輸出は、在庫調整の進捗などを背景に4-6月期は若干持ち直すが、需要回復は全般的に脆弱で7-9月期以降の量的な立ち直りは緩やかとなり、22.5%減と予測される。輸入は、個人消費の回復が見込めず、消費財は水面下の動きを辿り、機械機器類も設備投資の落ち込みの影響で消費財以上に減少するため、18.4%減になるものと見られる。

国内の輸送手段別の動向は、鉄道が2009年度もコンテナは低調な動きが予測される。なかでも積合せ貨物、化学工業品、紙・パルプ、自動車部品などは上期は大幅な減少が続く。下期には前年同期の急減の反動から減少テンポは緩むものの、水面上へ浮上するには至らず、年度全体で11.5%減。JR貨物発足以来初めての2ケタ減が見込まれる。車扱も、主力の石油の下げ止まりが期待できないほか、一部区間で石灰石が輸送終了となるため、JR全体では10.9%減と4年連続の減少になる。その他の鉄道では、セメントや石灰石は小幅な減少にとどまるが、石油などの落ち込みで6.8%減となる。

自動車では、生産関連貨物が引き続き生産活動の低迷が続き、スクラップインセンティブやグリーン家電エコポイント制度など追加経済対策の効果も限定的なものにとどまるため、機械、鉄鋼、化学製品などの荷動きの減少に歯止めはかからない模様。減少幅は2008年度より拡大し、一方で建設関連貨物は住宅ローン減税の拡充など住宅需要の底上げ策が実施されることに加え、工場やオフィス、店舗などの建設需要も下期には減少のテンポが弱まると予想されるなど、民間部門が最悪期を脱する。

また、補正予算で公共事業費が大幅に積み増しされ砂利・砂、廃土、生コンなど公共土木工事向けの貨物には盛り上がりが期待できるため、全体の荷動きは水面近くまで回復すると予測される。営業用・自家用別では、営業用自動車は生産関連貨物の停滞のため5.3%減と2年連続の減少。自家用自動車も大きな改善は見込めず、6.8%減と減少幅は狭まるものの、依然低迷が続く。なお、特別積合せトラック輸送量は、主力の機械、化学製品、日用品などの不振に加え、宅配貨物にも盛り上がりが期待できないことから、09年度は7.0%減と07年度から3年連続の減少となる。

内航海運の場合、2009年度は建設関連貨物が補正予算執行に伴い、下期には砂利・砂などの荷動きの活発化が期待されるが、生産関連貨物は産業活動の不振が続くことに加え、柏崎原発の操業再開に伴う石油火力発電量の減少でC重油などの需要が落ち込むことなどから、減少幅はさらに拡大。内航海運全体では8.2%減と9年連続の減少になるものと見られている。

国内航空は、ゆうパックにかかる押し上げ効果の消滅と、国内景気の低迷で運賃の安価なトラックへの需要のシフトが見込まれるため、9%台の大幅減が見通されている。

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